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不妊症にステロイドが効く?
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約2分16秒で読めます.
2,167 ビュー. カテゴリ:不妊症とステロイド
クロミッド(クロミフェン)抵抗性の排卵障害の一つとして、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある。
多盤胞性卵巣は、卵胞の発育が不十分なために排卵が起こりにくく、超音波検査で卵巣辺縁に数珠状の嚢胞が認められるのが特徴である。
原因は不明だが、副腎性のアンドロケン(男性ホルモン)が過剰な例が多く、多毛、にきびなどが見られることがある。
治療では、ステロイド(副腎皮質ステロイド製剤)が併用される。
これは、副腎から分泌されるアンドロゲンを減少させることで、クロミフェンの効果を増強させられると考えられているためである。
またステロイドは、自己免疫異常を有する患者の不妊症にも使用される。
不妊症の女性では、自己免疫異常の指標となる抗核抗体や抗リン脂質抗体の陽性率が高い傾向にあることが分かっている。
その理由は不明な部分も多いが、自己免疫異常が認められる不妊症患者に、免疫抑制剤として少量のステロイドを併用することで、妊娠率がアップするという報告もある。
不妊症の原因は?
女性不妊症は、ホルモン分泌異常や卵巣機能不全などによる「排卵障害」、卵管の閉塞や癒着などの「卵管障害」、子宮内膜症などに起因する 「着床障害」などに分類される。
このうち排卵障害は、比較的頻度が高く、経口薬を使った薬物療法が行われることも多い。
排卵障害の第一選択薬は、クロミフェンクエン酸塩(クロミッド)である。
排卵は通常、(1)視床下部がGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌、(2)下垂体がGnRHに刺激され、FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)を分泌、(3)卵巣がFSHやLHの刺激で排卵一といった順で起きる。
こうした排卵までの流れは、刺激された卵巣が放出するエストロゲンの量によってフィードバック制御されている。
具体的には、視床下部の受容体が血中エストロゲンの上昇を感知し、GnRHの分泌をストップする。
この視床下部の受容体において、クロミフェンは、内因性のエストロゲンと競合的に結抗し、エストロゲンによるフィードバック機櫛を遮断して、GnRHの分泌を促進するのである。
高プロラクチン血症による不妊
クロミフェンに反応しない抵抗性の排卵障害では、患者の病態に応じて、種々の薬剤が併用される。
抵抗性の排卵障害患者に比較的多いのが、高プロラクチン血症である。
プロラクチンは、分娩後に乳汁の分泌を促す作用を有する。
この分泌にも、FSHやLHと同様、視床下部と下垂体が関与したフィードバック制御機構がある。
すなわち、視床下部から分泌されたPRH(プロラクチン放出ホルモン)が下垂体を刺激することでプロラクチンが分泌されるが、血中プロラクチン濃度が高いと視床下部は自らの機能を低下させ、PRHを分泌しなくなる。
このため、高プロラクチン血症の状態だと、フィードバック制御による視床下部の機能低下で、GnRH分泌までもが抑制され、結果的に排卵障害が起きる可能性がある。
このような考えから、高プロラクチン血症を伴う排卵障害患者には、プロラクチンの分泌を抑制するドパミンD2受容体刺激薬であるブロモクリプチンメシル酸塩(パーロデル)やテルグリド(テルロン)が使用される。
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