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ステロイドは高血圧に禁忌?
公開. 更新. 投稿者:高血圧.この記事は約2分30秒で読めます.
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プレドニンやデカドロンなどのステロイドは高血圧患者に原則禁忌となっている。
添付文書には「高血圧症の患者〔ナトリウム・水貯留作用等により、高血圧症が増悪するおそれがある。〕」と記載されている。
副腎皮質ステロイドを服用すると血圧が高くなるのはなぜか?
ミネラルコルチコイド作用により、ナトリウム再吸収促進による血圧上昇、低カリウム血症がみられ、細胞外液量の増加を介して高血圧を生じる。
またグルココルチコイド作用による血圧上昇は十分には解明されていないが、レニン基質の産生増加によるアンジオテンシンⅡ産生増加と腎臓のカリクレインおよびプロスタグランジンE2産生低下、血管平滑筋細胞におけるアンジオテンシンⅡ受容体の増加、エリスロポエチン産生増加による血管収縮、血管内皮における一酸化窒素(NO)の産生抑制、スーパーオキシド過剰産生によるNOの利用障害による血管内皮機能障害などが考えられている。
ステロイドを長期間服用するときには、血圧の変動に注意する。
原因薬剤 | 高血圧の原因 |
---|---|
NSAIDs | 腎プロスタグランジン産生抑制による水、Na貯留と血管拡張の抑制 |
甘草、グリチルリチン | 11β水酸化ステロイド脱水素酵素阻害によるコルチゾール半減期延長に伴う内因性ステロイド作用の増強 |
グルココルチコイド | NO産生低下、レニン基質の産生増加、エリスロポエチン産生増加など |
シクロスポリン、タクロリムス | カルシニューリン基質の脱リン酸化の阻害、AT1受容体の増加、交感神経系の賦活、内皮機能障害など |
エリスロポエチン製剤 | 血液粘稠度の増加、内皮機能障害など |
エストロゲン | 肝でのアンジオテンシノーゲンの産生の亢進 |
MAO阻害薬、抗うつ薬 | 内因性カテコラミンの作用増強 |
抗VEGF産生抗体医薬品 | 細小血管床の減少、NO産生の低下など |
高血圧の10%は副腎の異常?
高血圧の原因は?と聞かれれば、「塩分の過剰摂取」と答える。それだけではありませんが。
高血圧の原因として、「原発性アルドステロン症」という疾患が注目されている。
副腎からホルモンの一種が過剰に分泌されて高血圧になる「原発性アルドステロン症(PA) 」。
高血圧の10%、副腎の異常 ホルモンの過剰分泌が原因 「降圧剤無効なら疑って」 医療新世紀 – 47NEWS(よんななニュース)
患者は高血圧の人の1%以下とされてきたが、近年の研究で10%前後に上るとの考えが有力になってきた。
生活習慣病の高血圧とは異なり、副腎の摘出手術やホルモンの働きを抑える薬で治療できることから、専門家は「医師も患者も、複数の降圧剤が無効の場合、この病気を疑ってほしい」と呼び掛けている。
原発性アルドステロン症は稀な病気と思われていましたが、3500万人といわれる日本の高血圧患者に当てはめれば百万人単位ということになります。
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