2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

配合不適・配合注意一覧

配合変化

薬剤師

混ぜちゃいけない薬って?

シロップや粉薬を調剤するときに、混ぜてはいけないものがある。

混ぜてはいけないと言っても、混ぜると効果が落ちるもの、混ぜると色が変わるもの、混ぜると沈殿するものなどなど、理由は様々で、時と場合によっては混ぜることも仕方ないとなるものもある。

配合不可

配合不可とは、配合により有毒物を生じるなどの危険を伴うもの、または薬効を著しく減弱させる組合わせのことである。

配合不可の場合、薬剤師は処方医へ疑義照会を行い、処方変更を提言し問題の回避を図る。

例:テオフィリンシロップと他のシロップ剤、水および単シロップなど(徐放性が消失するため他剤と配合禁忌)

配合不適

配合不適とは、数種の薬を配合することで湿潤、沈殿などを起こすため、調剤技術上の工夫を必要とする組み合わせのことである。

配合不適の場合、薬剤師は別包装に分ける調剤を行う。

患者には、別包装の薬を混ぜ合わせないよう指導を行う。

例:アスピリン+炭酸水素ナトリウム(アスピリンの分解)
例:レボドパ+酸化マグネシウム(レボドパの分解)
例:ヒベンズ酸チペピジンシロップ+塩化リゾチームシロップ(再分散性不良、ゲル状化)

薬品名薬品名理由
アイピーディアスベリンドライシロップ混合により塊になる
アトックドライシロップアイピーディの含量低下
アレギサールドライシロップ特異なにおいが発生
エリスロシンドライシロップアイピーディの含量低下
オノンドライシロップ特異なにおいが発生
クラリスドライシロップ小児用アイピーディの含量低下
ジスロマック細粒小児用アイピーディの含量低下
スピロペント顆粒混合により塊になる
セフスパン細粒混合により塊になる
ネオフィリン末アイピーディの含量低下
バナンドライシロップアイピーディの含量低下
ビソルボン細粒混合により塊になる
フロモックス小児用細粒混合により塊になる
ベラチンドライシロップ特異なにおいが発生
ミオカマイシンドライシロップアイピーディの含量低下
アストミンシロップアタラックスPシロップ沈殿(再分散性不良)
ポンタールシロップ沈殿(再分散性不良)
アスパラK散すべての散剤吸湿による物性変化
アスピリン炭酸水素ナトリウム加水分解
アスベリンシロップアタラックスPシロップ再分散性不良
アリメジンシロップ活性低下・含量低下
フェノバールエリキシル再分散性不良、ゲル状化
アタラックスPシロップアストミンシロップ沈殿(再分散性不良)
アスベリンシロップ沈殿(再分散性不良)
イノリンシロップ沈殿
ゼスランシロップ沈殿(再分散性不良)
タベジールシロップ3時間後再分散性不良
デパケンシロップバルプロ酸の遊離
トランサミンシロップ沈殿(再分散性不良)
ムコダインシロップ沈殿(再分散性不良)
アリメジンシロップアスベリンシロップ活性低下・含量低下
プリンペランシロップ活性低下・含量低下
イノリンシロップポンタールシロップ分離、沈殿
ウイントマイロンシロップテトラサイクリンシロップ凝集
酒石酸アリメマジンシロップ沈降
硫酸カナマイシンシロップ沈降
単シロップ沈降
ゼスランシロップアタラックスPシロップ沈殿(再分散性不良)
トランサミンシロップ活性低下・含量低下
ポンタールシロップ10日目以降再分散性不良
ムコソルバンシロップ活性低下・含量低下
メジコンシロップ活性低下・含量低下
テオドールシロップ他シロップ剤、水、および単シロップなど徐放性が失われるため、他剤とは配合不可
デパケンシロップザジテンシロップバルプロ散の遊離
ペリアクチンシロップバルプロ散の遊離
メジコンシロップバルプロ散の遊離
メプチンシロップバルプロ散の遊離
リンデロンシロップバルプロ散の遊離
タベジールシロップアタラックスPシロップ3時間後再分散性不良
トランサミンシロップ懸濁、微・粗粒子生成
トランサミンシロップアタラックスPシロップ沈殿(再分散性不良)
ゼスランシロップ活性低下・含量低下
タベジールシロップ懸濁、微・粗粒子生成
メプチンシロップ活性低下・含量低下
ハイセレニン細粒すべての散剤吸湿による物性変化
プリンペランシロップアリメジンシロップ活性低下・含量低下
リンデロンシロップ活性低下・含量低下
ペリアクチンシロップポンタールシロップ沈殿(再分散性不良)
ベロテックシロップポンタールシロップ沈殿(再分散性不良)
ポララミンシロップポンタールシロップ沈殿(再分散性不良)
ポンタールシロップアストミンシロップ沈殿(再分散性不良)
ゼスランシロップ沈殿(再分散性不良)
ペリアクチンシロップ沈殿(再分散性不良)
ベロテックシロップ沈殿(再分散性不良)
ポララミンシロップ沈殿(再分散性不良)
ムコダインシロップ沈殿(再分散性不良)
ミノ・アレビアチンエピレオプチマル散融点降下による湿潤液化
ムコダインシロップアタラックスPシロップ沈殿(再分散性不良)
ポンタールシロップ沈殿(再分散性不良)
リンデロンシロップ沈殿(再分散性不良)
ムコソルバンシロップゼスランシロップ活性低下・含量低下
メジコンシロップゼスランシロップ活性低下・含量低下
メプチンシロップトランサミンシロップ活性低下・含量低下
リンデロンシロッププリンペランシロップ力価低下
ムコダインシロップ沈殿(再分散性不良)

