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ロケルマ懸濁用散は透析日に使っちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約3分25秒で読めます.
9,842 ビュー. カテゴリ:新規カリウム吸着薬ロケルマ
カリメート、ケイキサレート、アーガメイトゼリーといったカリウム吸着薬に新たなラインナップが加わった。
その名は「ロケルマ懸濁用散」。成分はジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物。
微細孔構造を有する非ポリマー無機結晶の陽イオン交換化合物で、経口投与後、消化管のうち主に腸管内でカリウムイオンを捕捉することで対外に排出し、血清カリウム値を低下させる。
ロケルマの分子式は、NaxHyZrSi3O9・zH2O (x+y=2, 2≦z≦3)と記載されており、炭素原子を含まない無機化合物である。
ロケルマのカリウムイオン選択性
一般に、カリウム吸着薬はカリウム以外の陽イオンも捕捉しやすいとされている。カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンを様々な割合で含有する水20mLに、ジルコニウムシクロケイ酸または同濃度のポリスチレンスルホン酸ナトリウムを懸濁させて比較したところ、ジルコニウムシクロケイ酸はカリウムイオン以外の捕捉は検出限界以下で、カリウムイオンへの親和性は他の陽イオンの25倍であった。
一方、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは他の陽イオンの吸着量が多く、カリウムイオンへの親和性は他の陽イオンの0.2~0.3倍であった。
ジルコニウムシクロケイ酸は体内に吸収されない均一な微細孔構造を有し、消化管内でカリウムイオンを選択的に捕捉して排泄させ、血清カリウム値を低下させる。他のカリウム吸着薬と異なり、一価の陽イオンを選択的に取り込むとされるが、それはジルコニウムシクロケイ酸の微孔開口径がカリウムイオンの大きさ2.98オングストローム(Å)とほぼ同じ約3Åであり、カルシウムイオンの2.00Å、マグネシウムイオンの2.34Åと異なり、ほぼ選択的にカリウムイオンを捕捉可能なためと考えられる。
ロケルマの用法
ロケルマでまず気になる点は、用法である。
通常、成人には、開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間経口投与する。なお、血清カリウム値や患者の状態に応じて、最長3日間まで経口投与できる。以後は、1回5gを水で懸濁して1日1回経口投与する。なお、血清カリウム値や患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1日1回15gまでとする。
血液透析施行中の場合には、通常、1回5gを水で懸濁して非透析日に1日1回経口投与する。なお、最大透析間隔後の透析前の血清カリウム値や患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1日1回15gまでとする1)。
使用開始後2日間は1回10gを1日3回という多めの使用量が設定されているが、処方元が開始用量を守ってくれるだろうか?
また、ロケルマ懸濁用散分包には5g/包と10g/包があるが、5g/包は1包 1069.30円で、10g/包は1包 1567.00円と値段に差がある。開始用量の1回10gを5g×2包で調剤した場合、支払い側から査定されるだろう。10g/包を用意しておく必要があるが、初回にしか使用しない、かつ28包入りのうち最大でも1回9包しか使わないため、ほぼデッドストックになること決定の残念な包装単位である。
また、透析中の場合、非透析日のみの使用であるため、投与スケジュールの確認が必要である。
透析を行っていれば、透析によりカリウム値は補正されるが、次の透析日までカリウム値が上昇してしまうので、非透析日のみ薬を飲むのは理にかなっている。
透析でカリウム値が下がっているのに追加してカリウム吸着薬を飲めば低カリウム血症のリスクも上がる。
また、水分制限をしている透析患者にとって、薬の服用に伴う水分摂取を減らせるのは助かる。
ロケルマ1日1回
カリメートDSの用法が、「1日16.2~32.4gを2~3回」
ケイキサレートDSの用法が、「1日量39.24g を2〜3回」
アーガメイトゼリーの用法が、「1日75〜150gを2〜3回」
となっているのに対し、ロケルマの通常維持量が「1回5gを水で懸濁して1日1回」と少ない点もメリットである。
ロケルマの相互作用
ロケルマの添付文書には以下のように記載されている。
「In vitroにおいて本剤は、カルシウムやマグネシウムのような他のイオンの存在下でも、カリウムイオンに対する高い選択性を示す」
カリウム選択性が高い。
ケイキサレートやカリメートが、電解質関連の相互作用や副作用を持つのに対し、ロケルマにはアルミニウム、マグネシウム、カルシウム関連の副作用、相互作用の記載はない。
ただし、抗HIV薬、アゾール系抗真菌剤、チロシンキナーゼ阻害剤といった薬との同時使用を避け、2時間間隔をあけるように指示されているため注意が必要。
参考文献
1)ロケルマ懸濁用散分包 添付文書
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