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モルヒネの三大副作用
公開. 更新. 投稿者:癌性疼痛/麻薬/薬物依存.この記事は約4分32秒で読めます.
4,416 ビュー. カテゴリ:モルヒネの三大副作用
モルヒネはオピオイド受容体を刺激することによって鎮痛効果を示すのですが、麻薬性であることや使用した場合に副作用が高頻度で現れることが問題になります。
モルヒネの三大副作用と呼ばれるものに便秘、悪心・嘔吐、眠気があります。
これらは、使用した場合に高頻度で現れるものですから、治療にはそれらの副作用を和らげることが必要になります。
そこで、治療の開始からセンノシドなどの緩下薬やハロペリドールなどの制吐薬(ドパミンD2受容体桔抗薬)の併用が考慮されます。
また、副作用の眠気は過量投与のケースで生じるものなので、モルヒネの減量やモルヒネ以外の鎮痛補助薬の投与を考えます。
一方で、がん疼痛下ではモルヒネの鎮痛耐性や精神依存はほとんど形成されないことが知られていることから、投与量を増やして社会生活を営むことができるケースもあります。
麻薬と吐き気のメカニズム
麻薬(オピオイド)の副作用としては、吐き気、便秘、眠気が有名です。
このうち、吐き気についてのメカニズムは以下の①~④がある。
①中枢性メカニズム(μ、5-HT3、NK1、D2受容体など)
血中に入ったオピオイドがCTZのD2レセプターを直接刺激してこれがVC(嘔吐中枢)に伝わります。
直接CTZを刺激するのは抗癌剤の急性期嘔気・嘔吐と(5HT3レセプターが主ですが)同じメカニズムです。
②内耳性メカニズム(H1、μ、Achm受容体など)
H1、M1受容体を刺激することで前庭器が過敏になり、頭を動かすことでめまいを伴った嘔気・嘔吐が起きます。
③腸管運動低下メカニズム(Achm、μ、5-HT3、NK1、D2受容体など)
胃や十二指腸の運動性が低下して胃内容物が停滞して胃腸にある伸展受容器から迷走神経を経て刺激信号がVCに伝わる。
食後に噴出するような激しい嘔気・嘔吐が起きます。
また下部消化管の運動も低下して宿便やガスが多いことも原因となっていることも多いので注意が必要です。
④精神的メカニズム(大脳皮質からの刺激)
オピオイドに対する不安、以前にオピオイドで激しい嘔気・嘔吐を経験した、などで精神的な予期から高位中枢からの刺激信号が伝達されて嘔気・嘔吐を起こします。
比較的短期間に耐性ができる、有効な制吐剤があることなど投与前の丁寧な説明が必要です。
麻薬による吐き気への対応
嘔気・嘔吐はオピオイドの投与開始直後や増量時にしばしばみられる副作用であるが、通常は延髄レベルのドパミン受容体(D2受容体)を介するものが中心的な役割を果たすと考えられ、ドパミン受容体拮抗薬を基本的な副作用対策薬として用いることが多い。
一方、前庭神経を介すると考えられる、頭部の動きなどに伴って誘発されるめまいや嘔気・嘔吐も出現することがあり、これらの場合には抗ヒスタミン薬が有効である。
嘔気の出現はオピオイドの増量時にみられることがあるため、単に「吐き気がした」「吐いた」という訴えに対してドパミン受容体拮抗薬のみの増量や追加で対応すると、効果が不十分であったり薬剤性の錐体外路症状を生じる原因となる。
どのような吐き気か、あるいは、どんなことで吐き気が誘発されるかを知ることで適切な対処が可能になる。
吐き気に対する支持療法薬
吐き気はオピオイド鎮痛薬の投与開始時にみられます。
増量時にもみられることがあるので、オピオイド鎮痛薬の用量が増えたとき、オピオイド鎮痛薬が変更になったときにも制吐薬が処方されます。
オピオイド鎮痛薬の吐き気の発症機序は大きく3つに分けられ、それぞれに対し、制吐薬が使い分けられます。
ヒスタミンH1受容体を抑制する薬剤→動作時の吐き気に有効
中枢のドパミンD2受容体を抑制する薬剤→1日中続く吐き気に有効
消化管ドパミンD2受容体を抑制する薬剤→食後の吐き気に有効
オピオイドと眠気
オピオイドによる眠気は、投与開始初期や増量時に発現することが多いが、耐性が速やかに生じ、1週間以内にほぼ消失する。
一方、化学療法や放射線治療によって腫瘍が縮小し、疼痛の閾値が変化した場合は、相対的にオピオイドが過量となって、眠気が誘発されることがある。
オピオイドによる便秘
オピオイドが中枢のμ受容体に作用すると、腸管に分布する交感神経が緊張します。それにより、腸管神経叢におけるアセチルコリンの遊離抑制による腸管での分泌抑制や、セロトニン神経を介した腸管平滑筋の緊張により小腸・十二指腸の運動を低下させ内容物の排出時間の遅延を引き起こします。また、これらの作用は腸管壁内のμ受容体にも直接的に作用します。これらの作用には耐性が生じないので下剤の併用が必要となります。
モルヒネやオキシコドン、コデインはμ2受容体の作用によって便秘を生じます。フェンタニルは、特にμ1受容体に対する親和性が高く、μ2に対する親和性はモルヒネと比較して極めて低いオピオイドです。そのため副作用の便秘が生じにくいオピオイド製剤です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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2 件のコメント
拝読させていただきました。
下記か所に書き間違いがあったのでお知らせします
これらの作用には耐性が生じないので下痢の併用が必要となります。
コメントありがとうございます。
修正いたします。