配合注意

配合注意とは、配合により変色などの物理的変化を生じる可能性はあるが、薬効に影響を与えない組み合わせのことである。

患者には、見た目の変化があっても効果に問題はないことを情報提供する。

例:酸化マグネシウム+ダイオウ末(ダイオウの成分 dianthrone glucoside のsennoside A、B、C、D、E、F(黄色)はアルカリ性で吸収極大を示す波長が500nmまで移動し赤色を帯びてくる)
例:アミノフィリン+乳糖(固化) 賦形する場合は、トウモロコシデンプンを使用する。

医薬品名医薬品名配合変化
アスベリンシロップイノリンシロップ分離、沈殿、色調変化
インクレミンシロップ沈殿、色調変化
カロナールシロップ沈殿
ザジテンシロップ沈殿
ゼスランシロップ沈殿
セレスタミンシロップ沈殿
デカドロンシロップ沈殿
トランサミンシロップ沈殿
フスコデシロップ沈殿
ベネトリンシロップ沈殿
ペリアクチンシロップ沈殿
ポララミンシロップ沈殿
ポンタールシロップ沈殿
ムコソルバンシロップ沈殿
メプチンシロップ沈殿
アタラックスPシロップザイザルシロップ沈殿
プリンペランシロップ沈殿
ベロテックシロップ沈殿
ポララミンシロップ外観・pH変化あり
ムコソルバンシロップ沈殿
メプチンシロップ沈殿
リンデロンシロップ沈殿
アリメジンシロップポララミンシロップ沈殿
トランサミンシロップ沈殿
イノリンシロップポンタールシロップ分離、沈殿
カロナールシロップベネトリンシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
ザイザルシロップアタラックスPシロップ沈殿
ザジテンシロップポンタールシロップ沈殿
ポララミンシロップ沈殿
トランサミンシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
酸化マグネシウム大黄/センナ吸収帯の移動による赤変
ゼスランシロップアスベリンシロップ沈殿
セレスタミンシロップポンタールシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
タベジールシロップポンタールシロップ沈殿
デカドロンシロップポンタールシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
トランサミンシロップペリアクチンシロップ沈殿
フスコデシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
アリメジンシロップ沈殿
ザジテンシロップ沈殿
フスコデシロップポンタールシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
トランサミンシロップ沈殿
プリンペランシロップアタラックスPシロップ沈殿
ベネトリンシロップポンタールシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
カロナールシロップ沈殿
ペリアクチンシロップアスベリンシロップ沈殿
トランサミンシロップ沈殿
ベロテックシロップアタラックスPシロップ沈殿
ポララミンシロップアスベリンシロップ沈殿
ポララミンシロップアリメジンシロップ沈殿
ザジテンシロップ沈殿
ポンタールシロップリンデロンシロップ沈殿
ムコソルバンシロップ沈殿
アスベリンシロップ沈殿
ザジテンシロップ沈殿
セレスタミンシロップ沈殿
タベジールシロップ沈殿
デカドロンシロップ沈殿
フスコデシロップ沈殿
ベネトリンシロップ沈殿
ムコソルバンシロップアスベリンシロップ沈殿
アタラックスPシロップ沈殿
ポンタールシロップ沈殿
メプチンシロップアスベリンシロップ沈殿
アタラックスPシロップ沈殿
リンデロンシロップアタラックスPシロップ沈殿
ポンタールシロップ沈殿

