2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

腎機能に応じて減量する糖尿病薬

腎機能と薬

糖尿病患者では、糖尿病性腎症によって、腎機能が低下するケースもあるが、腎機能が低下している患者では減量が必要となる薬も多い。

腎機能が低下した患者では、薬剤を体外に排出する能力が落ちており、薬が効きすぎたり、中毒量になってしまう危険性があるため、腎機能低下の程度に応じて、通常よりも減量した薬剤の投与を行ったり、投与間隔を調整する、あるいは腎臓からの排出の少ないタイプの薬を選ぶといった対応がとられる。

が、しかし、そのような対応をとらずに、常用量のまま投与してしまうケースがあり、日本医療機能評価機構により注意喚起されている。

腎機能低下患者への薬剤の常用量投与

挙げられている薬の添付文書をみてみると、

クラビット↓

シベノール↓

バルトレックス↓

エディロール?
エディロールの添付文書をみてみても、腎機能による用量調節について具体的な記載は無かった。腎機能低下例には0.5μgを使わないとダメなのだろうか。

まずそれは置いておいて、糖尿病患者では腎機能が低下していることが多いが、糖尿病用薬であるDPP-4阻害薬では腎機能に応じて減量が指示されている。

一般名商品名用法用量排泄経路(未変化体尿中排泄率%)腎機能障害者の用量腎機能低下(中等度:30≦CrCl<50)腎機能低下(重度:CrCl<30)
シタグリプチンジャヌビア/1日1回50~100㎎腎(79-88)Ccr等に応じて用量調節1日1回25~50㎎1日1回12.5~25㎎
ビルダグリプチンエクア1日1回50㎎~1日2回100㎎肝腎(22.7)中等度以上は1日1回投与1日1回50㎎1日1回50㎎
アログリプチンネシーナ1日1回25㎎腎(73)Ccr等に応じて用量調節1日1回12.5㎎1日1回6.25㎎
リナグリプチントラゼンタ1日1回5㎎胆汁(0.6)調節不要
テネリグリプチンテネリア1日1回20~40㎎肝腎(21-22)調節不要
アナグリプチンスイニー1日2回200~400㎎腎(49.9)重度、末期は1日1回投与1日2回200~400㎎1日1回100㎎
サキサグリプチンオングリザ1日1回2.5~5㎎肝腎(15.8、活性代謝物22.2)中等度以上は2.5mg1日1回2.5㎎1日1回2.5㎎
トレラグリプチンザファテック1週1回100㎎腎(76)Ccr等に応じて用量調節1週1回50㎎1週1回25㎎
オマリグリプチンマリゼブ1週1回25㎎腎(74)重度、末期は12.5mg1週1回25㎎1週1回12.5㎎

糖尿病用薬を処方するような医師は、常に腎機能については意識していると思われるので、クラビットやバルトレックスの用量のように「腎機能によって調節することを知らなかった」という医師は少ないだろうとは思うが、失念することもあるだろう。
注意する。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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