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透析患者に使える下剤は?
公開. 更新. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約3分53秒で読めます.
12,696 ビュー. カテゴリ:透析と下剤
透析患者にマグネシウムは使っちゃダメ?
透析患者に使う下剤には、色々と制限がある。
まず、下剤服用時に水分量を多めに摂取することは、水分摂取の制限を受けている透析患者などの場合では不可能であり、下剤の選択時には注意が必要となります。
水分摂取が必要な膨張性下剤のカルメロースナトリウム(バルコーゼ)、塩類下剤の酸化マグネシウムは避けることが望ましいといえます。
特に酸化マグネシウムなどのマグネシウム製剤は、透析患者に禁忌、腎機能低下による高マグネシウム血症の危険性からも用いるべきではないといわれています。
ただ、酸化マグネシウム製剤の禁忌に透析患者が記載されているわけではない。
透析患者に対しては、少量の刺激性下剤が使用されることもありますが、それとともに、カリウム、リンを除去した水溶性の食物繊維の摂取が勧められることも多いようです。
特に、高齢の透析患者には、腹筋力が弱って内臓下垂が起こりやすいことや、腸管の蠕動力が低下しているなどの理由から、ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)やセンノシド製剤、漢方薬のセンナやダイオウなどの刺激性下剤がよく使われます。
また、D-ソルビトールのような浸透圧下剤や、ルビプロストン(アミティーザ)などの便を軟らかくする下剤が使われることもある。
D-ソルビトールには便秘の適応はないが、1回5gを3~4回服用し、便の硬さにより回数を調整する。
ルビプロストンは、小腸上皮に存在するクロライドチャネルを活性化することで、腸管内への水分泌を促進し、便を軟らかくし、腸管内の輸送を高めて排便を促す。
透析患者の便秘の原因の1つに、カリウム、リンの制限による野菜摂取量の低下、食物繊維の不足があり、食生活の中では、なるべくカリウムやリンが少なく、食物繊維が多い食材を利用したり、調理方法により、カリウムやリンを除去したりするような工夫が紹介されています。
また、このような食物繊維のサプリメントも市販されており、これらを活用することも効果的です。
透析患者と便秘
透析患者は、心不全を予防するために厳格な水分の摂取制限を行っており、その影響で便が硬くなりやすい。
また、腎機能が低下すると、腎臓からリンやカリウムが十分排泄されず血中の濃度が上がるため、透析患者はそれらを下げる薬を服用することになる。
だが、セベラマー塩酸塩(レナジェル、フォスブロック)のように樹脂であったり、沈降炭酸カルシウムのように不溶性の沈殿を生成する薬剤が多く、結果として、便秘を来しやすい。
加えて、食事からのカリウムやリンの摂取を制限するために、野菜類や豆類、海藻類が十分取れないことなども、便秘の原因となる。
カリメートとソルビトール
透析患者は酸化マグネシウムが禁忌となるため、その代替薬として、糖類下剤のラクツロース、ソルビトールが使われることがあります。
これらの下剤は酸化マグネシウムと同じ浸透圧下剤であるため腸管内に水分を保持することによって便を軟らかくする効果があります。
透析患者の便秘は不溶性の薬剤(リン吸着薬、カリウム吸着薬)により硬結便を示すことが多いことから、便秘になりやすい薬剤の服用者ではもっとも理にかなった下剤であると思われます。
しかし、カリメートやケイキサレートやアーガメイトゼリーの添付文書には、ソルビトールとの併用で腸管穿孔のリスク増が指摘されています。
カリメートDSの添付文書の注意書きに以下の記載がある1)。
ポリスチレンスルホン酸カルシウムのソルビトール懸濁液を経口投与し、結腸狭窄、結腸潰瘍等を起こした症例が報告されている。
類薬(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)で、そのソルビトール懸濁液を経口投与し、小腸の穿孔、腸粘膜壊死、大腸潰瘍、結腸壊死等を起こした症例が報告されている。
最近は、新しい下剤(アミティーザ、リンゼス、グーフィス)も増えているので、透析患者に使える下剤の選択肢は増えています。
参考文献
1)カリメートドライシロップ 添付文書
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4 件のコメント
便秘でこまっています。現在透析中です。現在ヨーデルとビーマス配合剤を5錠ずつ飲んでいますが効き目がありません。マグネシュウム入りの薬を処方してもらった時は、はげしい下痢になりました。最近新聞で30年ぶりの新薬としてアミテイーザがよいと言われていますが、透析患者が飲んでも大丈夫でしょうか。ご教示ください。
コメントありがとうございます。
アミティーザの添付文書には、
腎機能障害のある患者での薬物動態(外国人データ)血液透析を必要とする重度の腎機能障害のある患者に対して本剤24μgを単回経口投与し,健康成人と薬物動態パラメータを比較した.その結果,いずれの群ともに血中未変化体濃度は定量下限(10pg/mL)未満であった.また,重度の腎機能障害のある患者ではM3のCmax,及びAUCtは健康成人に比し,それぞれ25%及び12%高かった.
と書かれており、血中濃度は25%ほど高くなるので、注意は必要ですが、投与可能かと思います。
ヨーデルを5錠飲んでも効かなくて、カマで激しい下痢になる、なんてこともあるのですね。
酸化マグネシウムは緩下剤、マイルドな効果というイメージでしたので。
アミティーザもカマと同じような、腸内の水分量を増やすような薬理作用かと思いますので、効きすぎる可能性も否定できないかな、とも思いますが。
アミティーザ24HGを朝・夕に各1錠のんでますが、便が3日程、出ません。薬を変えた方かいいのでしょうか?透析歴5年です。宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
治療に関することについては主治医の先生にご相談することをお勧めいたします。
申し訳ありません。