添付文書上の記載は?

添付文書に「混合してはいけない」と記載があれば、配合注意レベルでも計量混合加算は算定できないわけなので、調剤報酬的には添付文書の記載内容が重要となってくる。

テオドールシロップ:他のシロップ剤,水,単シロップ剤と混合しないこと。
アスピリン原末:炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ性製剤と配合しないこと。

例えば、アスベリンシロップは再分散性不良のため配合不適のシロップが多いが、添付文書上の記載は、
「シロップ及びシロップ「調剤用」は、他剤と配合すると懸濁性が損なわれ、沈殿が生じる可能性があるため、配合後の秤取に際しては、軽く振盪し、均一化させて使用すること。」
飲む前に振ればOK、ってことになっているので、アスベリンシロップとトランサミンシロップを混合したからといって、計量混合加算の算定においては問題ない、と思っている。詳しい方がいたらご教授お願いします。

ダイオウとカマを混ぜちゃダメ?

カマとダイオウ末の混合という処方せんが来た。

普通に混ぜて調剤しましたが、あとで調べてみると、酸化マグネシウムとダイオウ末は配合注意になっていた。

制酸薬-酸化マグネシウムがアルカリ性のためセンナ、大黄と配合すると次第に赤褐色に変わる。変色しても無害で薬効に影響がない。

医薬品情報21 » Blog Archive » 緩下剤と制酸剤の相互作用

混ぜても問題ない。

でも、薬が赤くなるとビックリするので、一言添えておかないと後からクレームが来るので注意。

顆粒と細粒の混合

2種類の薬剤の粒子径が大きく違う場合には、混和では均等に混ざらないこともある。

顆粒と粉末を一包化するときなどは、二度まきが基本です。

二度まきとは、1剤目を分包機に投入してコンパートメントに落としてから、2剤目を分包機に投入する方法。

こうすることで、それぞれの薬剤が均等に分包される。

配合不適と調剤料

アスベリンシロップとトランサミンシロップを別々の容器に入れて渡した場合、同じ用法でもそれぞれ調剤料が算定できる、のか?

調剤報酬点数表に関する事項に、調剤料の算定について以下のように書かれている。

(イ) 1回の処方において、2種類以上の薬剤を調剤する場合には、それぞれの内服薬を個別の薬包等に調剤しても、服用時点が同一であるものについては、1剤として算定する。
(ロ) 服用時点が同一である薬剤については、投与日数にかかわらず1剤として算定する。
(ニ) (イ)及び(ロ)にかかわらず、次の場合は、それぞれを別剤として算定できる。
・配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
・内服用固型剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合
・内服錠とチュアブル錠又は舌下錠等のように服用方法が異なる場合

配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合、それぞれを別剤として算定できる。

配合不適等。
またあいまいな。

アスベリンシロップは、他のシロップと混ぜると再分散性不良となることが多い。
アスベリンの添付文書には、
「シロップ及びシロップ「調剤用」は、他剤と配合すると懸濁性が損なわれ、沈殿が生じる可能性があるため、配合後の秤取に際しては、軽く振盪し、均一化させて使用すること。」
とだけ書いてあり、とくにコレという医薬品名は書かれていない。
それに混合して調剤することに関しても、禁止したり混合しないように注意を呼び掛けてもいない。
混ぜたら軽く振ってください、としか言っていない。

この組み合わせは配合不適です。
という保険請求上明確なものがないので、判断に迷う。

配合しないほうがいいよー的なものであるならば、抗生剤と整腸剤の組み合わせとかも別剤算定できそーだし。ダメだろうけど。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

13 件のコメント

  • 長崎 達子 のコメント
         

    ニチコデ配合散と酸化マグネシウムの配合変化について教えてください。混合しても問題はないでしょうか?

