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グレープフルーツジュースで効果が落ちる薬
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約3分10秒で読めます.
5,215 ビュー. カテゴリ:GFJとOATP
グレープフルーツジュースと医薬品の相互作用のメカニズムといえば、肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4阻害により、代謝されなくなった薬の血中濃度が上昇するメカニズムである。つまり、CYP3A4によって代謝される薬の効果が上がる。必要以上に効きすぎる、副作用が出るということが心配されるのである。
しかし、グレープフルーツジュースによる相互作用のもう1つのメカニズムとして、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)の阻害というものがある。
小腸上皮細胞には、基質薬を消化管管腔から細胞内へ取り込む働きをするトランスポーターが存在する。
その1つが、有機アニオンを基質とする取り込みトランスポーターであるOATPであり、ヒトにおいては11の分子種が知られている。
そのうち、OATP1A2とOATP2B1が小腸上皮細胞の管腔側膜上に発現しており、薬物の吸収に関与している。
グレープフルーツジュースはOATP1A2を阻害し、基質薬の血中濃度を低下させる。
オレンジジュースやアップルジュースもOATP1A2を阻害する。
OATP1A2の基質であるフェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)やアテノロール(テノーミン)、セリプロロール塩酸塩(セレクトール)はこれらのジュースと同時服用すると、血中濃度が低下する。
ただし、グレープフルーツジュースによるCYP3A4の阻害は不可逆的であり、ジュース飲用後、その影響は3日程度は持続するが、OATPの阻害は可逆的であり、ジュース摂取4時間後では相互作用は認められていない。
アレグラとグレープフルーツジュース
アレグラの添付文書にはグレープフルーツジュースとの相互作用は載っていません。
しかし、アレグラはグレープフルーツジュースと一緒に摂取すると血中濃度が低下する可能性があります。
そのメカニズムはOATP(有機アニオントランスポーターポリペプチド)によるもの。
グレープフルーツジュースがOATPを阻害し、アレグラの消化管吸収が減少します。
グレープフルーツジュースと併用すると、代謝が阻害されて血中濃度が上昇するものが多いですが、アレグラの場合は血中濃度低下なので注意。
果実ジュースとOATPs
果実ジュースによるOATPs阻害は可逆的であり、ジュース飲用時点と薬剤服用時点の間隔を適切に空けることで相互作用は回避できる。
まずは果実ジュースの飲用頻度を尋ね、常に飲用していれば控えるように指導する。
空けるべき間隔は、フェキソフェナジンの場合、グレープフルーツジュースの飲用後2時間が経過した時点でもOATPs阻害効果が持続するが、飲用後4時間では消失するとの報告がある。
このため、ジュース飲用後は4時間以上の間隔を空けてフェキソフェナジンを服用するよう指導するといいだろう。
一方、フェキソフェナジン服用後の果実ジュースの影響を検討した報告はないが、フェキソフェナジンの最高血中濃度到達時間(tmax)は約2時間であり、服用時点から少なくとも2時間以上の間隔を空けてジュースを飲用すればよいと思われる。
β遮断剤のセリプロロール、アテノロールの相互作用を回避する方法は検討されていないが、少なくとも果実ジュースの常時飲用は中止すること、また服用時の同時飲用は避けるように指導し、その後の経過を観察すればよいであろう。
なおセリプロロールは、空腹時に服用した場合、食後服用に比較してCmaxが2倍となる報告があるため、朝食後服用も厳守させる。
ジゴキシン、グリベンクラミド、レボチロキシンでは、果実ジュースと併用しても血中濃度の変化は少ない。
だが、ジゴキシンの有効血中濃度域は狭いこと、グリベンクラミドを服用する糖尿病患者では果実ジュースの糖分の過剰摂取が問題になること、またレボチロキシンは飲食物のミネラルとキレートを形成するなど相互作用を起こしやすいことも考慮し、果実ジュースの常時飲用や同時飲用を避ける。
4時間空ける
グレープフルーツジュースを飲んだ時に、CYP3A4阻害の場合には3~5日経っても、その阻害効果が持続するという報告がありましたが、OATP1A2に関しては、阻害効果が2時間ほど持続するという報告があります。
4時間空けて飲むと影響はないと言われています。
ジュースを飲んでから2時間後にフェキソフェナジンを飲んだ場合でも、血中濃度は38%ぐらい下がったという報告があります。
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