2024年11月22日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ゲーベンクリームは皮膚を溶かす?

ゲーベンクリームでデブリードマン

ゲーベンクリームをネットで検索すると悪評が多いようです。

組織を軟化させる作用がある。

でも、
日本褥瘡学会が正しい,というパラダイム

 例えば「ゲーベンクリームを塗布すると壊死組織が融解する」という,医学界に広く流布している言い伝えがある。確かにゲーベンを塗布すると壊死組織が融解するが,だからといって「ゲーベンは壊死組織融解作用を持つ」とは言えないのである。それを言うためには,

•ゲーベンだから壊死組織が融解した。
•ゲーベンでも壊死組織が融解する。
•ゲーベンでなくても壊死組織が融解する。
•ゲーベンを使わなくても壊死組織が融解する。
 これらのどれなのかを検証しなければいけないし,さらに検証できたとしても,なぜゲーベンが壊死組織を融解させるのかということが,化学的,生物学的に証明されなければいけない。それができなければ,「ゲーベンは壊死組織を融解させる」といってはいけないのである。このあたり,日本褥瘡学会のお偉い先生方は全然わかっていないのである。

こんなことも言われてる。

悪評が多いのは、ゲーベンクリームが適したステージに使われていないからなのだろう。

褥瘡の分類

ゲーベンクリームは浅い褥瘡には向かない。

素人的にはウゲェとなってしまう状態でも、浅い褥瘡。

添付文書にも、「軽症熱傷に使用すると,疼痛がみられるので使用しないこと.」と書いてある。

深い褥瘡が改善してきて、浅い褥瘡になってきたらゲーベンは使わないほうがいいということか。
長期継続使用している患者がいたら注意。

ゲーベンクリームは血中濃度測定が必要?

ゲーベンクリームは広範囲の使用による銀中毒症も報告されており、米国の医療用医薬品添付文書では血中スルファジアジン濃度を測定することが記載されています。

銀イオンには殺菌効果がある。

でも、商品の効果として謳う場合には注意を要する。

銀の殺菌作用

以前、小林製薬が販売していた「銀の消臭元」「銀のブルーレット」など、銀による十分な除菌効果が無いにもかかわらず不当な表示を行っていたとして、公正取引委員会が排除命令を出したことがあった。

銀イオンの除菌の原理は、電気的な仕組みを応用したもので、プラス荷電されたイオンである銀イオンが、マイナス荷電された菌に付着して、菌を死滅させることで、除菌作用が発揮されます。

銀イオンに除菌効果があることは間違いありませんが、塩素のほうが確実に殺菌効果があります。

ゲーベンクリームの成分は、スルファジアジン銀です。
銀が入っています。
この銀が殺菌作用を有するらしい。

添付文書にも、

スルファジアジン銀はSulfonamideの誘導体であるが,p-aminobenzoic acidによって競合的阻害を受けず,いわゆるサルファ剤とは異なる作用機序を有する.銀が細胞膜,細胞壁に作用して抗菌作用を発現すると考えられている.

スルファ…っていうから、サルファ剤として抗菌作用を発揮しているものと思っていたけど、銀のほうだったのね。

ブロメライン軟膏でデブリードマン

外科的デブリードマンが困難な場合におこなう化学的デブリードマンでは、ブロメライン軟膏などにより壊死組織を分解する。

ブロメライン軟膏は、どろどろとした汚い黄色の壊死組織が肉芽の周囲に点在し浸出液も多い状態や、表皮、真皮が壊死に陥り、壊死組織が黒く乾燥した状態で使用する。創傷周囲の健常皮膚にブロメライン軟膏が付着すると、蛋白分解作用により出血、発赤を生じることがあるので、潰瘍面より小さ目のガーゼ、リントなどに薄く延ばして用いる。

ゲーベンクリームと併用すると効果が無い。

デブリードマン。ヒーローみたいな名前。

デブリードマンとは感染した組織や壊死した組織を切除してきれいにしてやる事です。

外科的な方法だけじゃなくて、塗り薬で除去する化学的デブリードマンもある。

ブロメラインとかリゾチームみたいな酵素が使われる。

ブロメラインとゲーベンを混ぜちゃダメ?

ブロメライン軟膏とゲーベンクリームを混ぜてはいけない。

ブロメライン軟膏の化学構造に存在するSH基がゲーベンクリームに含まれる銀イオンと化学反応を起こし、ブロメライン軟膏が不活化されるので混合不可とされています。

ブロメライン軟膏には-SH基があり、Agやヨードを含む軟膏・ドレッシング剤と合わさることによって-SH基の化学変化が起こり、ブロメライン軟膏の効果が得られなくなる可能性があります。当院で、Agを含むドレッシング剤は、『アクアセルAg』で、軟膏は、『ゲーベン』があります。ヨードを含む軟膏は、『カデックス』と『ポビドリンパスタ』があります。これらの製品とブロメライン軟膏が合わさることは、避けてください。

■質問:ブロメライン軟膏と配合変化が起こる軟膏・ドレッシング剤を教えてください。 – 大隅鹿屋⇒鹿児島⇒沖永良部島⇒指宿病院薬剤師日記 – Yahoo!ブログ

ブロメラインの添付文書には、
「SH型酵素といわれ、システイン、H2S、NaCNにより活性化され、Hg++、Ag+により不活性化される。」
と書かれているので銀イオンはわかるけど、ヨードもやっぱりダメなのかな。

ゲーベンクリームの添付文書には、
「外皮用酵素製剤の作用を減弱させるおそれがあるので,併用する場合には注意すること.〔銀が酵素のSH基と結合し,酵素活性を減弱させる可能性がある.〕」
との記載がみられる。
カデックス軟膏やポビドリンパスタの添付文書には、特に併用薬に関する注意の記載は見られない。

そもそも、ゲーベンクリーム、イソジンシュガーパスタ軟膏、ユーパスタ/ソアナース軟膏には「他剤と混合して使用しないこと。」と記載されているので、混合はできない。カデックス軟膏には同様の記載は無いので、知らないと混ぜちゃうのかも。

ただ、同じ部位に併用して処方されることがあるかも知れないので、皮膚上で混合しないように注意が必要。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

1 件のコメント

  • 伊藤 のコメント
         

    ゲ一ベンクリームは何に効果あるのですか~

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