2025年5月28日更新.2,482記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

不育症とアスピリンの関係

不育症とアスピリン

妊娠しても、赤ちゃんが妊娠22週未満で育たずに亡くなることを「流産」、22週以降で亡くなる場合は「死産」と呼びます。
これらを2回以上繰り返す状態は「不育症」とされ、妊娠を継続し出産に至ることが難しいケースです。

厚生労働省の調査によると、女性の約6〜7%、16人に1人が不育症に該当するといわれています。

不育症の背景には以下のような要因があります。

分類主な原因
胎児側染色体異常(もっとも多い)
母体側子宮形態異常、内分泌異常、血液凝固異常、免疫異常(抗リン脂質抗体症候群)など
その他不明なケースも多い

このうち、抗リン脂質抗体症候群や凝固因子異常といった「血液が固まりやすくなる体質」がある方には、低用量アスピリン療法が用いられることがあります。

アスピリンが使われる理由

妊娠中に血栓ができやすい体質では、胎盤への血流が滞り、赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなることがあります。
この血流障害を防ぐ目的で、血液を固まりにくくするアスピリンが処方されることがあります。

一般的な使い方は以下の通り。

使用されるのは低用量のアスピリン(1日60~100mg)
妊娠を希望する周期の排卵後(高温期)から服用を開始
妊娠が成立したらそのまま継続

しかし、アスピリンは「出産予定日12週以内の妊婦」に禁忌の薬剤でもあり、慎重に投与すべき薬です。
妊娠後期にアスピリンを続けることで、まれに「胎児動脈管の早期閉鎖」などのリスクが報告されているため、医師の判断に従って中止時期を決定します。

アスピリン療法は、すべての流産に効くわけではなく、特定の病態(抗リン脂質抗体症候群や凝固異常)に限り有効です。
染色体異常による自然流産などには効果がありません。

そのため、検査で体質や原因を明らかにし、専門医の指示のもとで治療を行うことが大切です。

1 件のコメント

  • イノウエ ユリコ のコメント
         

    通院しているHPの返答で良いか確認したかったので、助かりました。ザックリ同じでしたので安心感できました。
    教えて頂きまして、ありがとうございました!

コメント


カテゴリ

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
著書: 薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
SNS:X/Twitter
プライバシーポリシー

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

最新の記事


人気の記事

検索