記事
ビオフェルミンとラックビーの併用?
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約4分18秒で読めます.
13,681 ビュー. カテゴリ:整腸剤の併用はアリか?
同種同効薬の併用は疑義照会の対象である。
建前として。
ビオフェルミン配合散とラックビー錠の併用という処方をみかけた。
ビオフェルミン配合散はラクトミン+糖化菌。
ラックビー錠はビフィズス菌。
違う、のかな。
ちなみにビオフェルミン錠はビフィズス菌。
ビオスリーってのもありますが、これはラクトミン+糖化菌+酪酸菌。
ミヤBMは酪酸菌。
なので、ビオフェルミン配合散+ミヤBMでビオスリー。
ビフィズス菌+ラクトミンで、ビオスミンという薬もあります。
わかんなくなった。まとめよう。
ラックビー錠:ビフィズス菌
ビオフェルミン錠:ビフィズス菌
ビオフェルミン配合散:ラクトミン+糖化菌
ミヤBM:酪酸菌
ビオスリー:ラクトミン+糖化菌+酪酸菌
ビオスミン:ビフィズス菌+ラクトミン
で、どれが一番効きますか?
なんて、聞かれてもわかりません。
どのメーカーのヨーグルトが一番お腹に良いのか、なんてこともわからないのと同じで。
医師の意図的には、ビフィズス菌とラクトミンの併用で相乗効果を狙ったのかな。
じゃあ、ビオスミン散で良いじゃん、とか思うなかれ。
ビオスミンにはバラ包装しかありません。
ビオスミンの処方なんて、流れてきたら嫌です。
ビオフェルミン散とビオフェルミン配合散の違い
知らなかったのだが2022年12月9日に「ビオフェルミン散剤」が発売されていた。
ビオフェルミン散って今まで無かったっけ?と思いつつ確認すると、今まで存在していたのは「ビオフェルミン配合散」と「ビオフェルミン錠」、シンプルな散剤は無かった。今さら感は拭えない。
ビオフェルミン散の成分は、ビフィズス菌。
ビオフェルミン錠の成分も、ビフィズス菌。
ビオフェルミン配合散の成分は、ラクトミンと糖化菌。
ちなみに、ビオフェルミンR錠とビオフェルミンR酸は耐性乳酸菌。
整腸剤に含まれる菌種には、ビフィズス菌、乳酸菌(ラクトミン)、酪酸菌、糖化菌があります。
ビフィズス菌は偏性嫌気性菌で、小腸下部から大腸にかけて増殖し、乳酸および酢酸を産生する。有害菌増殖抑制作用、腸管運動促進作用がある。
乳酸菌は通性嫌気性菌で、小腸から大腸にかけて増殖し、乳酸を産生する。増殖性ならびに乳酸生成能が高く、有害菌の発育を阻止することにより、腸の粘膜を保護する。
酪酸菌は偏性嫌気性菌で、芽胞を形成する。酪酸の産生能が高く、大腸で増殖する性質を有する。
糖化菌は偏性好気性菌で、芽胞を形成する。小腸上部より増殖を始め、乳酸菌の増殖促進作用がある。
ビフィズス菌も乳酸菌の仲間だと思っていたが、乳酸だけでなく酢酸も作る。
芽胞があるほうが抗生物質に耐性があるそうだ。
ビオフェルミン配合散になんでビフィズス菌入れてないんだと思ったら、ビオフェルミン製薬からはビフィズス菌・ラクトミン配合されているビオスミン配合散という商品が販売されていた。
ビフィズス菌単体の整腸剤としてはラックビーがすでに先発品として販売されており、ビオフェルミン錠も散もジェネリックになる。先発だろうがジェネリックだろうがこの辺の薬は全部安いので価格的に大差はないが、薬局としては後発医薬品体制加算のためにジェネリックを採用したいところ。1錠中の菌量が違うので変更調剤はできないが。
効果の面や特許やら、色んな思惑もあってちょっとわかりにくい状況を生み出しているが、薬局としてはビオフェルミン配合散とビオフェルミン散剤の取り違えに注意しなければならないというミッションが新たに追加されたという点については遺憾である。
ラクトミンの配合量
ビオフェルミン配合散は、「配合」と名に付く通り、複数の成分が入っています。
1g中ラクトミン6mgと糖化菌4mgの2種類。
ビオスリー配合散は、スリーなので3種類。
1g中ラクトミン10mg、酪酸菌50mg、糖化菌50mgの3種類。
なんとなく量だけでみると、ビオスリーのほうが効きそう。
で、ラクトミン単体の、ラクトミン散「イセイ」をみると、
当然成分はラクトミンのみ。
組成をみると、
「ラクトミン散「イセイ」は、1g中ラクトミン1g[1g中乳酸菌 (Streptococcus faecalis ) の生菌を1億~10億個を含む。]を含有する。」
ラクトミンの原末なので、1g中1g。
使用量は「1日3~9g」とビオフェルミンの「1日3~9g」ビオスリーの「1日1.5~3g」と大差ない。
ラクトミン10mgよりも1000mgのほうが効くだろう。
そもそもラクトミンとは何なのか?
ラクトミンは、「Streptococcus faecalis、Streptococcus faecium、Lactobacillus acidophilus、またはLactobacillus bulgaricusの生菌菌体を集め、乾燥した後、殿粉、乳糖、白糖など適当な賦形剤またはそれらの混合物と混合したもの」と定められている。ラクトミン – Wikipedia
・・・
ラクトミン自体に賦形剤が入っているということのようだ。
そのためラクトミン1g中に入っている菌の量が1gというわけではない。
ビオフェルミンやビオスリーに記載されているラクトミンの量は菌の量のようだ。
ラクトミン散イセイ1gに含まれている乳酸菌の菌数は1億~10億であり、乳酸菌1mgで約1億個ということなので、ラクトミン散1gに含まれる菌の量は1mg~10mgという計算にはなる。
整腸剤
乳酸菌の腸内での活動により生じる乳酸が腸内を酸性にし、病原性大腸菌などを阻止するほか、腐敗発酵物であるアンモニアの産生や吸収も抑制する。
抗菌薬使用時の腸内異常発酵の治療、菌交代現象の予防には、多種の抗菌薬に耐性をもつ製剤(ビオフェルミンRなど)を使用する。
乳酸菌(ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌)は腸内で乳酸を作り、悪玉菌の発育を抑制する。
酪酸菌および宮入菌は、腸内で酪酸を生成し、悪玉菌の発育を抑制するほか、病原性大腸菌O157の毒素産生も抑制する。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。