2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ラミクタールのA、B、Cパックの違いは?

ラミクタールが適正に使用されていない?

ラミクタールの用法については、副作用被害救済制度で不支給になったりしているので注意が必要。

http–www1.mhlw.go.jp-kinkyu-iyaku_j-iyaku_j-anzenseijyouhou-296-1.pdf
ラモトリギン(ラミクタール)が適正に使用されていなかった事例

てんかんのためラモトリギンを服用し,重症薬疹を発症。バルプロ酸ナトリウムとの併用において,ラモトリギンを最初の1週間は25mg連日投与,2週目から75mg連日投与していた。開始時に隔日投与を実施しなかったこと,その後,増量までの間隔が短すぎ,かつ増加量が多すぎたことから,適正な使用とは認められませんでした。
(添付文書の「用法・用量」の項に,バルプロ酸ナトリウムとの併用の場合,「通常,ラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与し,次の2週間は1日25mgを1回経口投与する。その後は,1~2週間毎に25 ~ 50mgずつ漸増する。」と記載されています。

 双極性感情障害のためラモトリギンを服用し,重症薬疹を発症。バルプロ酸ナトリウムもグルクロン酸抱合を誘導する薬剤も併用しない状態で,ラモトリギンを1日50mg連日投与で開始していた。開始時の用量が多すぎたことから,適正な使用とは認められませんでした。
(添付文書の「用法・用量」の項に,単剤療法の場合,「通常,成人にはラモトリギンとして最初の2週間は1日25mgを1回経口投与,次の2週間は1日50mgを1回又は2回に分割して経口投与し,5週目は1日100mgを1回又は2回に分割して経口投与する。」と記載されています。)

添付文書の警告には、以下のように記載されている。

1. 警告

本剤の投与により中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群等の全身症状を伴う重篤な皮膚障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、以下の事項に注意すること。

1.1 用法及び用量を超えて本剤を投与した場合に皮膚障害の発現率が高いことから、本剤の6.用法及び用量を遵守すること

1.1.1 投与開始時は定められた用法及び用量を超えないこと。バルプロ酸ナトリウム併用時の投与開始2週間までは隔日投与にすること(成人のみ)。

1.1.2 維持用量までの漸増時も定められた用法及び用量を超えないこと。また、増量時期を早めないこと

1.2 発疹発現時には早期に皮膚科専門医に相談し、適切な処置を行うこと。また、発疹に加え以下に示す症状があらわれた場合には重篤な皮膚障害に至ることがあるので、直ちに本剤の投与を中止すること。
発熱(38℃以上)、眼充血、口唇・口腔粘膜のびらん、咽頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹 等

1.3 重篤な皮膚障害の発現率は、小児において高いことが示されているので、特に注意すること。

1.4 患者又は家族に対して、発疹や上記の症状があらわれた場合には直ちに受診するよう指導すること。

用法の遵守について、厳しく守るよう記載されている。

医師による適宜増減は認めないぞ!というような厳しい表現である。添付文書上の用法を逸脱した場合は、調剤拒否もやむを得ない。。。かもしれない。

初めてラミクタール(ラモトリギン)の処方を受けた場合は、初回なのか漸増段階なのか維持期なのかを必ず聞き取り、確認する必要がある。

ラミクタールの用法は?

ラミクタールの包装にスターターパックなるものがある。

AパックとBパックとCパック。

Aパックが25mg21錠。Bパックが84錠。Cパックが42錠。

GlaxoSmithKline 製品情報 ラミクタール錠25mg-100mg
Aパックが「バルプロ酸ナトリウムを服用している患者さん用」らしい。
Bパックは見えづらいけど、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、その他本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を服用している患者さん用、なのかな。
Cパックも見えないけど、双極性障害の単剤療法かな。

つまり、
Aのパターンは、最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与し、次の2週間は1日25mgを1回経口投与する。トータル21錠。
Bのパターンは、最初の2週間は1日50mgを1回経口投与し、次の2週間は1日100mgを2回に分割して経口投与する。トータル84錠。
Cのパターンは、最初の2週間は1日25mgを1回経口投与、次の2週間は1日50mgを1回又は2回に分割して経口投与。トータル42錠。

5週目以降は、皮疹のリスクも減るだろうし、さほど厳しくチェックしなくてもいいだろう。

lamictal.jp 情報サイト ラミクタール インフォメーション(小児) 皮膚障害の発現について
薬疹が多いので、漸増します。

特に投与初期には要注意。

ラミクタールの代謝経路は?

ラミクタールは、主としてグルクロン酸転移酵素(主にUGT1A4)で代謝されるため、薬剤の併用パターンにより用法・用量が2種類に大別されます。

・バルプロ酸ナトリウムとラミクタールは、どちらもグルクロン酸抱合で競合するためラミクタールの代謝が阻害されます。

・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドンはグルクロン酸抱合を誘導するため、ラミクタールの代謝が促進されます。

ラモトリギンの用法・用量は、①バルプロ酸併用例②グルクロン酸抱合を誘導する薬剤併用例③その他-で異なる。
これは、同薬の主な代謝経路がグルクロン酸抱合であり、グルクロン酸抱合を誘導する薬剤との併用で代謝が促進され血中濃度が上がりにくくなる一方、バルプロ酸のようにグルクロン酸抱合を阻害する薬物と併用すると代謝が阻害され血中濃度が上がりやすくなるためである。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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