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ピロリ菌はなぜ胃酸の中で生きられるのか?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約3分31秒で読めます.
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ピロリ菌とは?
ピロリ菌は強い胃酸の中でも生きられて、胃に様々な障害を与える細菌です。
胃潰瘍患者の65~80%、十二指腸潰瘍の90%以上にピロリ菌が証明されており、この菌を除菌することにより、潰瘍の治癒や再発頻度の低下が見られるなど、潰瘍の原因として大きく関わっていると考えられています。
しかし、ピロリ菌が存在するする人の20%以下しか潰瘍の発生は見られません。
胃潰瘍の原因には、他にもストレスや薬の影響があります。
ピロリ菌は胃酸の中で生きられる?
胃酸はpH1~2を示す塩酸。
その強力な殺菌作用で、ほとんどの菌は死滅する。
しかし、その強力な殺菌作用でも死なない、胃の中で暮らしている細菌がいる。
それがピロリ菌。
なぜ、PH1~2の高酸の胃の中で生息できるかというと、胃が分泌する胃酸や消化液から自身の粘膜を守るための、胃粘膜上皮上の粘液層に住み着いているため。
ヘリコバクター・ピロリは菌が産生するウレアーゼにより、胃粘液中の尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解され、この時発生したアンモニアが局所的に胃酸を中和するため、胃内に定着することができる。
ピロリ菌の感染経路は?
感染経路は、経口感染といわれており、吐瀉物や糞便に混ざって体外に排出され、それが水などとともに体内に取り込まれ、胃内に定着する。
ピロリ菌の感染は主に、胃酸分泌や胃の粘膜の防御機能が未熟な小児期に成立する。
ピロリ菌がいるかどうか息でわかる?
ピロリ菌の検査は、吐き出した息から採取する尿素呼気試験法が行われます。
尿素を口から投与して、15~20分後に呼気を採取します。
呼気中にある二酸化炭素の比率でピロリ菌の有無を調べます。
ピロリ菌は胃の中で尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解するため、このような検査でピロリ菌の存在が確認できます。
ピロリ菌除菌時にラクトフェリンを飲むと効果的?
ラクトフェリンと除菌治療薬との併用効果については、標準3剤を投与した群と、それにラクトフェリンと植物性乳酸菌などを含むプロバイオティクスを追加した群とを比較したところ、追加群の方が除菌率が有意に高く、下痢も予防されたという報告があります。
ラクトフェリンがピロリ菌の除菌率を向上させるのは、ラクトフェリンが胃のペプシンで分解されてできる、ラクトフェリシンによる殺菌作用の結果との考え方が有力です。
そのため、併用するラクトフェリンは腸溶性ではなく、森永乳業のラクトフェリンなど、胃で消化されるタイプを選択する必要があります。
ヨーグルトでピロリ菌除菌?
LG21という乳酸菌がピロリ菌に効くらしい。
一般的な乳酸菌は、その名の通り酸性物質を生成するので、比較的酸には強いですが、いくら乳酸菌が酸に強いと言っても、強力な胃酸にはかないません。
胃に到達した時点でほとんどの乳酸菌は死滅してしまいます。
しかしLG21という乳酸菌は特に酸に強い性質を有しており、胃酸にも負けずに胃の中で活動することができる乳酸菌なのです。
LG21は胃粘膜に付着しやすく、胃粘膜の奧に住みつくピロリ菌と戦い、その活動を抑えることができる乳酸菌なのです。
LG21はピロリ菌に対する抗菌作用があるという確かな報告がありますが、その作用は常用量では完全に除菌するまでには至らず、菌の数を減少させる程度にとどまります。
除菌治療の際に併用すると効果があるかも知れませんが、除菌治療終了後に食べ続けると、除菌判定に影響を与えるかも知れません。
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