記事
インスリンを冷蔵庫に保管しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約5分3秒で読めます.
28,794 ビュー. カテゴリ:目次
インスリンの保管方法は?
インスリン製剤のカート、キット製剤の保管方法は、開封前は冷蔵庫など(2~8℃)、開封後は室温で保管します。
開封後の製剤を冷蔵庫などで保管しない理由は、冷たいインスリンを注入することによる痛みや、結露による注入器の不具合を避けるためです。
使用を開始したインスリン製剤を冷所管理することは使用する度に室温と冷所を行き来することで結露を生じさせるので、器具に不具合を生じやすくなる。
1日の使用回数が多い時はなおさらである。
また30℃の環境でも4週間以上品質に変わりがないことがわかっているので、一度使用を開始したものは室温にて保管し続けたほうが問題が生じにくい。
なお、バイアル製剤は、開封前後で変わらず冷蔵庫などで保管します。
未使用のインスリン製剤は、2〜8℃で保管する必要がありますが、凍結すると性状が変化すること以外に、注入器が破損するため、冷蔵庫で保管する場合には冷気の吹き出し口に近づけないよう注意が必要です。
一度凍結したインスリンは、使用しないように伝えることも大切です。
使用開始後は、遮光して室温保存します。
高温(37℃以上)で変性が進むと考えられますので、車内など高温になる場所を避けます。
インスリンは垂直に保管しちゃダメ?
未使用の懸濁製剤を保存する際は、垂直に長期間保存すると、カートリッジの底部に結晶が固まり、通常の混合方法では均一に分散しない可能性があります。
このため、水平に寝かせて置くようにします。
室温に戻しておくこと
冷蔵庫にしまっておいたインスリン製剤をすぐに使うと痛みが強く出る。
初回に使う時には室温に戻してから使う。
1回使い切りの注射タイプの薬、たとえばエンブレル皮下注シリンジみたいなものだと、
「投与約15~30分前に室温に戻しておくこと。」
みたいな注意書きがある。
使用の30分前くらいには冷蔵庫から出しておくように。
高温下に置いたインスリンの見分け方は?
インスリン製剤は、高温・直射日光下に長時間置いておくと、インスリンの変性や含量が低下する可能性があります。
インスリンはタンパク質でできているため、長時間・高温に放置した場合、約37℃以上になると変性します。
短時間では、高温でも大きな変化は見られませんが、2~8℃より高い温度で保存する場合は37℃以上にならないようにすることが一つの目安となっています。
もし、高温下に置いてしまったかも知れない、という場合のインスリン製剤の見分け方として、
・懸濁製剤が透明・半透明になっている(無結晶化)
・透明な製剤が白く濁っている(結晶出現)
・カートリッジ内に気泡がある
などがあります。
停電したらインスリン注射は廃棄?
インスリン製剤の保管について
ノボ ノルディスク ファーマ
病院など、非常用電源をご使用いただける施設の場合、非常用電源を冷蔵庫にも適用いただき、製品の適正管理をお願いします。
薬局におかれましても、非常用電源をご使用いただける施設の場合には、同様のご対応を賜りたくお願い申し上げます。
非常用電源がない施設の場合は、冷蔵庫内の温度がわかるように温度計を入れてください。計画停電は1回3時間の停電を予定されておりますので、その間は極力冷蔵庫扉の開閉を控えてください。3時間以内の1~2回の開閉であれば影響はほとんどないと考えております。
患者様のご自宅での保管におきましても、未使用の製剤は冷蔵庫保存となっておりますが、計画停電中はドアを開けない限り影響はないものと考えております。使用中の製剤の安定性につきましては、各社インスリン製品の保管時の注意をもとにご指導下さい。
震災のときの停電でも約1日間冷蔵庫の電気はストップしてました。
まだ寒い時期だったので、大丈夫だろう、ということでそのままにしていました。
真夏でも大丈夫なのか?
インスリン製剤{ヒューマリン注関連製剤(カート・キット)、
プレスリリース Lilly.co.jp 日本イーライリリー株式会社
ヒューマログ注関連製剤(カート・ミリオペン)}:
未開封の製剤は、ヒトインスリン製剤(ヒューマリンR・N・3/7注)では25℃で6ヶ月、インスリンリスプロ製剤(ヒューマログ注・N注、ヒューマログミックス25・ミックス50注)では30℃で1ヶ月までは安定であることが確認されています。また、開封後は室温においてヒューマログN注カート・ミリオペン(18日間)を除く、全てのヒトインスリン製剤・インスリンリスプロ製剤で28日間の安定性が確認されております。
外観に異常が無ければ、1日位室温レベルで保管しても問題無い。
凍ったインスリンは使えない?
未使用のインスリン懸濁製剤は、変質を避けるため、冷暗所に凍結を避けて保管するように規定されています。
通常は冷蔵庫で保管しますが、冷気の吹き出し口近くに置くと凍結する可能性があります。
冬季には、寒冷地の車中や窓際に置いた場合も、凍結の恐れがあります。
寒い地方では冬期に外に置いたり、飛行機での旅行の際に預ける荷物の中に入れるだけで凍ってしまうこともある。
一度でも凍結した懸濁製剤は、結晶の凝縮による薬効の低下、解凍する際の気泡の発生、注入器の破損、結晶の沈殿などが起こりやすくなります。
このため、凍結した場合やその可能性があるときは決して製剤を使わないように注意します。
逆に、約30℃以上の高温で保存すると、懸濁製剤が均一に分散しにくくなると指摘されています。
インスリン注射が凍るとどうなる?
凍結により、体積が増え注入器が壊れる、薬の効果が変化する、注入量が変わるなどの原因になります。
冷蔵庫は0℃以下にならない?
北海道など、寒い地域で、冷蔵庫内が氷点下になることは無いのか。不思議に思う。
一般的には、0℃以上で水を凍らせない目的で、4-10℃程度で使用される。0℃以下で凍らせる目的のものを冷凍庫(れいとうこ)と呼び、両方の機能が一つになった製品を冷凍冷蔵庫と呼ぶ場合もある。
冷蔵庫 – Wikipedia
冷蔵庫内は4℃程度になっている。はず。
「室温が冬季に氷点下となるような寒い地方では、冷やすためだけでなく、凍らせない目的でも使われることもある。これは熱交換器の原理上発熱があるため、目標温度より室温が低い場合は保温ができるためである。」
保温目的で冷蔵庫を使うのね。
凍ったインスリンの見分け方は?
インスリン製剤は凍らせてはいけない、と言われます。
凍った状態で発見すれば使わないでしょう。
しかし、冬場などで夜間に一度凍ったけどまた溶けたというような場合、見分けることはできるのでしょうか。
一度凍った製剤の見分け方として、
・カートリッジ内に小豆より大きな気泡がある(直径5mm程度の気泡は正常でも入っている場合がある)
・注入ボタンが重くて押せない(注入機が壊れている)
・カートリッジのガラスにヒビが入ったり、ゴム栓が膨張・破裂している
・懸濁製剤の沈殿がいつもより速い
などがあります。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
ランタスを冷蔵庫の中に4時間入れてしまいました。使えますか?
インスリンの保管の違いの根拠がよく分かりました。ありがとうございました。