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しゃっくりに適応のある薬は?
公開. 更新. 投稿者:漢方薬/生薬.この記事は約3分39秒で読めます.
11,958 ビュー. カテゴリ:しゃっくりに効く薬
しゃっくりに効く薬ってあるの?
吃逆にセルシンという処方があった。
しゃっくりにリボトリールという処方もある。
しゃっくりは横隔膜の痙攣、ミオクローヌス(筋肉の不随意収縮)であり、てんかんの一種と考えると、抗てんかん薬的な薬が効きそうなので、ジアゼパムも痙攣止めとして効くのだろう。
セルシンじゃなくても、筋弛緩作用をもつ抗不安薬であれば効きそう。
ちなみに、吃逆に適応をもつ薬で検索してみると、
ウインタミン/コントミン(クロルプロマジン塩酸塩)、コタロー呉茱萸湯エキス細粒がヒットした。
ウインタミン/コントミンの適応は「統合失調症,躁病,神経症における吃逆」である。
作用機序は、ドパミン受容体の拮抗作用によってγアミノ酪酸(GABA)系神経の賦活作用が進み、吃逆中枢の働きを抑制すると考えられる。
吃逆の副作用
吃逆(しゃっくり)を止める方法としては、息を止める、氷水を飲む、驚かせてもらうなどの対処法を行うことがあるが、薬を処方するほど困ることはあまりない。
しかし、抗がん剤などの副作用で「吃逆」というのもあり、長時間続くとつらいものである。
吃逆を起こす薬としては、注射薬のシスプラチンやオキサリプラチン、制吐薬として使用するデキサメタゾンなどがある。
抗癌剤やステロイドでなぜ吃逆が起こるのか、その機序は現時点では明らかになっていない。
ただ、吃逆中枢が延髄疑核近傍網様体内にあり、GABAによる抑制を受けているため、GABAとしゃっくりの関係性が指摘されている。
GABA拮抗作用をもつ薬剤は吃逆誘発作用をもつと考えられる。
ステロイドはGABA促進作用と拮抗作用という相反する作用をもつことが報告されているが、吃逆中枢ではGABA拮抗作用が強いと考えられる。
ニューキノロン系抗菌薬はGABA拮抗作用による痙攣誘発作用があり、吃逆誘発も同じ機序によると考えられる。
抗腫瘍薬には痙攣誘発性のある薬剤があり、白質変性作用をもつことなどが示唆されGABA作用と関係する可能性が考えられる。
吃逆と柿の蔕
しゃっくりくらいで、病院に行くこともないと思いますが、漢方薬の芍薬甘草湯や呉茱萸湯などがしゃっくりに効きます。
柿のヘタを煎じたものも効果があるらしい。
作り方は、柿のヘタ20個を200mLの水で約100mLになるまで煎じます。
有効成分は不明です。
柿蔕湯
昔からしゃっくりに使われてきた漢方薬に柿蔕湯というものがある。
シテイ(柿のヘタ)、チョウジ(グローブ)、ショウキョウ(しょうが)の3薬草が含まれる。
芍薬甘草湯と吃逆
しゃっくりの治療に芍薬甘草湯が用いられることがあります。
芍薬甘草湯は急激におこる骨格筋や平滑筋のけいれん性疼痛等の改善効果が期待できます。
芍薬甘草湯は即効性があることや、長期服用により低カリウム血症が懸念されることから、頓服で使用されます。
その他の漢方では、呉茱萸湯が用いられることがあります。
こちらは予防もかねて長期間服用をします。
しゃっくりを100回すると死ぬ?
しゃっくりが100回すると死ぬという俗説がありますが、通常は人体にはあまり影響はありません。
ただし、尿毒症、脳腫瘍などの内臓疾患や神経疾患が原因でしゃっくりが発生する場合もあり、長時間にわたって頻繁にしゃっくりになるような場合は注意が必要です。
ギネスブックによれば、しゃっくりの世界最長記録保持者はアメリカのチャールズ・オズボーン (1894-1991) で、しゃっくりは1922年に始まり、以後68年間、毎分40回(その後、毎分20回に低下)のペースで続いたらしい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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2 件のコメント
はじめまして。記事を読ませていただきました。実は私の妻86才が、食事中に時々吃逆を起こしその時苦しんでいるの見ると何とか良い薬なないものかと思っております。その状態が起きるのを見ると硬いおかずや流動性の悪い食物を口にするときが多い用です。この対策としてお茶などを飲みながら食べると効果があるのでしょうか。ご教示願います。
コメントありがとうございます。
食事中の吃逆はつらそうですね。嚥下に関して言えば、あまり流動性が高い液状のものもむせやすいので、ゼリー状のとろみがあったほうが飲みやすいです。片栗粉などでとろみをつけるとよいか、そのような専用のとろみ剤なども販売されているかと思います。