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    特に問題ないと思います。

  • 匿名 のコメント
         

    トランサミンシロップとアスベリンシロップは
    再分散性良好ですよ。混ぜてOKです。
    以前は不良だったのかな?

  • nobo のコメント
         

    ザイザルシロップは単シロップで希釈できない理由は?

  • yakuzaic のコメント
         

    ダメ?なんですか?

  • Ingrid のコメント
         

    今更で恐縮です。どこを検索しても明確な答えにたどり着けずお伺いしたく宜しくお願い致します。
    内規等もあるのですが、シロップ剤を複数計量する場合、最初に水洗いしA計量後、また水洗いしBを測りとしている場合と、最初だけ水洗いし何剤測ろうとも間に水洗いを挟まず一気に測る場合と色々な人がおられますが、より正当なやり方はどちらとお考えですか?勿論、水剤の口はメートグラス等に付けないのは大前提です。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    教科書的なやり方は、その都度水洗いだと思います。おそらく粘稠性のあるシロップがメートグラスに残っていると0.5㏄くらい前に計量したシロップが残ってしまうのではないかと考えます。
    しかし、そう考えると、前に計量したシロップが0.5㏄少ないのではないか?極力グラスについたシロップが落ちてくるまで待っていたほうがいいのではないか。
    などなど、細かいこと気にしても、結局お母さんが計量する段階で雑に計ったら細かい努力も水の泡。
    若干少なめな調剤になってしまったとしても、完成した混合シロップの量がおおよそ容器のメモリと合致していれば、計量誤差の範囲内かと思います。
    繰り返しますが、正しいやり方は、その都度水洗いだと思います。私はしていませんが。

  • A のコメント
         

    就職したばかりで分からない事だらけです。こちらで勉強させて頂いています。
    ①去痰剤+気管支拡張剤2×のシロップが処方されているのに、ザイザルシロップ2×だけがRp別で処方されてくる理由はなんでしょうか?
    ②基本的なのことですが、粉、シロップは、Rp別の場合は別調剤ですよね?なぜでしょうか?先日来客されたお母さんから、お薬全部混ぜてストローで吸わせたけど、飲まなくなってきた。とお話を聞いて、困りました。全部飲まないと困るので抗生剤だけは別の方がいいとお返事しましたが、他のサイトでは小児の粉とシロップは全部混ぜて飲んでもいい、と記載を読み混乱中です。そして、Rp別の意味も分からなくなってしまいました。。。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    ①推測ですが、去痰+気管支拡張は咳に対して、ザイザルは鼻の症状に対して使うということで、必要無くなれば使わなくても良いという判断ができるように分けてあるのかも知れません。Drに聞かないとわかりませんね。
    ②Rp別の意味は、意味があったり無かったり、これもDrに聞かないとわかりませんが。味の好みは人それぞれで、結局は飲むことが重要で、親の都合や子供の機嫌もあるので、ケースバイケースで対応すれば良いんじゃないかと、個人的には思っています。

  • A のコメント
         

    ご回答ありがとうございます!一つ胸のつかえがとれました。
    もう一つ教えて下さい。配合不可、配合不適の処方の場合、飲む時患者さん自身が混ぜる事はどうなのでしょうか?服薬指導のポイント教えて下さい。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    患者さんは自分流の飲み方をする人もいるので、Cr錠を勝手に粉砕したりとか。
    配合不可の薬でも、飲むタイミングで混ぜることはほとんど問題ないと思います。ただ、味に影響のあるマクロライド系の薬などは他の薬で苦味が増してしまうこともあるので、注意が必要でしょう。それでも、飲めると言われれば「どうぞご自由に」と自分は思います。

  • のコメント
         

    酸化マグネシウム原末とマーズレンS配合顆粒は混合して問題ないでしょうか

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    問題ないと思います。

コメント


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プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
著書: 薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
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