更新日:2016年12月21日.全記事数:3,096件.今日の勉強

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メトグルコを不妊治療に使う?


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メトグルコと不妊症

メトグルコ(メトホルミン)は、インスリン抵抗性の改善を介して卵胞の発育を促します。
インスリンによってアンドロゲン産生が亢進しているタイプの不妊症では、メルビン(塩酸メトホルミン)の服用で、排卵率や妊娠率が上昇すると報告されています。

不妊症の原因となる病態の一つに、多嚢胞性卵巣症候群(PCOSまたはPCO)がある。
PCOSは、腫大した卵巣の被膜下に、発育を停止した卵胞が多数見られる病態(多嚢胞性卵巣)で、背景には内分泌系の異常がある。
卵子を成熟させ、排卵を促す女性ホルモンの分泌量は、脳下垂体から分泌される2種類のホルモン、すなわち卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)によって制御されている。
PCOSの患者では、血中のFSH量は正常だが、LH量が高値になっており、女性ホルモンのプロゲステロンだけでなく、アンドロゲン (男性ホルモン)の産生も亢進する。
アンドロケンが過剰になると、卵胞の発育が抑制され、無月経や無排卵周期症などの排卵障害が表れる。
このほか、日本人には少ないものの多毛などの男性化徴候や肥満、糖尿病などを合併することもある。

PCOSの治療法として、メトホルミン塩酸塩(グリコランメトグルコ)などの、インスリン抵抗性改善作用を持つ糖尿病治療薬が処方されることがある。
これはPCOSによる排卵障害にインスリン抵抗性が関与しているとの知見が得られているためである。
PCOSの患者では、血糖値は正常範囲でも、インスリン抵抗性が増強しており、代償性に血中インスリン濃度が上がっているケースがある。
インスリンはLHと同様に、卵巣に直接作用してアンドロゲン産生を亢進する。
そこで、インスリン抵抗性を改善する薬を使って代償性の高イ ンスリン血症を改善し、排卵機能を 高める治療が行われるようになった。
中でもメトホルミンは、単剤、あるいはクロミフェンクエン酸塩(クロミッド)などの排卵誘発剤との併用で、高い排卵率・妊娠率が得られたと報告されている。
そのため、欧米ではPCOSによる 排卵障害治療の第一選択薬としてメトホルミンが使用されるようになっており、日本でも処方されるようになった。
PCOS治療にメトホルミンを用いる場合、卵胞が発育を始めてから排卵するまでには80日程度かかるので、メトホルミンのみを2カ月程度、漸増しながら服用した後、クロミフェンなどの排卵誘発剤を併用するという処方が一般的である。
ただし処方にはバリエーションがあるため、患者には医師の指示通りの服用を行うよう説明する必要がある。
また、処方量にもよるが、メトホルミンの服用で、およそ半数の患者に下痢、4分の1に吐き気や嘔吐が表れるとされる。

毛深いのは多嚢胞性卵巣症候群のせい?

女性や小児において、男性ホルモン(アンドロゲン)依存性の発毛が認められる場合を多毛症と呼ぶ。

「多毛」といっても、毛の本数が増加するわけではなく、軟毛(産毛)が肥大化、あるいは硬毛へと変化する。

多毛症は、原因不明の「特発性多毛症」と原因疾患を伴った「続発性多毛症」に分類される。
特発性多毛症は多毛症全体の約5割を占めており、血液中の男性ホルモンは正常だが、皮膚のアンドロゲン感受性が亢進している。
一方、続発性多毛症は特発性多毛症と病態を異にしており、男性ホルモンが過剰に産生されている。

続発性多毛症の原因疾患として最も頻度が高いのは多嚢胞性卵巣症候群で、多毛症全体の約4割を占める。

多嚢胞性卵巣症候群とは、小さな嚢胞が卵巣に多数出現する疾患で、黄体化ホルモンの異常分泌によって卵巣間質でのアンドロゲン産生が増加することが知られている。
その結果、多毛症を含めた男性化徴候が現れるものと考えられている。

参考書籍:日経DI2003.10、日経DIクイズベストセレクションSTANDARD篇

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