2024年10月21日更新.2,469記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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片頭痛治療薬の一覧

片頭痛治療薬の一覧

分類商品名一般名剤形・規格
トリプタン系第一世代短時間作用型イミグランスマトリプタン錠(50㎎)、点鼻液、注射、キット皮下注
第二世代マクサルトリザトリプタン安息香酸塩錠(10㎎)、RPD錠(10㎎)
中時間作用型ゾーミッグゾルミトリプタン錠(2.5㎎)、RM錠(2.5㎎)
レルパックスエレトリプタン臭化水素酸塩錠(20㎎)
長時間作用型アマージナラトリプタン塩酸塩錠(2.5㎎)
ジタン系レイボーラスミジタンコハク酸塩錠(50㎎、100㎎)
エルゴタミン製剤クリアミンエルゴタミン酒石酸塩+無水カフェイン+イソプロピルアンチピリン配合錠(A1.0、S0.5)
Ca拮抗薬ミグシスロメリジン塩酸塩錠(5㎎)
抗セロトニン薬ミグリステンジメトチアジンメシル酸塩錠(20㎎)

片頭痛治療薬の分類

片頭痛治療の第一選択薬はトリプタン系の薬剤である。
その他、片頭痛に使われる薬には、鎮痛薬をはじめ、エルゴタミン製剤、Ca拮抗薬、キサンチン誘導体、抗てんかん薬、抗うつ薬など、適応外も含め多岐にわたる。

トリプタン系薬は有効性が高いが、多くの片頭痛患者は次の激烈な頭痛発作発現への恐怖感を持っており、トリプタン系薬を含む頓服薬はついつい依存してしまうため、過量服用に注意する。

トリプタン系薬

トリプタン系薬は、ステムが~トリプタンという一般名の薬である。

セロトニン5-HT1B/1D受容体に結合し、血管を収縮させて神経原性炎症を抑制する。発作が極期に達するまでのどの時期に服用してもある程度の効果を示す。
片頭痛の予防効果はない。

第一世代のスマトリプタンは脂溶性が低く髄液移行が悪いため、第二世代のゾルミトリプタンなどが開発された。スマトリプタンは即効性かつ強力だが吸収率が低く、無反応例が30%ある。

スマトリプタン以降のトリプタン系薬はスマトリプタンの利点を増し、副作用を軽減するよう工夫されている。
ゾルミトリプタンは脂溶性で中枢移行がよく、悪心、眠気、めまい、全身倦怠感などがみられる。スマトリプタンに反応しない患者の45%が本剤に反応したとの報告がある。

エレトリプタンは中枢移行はよいが消失も早いため、中枢性副作用は少ない。エレトリプタン20㎎経口はスマトリプタン100㎎と同等と考えられている。

リザトリプタンは脂溶性が高く中枢移行性も高い。内服2時間後の頭痛消失率は、トリプタン系薬で最も優れている。

ナラトリプタンは、日本で使われているトリプタン系薬の中で最も半減期が長い。忍容性も良好であるため、海外ではジェントル・トリプタンとも呼ばれている。

ジタン系薬

ジタン系薬は、ステムが~ジタンという一般名の薬である。現在日本ではラスミジタンしか販売されていないので、5-HT1F受容体作動薬と呼ばれることのほうが多い。

5-HT1F 受容体を刺激することにより、CGRPの分泌が減少し、血管の過度な拡張や炎症が抑制されるものと考えられている。
トリプタン系薬と異なり、血管内皮細胞の5-HT1B受容体への作用がほとんどないため、心血管系の副作用が少ないのが特徴である。

エルゴタミン製剤

エルゴタミン製剤は麦角アルカロイドという物質の一つである。日本ではあまり聞かないが麦角菌という麦に寄生するカビの一種に毒性があり、麦角中毒を引き起こすという。この麦角菌が産生するのが麦角アルカロイドで、医薬品としても多く利用されている。

セロトニン受容体に結合することで、強い血管収縮作用を発現する。
悪心・嘔吐などの副作用が強い。
トリプタン系薬の出現によって使用頻度は激減している。

主要な効果は前兆期~発作初期の服用による頭痛発作の頓挫であるため、可能な限り早期に服用したほうがよい。前兆のある発作には、前兆症状出現時に服用すると有効であり、発作開始後の服用は無効とされている。

Ca拮抗薬

Ca拮抗薬は高血圧に用いる降圧剤として有名であるが、その血管拡張作用を利用して片頭痛の予防にも用いられている。

脳血管を選択性に拡張し、片頭痛のきっかけとなる脳血管収縮を予防する。
片頭痛発作予防薬で、発作後には無効である。

抗セロトニン薬

抗セロトニン作用により、脳血管の収縮を抑制し、片頭痛を予防する。トリプタン系薬などがセロトニン作動薬であるのと逆の作用である。
ミグリステンはフェノチアジン骨格をもつフェノチアジン誘導体であるため、抗精神病薬に近い構造式である。眠気やふらつきに注意する。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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