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再生不良性貧血から白血病になる?
公開. 更新. 投稿者:血液/貧血/白血病.この記事は約4分49秒で読めます.
3,009 ビュー. カテゴリ:再生不良性貧血
再生不良性貧血という病気がある。
貧血といえばほとんどが鉄欠乏性貧血ですが、再生不良性貧血は重篤な貧血、クロラムフェニコールの副作用という知識しか持ち合わせていない。
掘り下げて調べてみる。
再生不良性貧血から白血病になる?
白血病の患者に偽りの病名として「再生不良性貧血です」と伝えられることがあるという話を聞く。
現在では白血病の生存率も上がっているので、どの程度行われている嘘なのかわかりませんが。
どちらも症状としては、発熱や倦怠感という風邪のような症状、息切れ・動悸・めまいという貧血症状、皮下出血・歯肉出血・鼻出血という出血傾向があり、症状だけでの鑑別診断は難しい。
白血病と再生不良性貧血の違いをわかりやすく例えると、骨髄を血液細胞を製造する工場に例えて、工場の機械が故障して止まってしまったのが再生不良性貧血で、機械が故障して不良品ばかり造ってしまうのが白血病です。
再生不良性貧血は、骨髄の機能が低下し、全ての血球が減少する病気。白血球、赤血球、血小板も減少する。(再生不良性貧血の特殊なパターンとして赤血球だけが減少する赤芽球癆という病気もある。)
全ての血球が減少するので、汎血球減少症とも呼ばれる。
白血病は病的な血液細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的、つまりコントロールされることなく無秩序に増加する疾患です。
骨髄での白血病細胞の増加によって正常な造血細胞が造血の場を奪われることで正常な造血が困難になり、血液にも影響が及ぶ。
白血病も再生不良性貧血も、骨髄の機能異常というカテゴリーでは同じ。
免疫抑制療法によって改善した例でも、約15%が骨髄異形成症候群、その一部は急性骨髄性白血病に移行し、約30%が発作性夜間ヘモグロビン尿症に移行する。
再生不良性貧血 – Wikipedia
再生不良性貧血→骨髄異形成症候群→白血病 というパターン。
治療によって復活した骨髄の機能が故障しているというケースもあるようだ。
再生不良性貧血の治療
再生不良性貧血の生存率は昔は3割程度でしたが、現代では治療技術も上がり8割程度と言われている。
薬局に処方せんを持ってくる患者では、ネオーラルやプリモボランといった薬が処方される。
再生不良性貧血の原因は不明ですが、ほとんどの例で免疫学的機序が原因であり、自己Tリンパ球が造血幹細胞を攻撃することによって、汎血球減少が生じると考えられています。
そのため、免疫抑制剤のネオーラルが使われる。
蛋白同化ステロイドであるプリモボランは腎臓に作用し、赤血球産生を刺激するエリスロポエチンというホルモンを出させるとともに、造血幹細胞に直接作用して増殖を促すと考えられています。
ボンゾールが再生不良性貧血に効く?
Q:ボンゾール錠(ダナゾール)を貧血の治療に使うことはあるか?
A:テストステロン誘導体のダナゾールは蛋白同化ホルモンで,子宮内膜症や乳腺症の治療薬だが,造血機能を高めて赤血球や血小板を増やす作用があり,再生不良性貧血や血小板減少性紫斑病の治療に使うことがある。効果は一定ではなく,他剤が無効の場合に使用する(保険適応外使用)。ただし,肝障害等の発現頻度が高く,注意を要する。
質疑応答 2008年4月
ボンゾールといえば子宮内膜症の治療薬という知識しかなく、作用機序的なものについてはよく知らなかった。
蛋白同化ホルモンは造血機能を高めます。
なので、貧血に効く。
効能効果は「子宮内膜症」しかないので、他の疾患に使う場合には適応外です。蛋白同化ホルモンのプリモボランには再生不良性貧血の適応があります。
ボンゾールはプリモボランほど男性化作用は強くないため若年女性にも投与しやすいという利点があるが、妊孕能を低下させる可能性がある。
ボンゾール
ダナゾール製剤は、GnRHアゴニストの開発前はよく用いられたが、肝障害や血栓の副作用発現頻度が高いため現在では第一選択薬ではない。
米国ではダナゾール局所投与療法用の vaginal ring の治験が進行中である。
ダナゾールは17α-ethinyl testosteroneの誘導体であり、子宮内膜症の治療薬としては最も古くから使用されている。
肝機能障害や血栓症などの重篤な副作用を認めたため一時使用が控えられたが、低用量長期投与など投与方法の工夫により副作用が軽減され疼痛除去効果が報告されるようになり有効性が見直されてきている。
下垂体ゴナドトロピン分泌抑制作用、卵巣におけるステロイドホルモン産生酵素の活性抑制作用、子宮内膜症組織への直接増殖抑制作用などを示す。→子宮内膜症組織が萎縮する。
・男性ホルモンであるテストステロン誘導体である。
・GnRHアゴニストほど作用は強くないが、逆に強い卵巣欠落症状(更年期障害様症状など)はみられない。
・約4ヶ月間の連続投与を行う。
・血栓症を引き起こすことがあり、血栓症の既往のある患者さんは禁忌である。また、40歳以上の患者さんは血栓症の危険性が高くなるため注意が必要である。
・男性化をもたらし、ざ瘡(にきび)や蛋白同化作用による体重増加などが認められる場合がある。
・女性胎児の男性化を起こすことがあるため、妊婦または妊娠している可能性のある婦人は禁忌である。
・母乳中に移行するおそれがあるため、授乳婦は禁忌である。
・投与期間中はホルモン剤以外の方法で避妊させる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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