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水で飲んではいけないOD錠?
公開. 更新. 投稿者: 431 ビュー. カテゴリ:製剤/ジェネリック.この記事は約5分0秒で読めます.
目次
OD錠は水なしで飲まなければいけない?

OD錠とは「口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet)」のことで、口の中で速やかに崩れるように作られた錠剤です。
通常の錠剤はコップ1杯程度の水やぬるま湯で服用しますが、OD錠は唾液で崩壊するため、水がなくても服用できます。
では、OD錠は水なしで飲まなければいけないのでしょうか?
一般的にはそうではありません。
多くのOD錠は、
「水なしでも飲めるし、水で飲んでもよい」
という薬です。
ところが、片頭痛治療薬の「ナルティークOD錠75mg」には、少し変わった注意書きがあります。
OD錠は水で飲んでもよい
PMDAは口腔内崩壊錠について、
「水で飲んだ時と水なしで飲んだときの生物学的同等性にも差がないことが確認されていますので、ほかのくすりと一緒に水で飲んでも差し支えありません」
と説明しています。
つまり一般的なOD錠では、
- 水なしで服用する → ○
- 水で服用する → ○
です。
「OD錠=水なしで飲まなければならない錠剤」ではなく、「水なしでも飲める錠剤」と考えたほうがよいでしょう。
実際、多くのOD錠の電子添文には、「水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる」といった記載があります。
なお、寝たままの状態でOD錠を服用する場合には、水なしで服用しないよう注意が必要です。PMDAもこの点を服用時の注意として挙げています。
ナルティークOD錠は水なしで飲む
ところが、ナルティークOD錠75mgは少し違います。
ナルティークOD錠はリメゲパントを有効成分とするCGRP受容体拮抗薬で、片頭痛発作の急性期治療や片頭痛発作の発症抑制に用いられます。
この薬の電子添文「14. 適用上の注意」には、次のような内容が記載されています。
「本剤を水で服用した場合のデータは得られていないため、本剤は舌の上又は舌下で唾液を浸潤させた後、水なしでの服用を推奨すること。」
つまりナルティークOD錠は、
舌の上または舌下に置く → 唾液を浸潤させる → 水なしで服用する
という飲み方が推奨されています。
一般的なOD錠とは少し異なるので、服薬指導時には注意したいところです。
水で飲むと効かない?
ここで気になるのが、
「ナルティークOD錠を間違えて水で飲んだら効かないのか?」
という点です。
電子添文の表現をよく見ると、「水で服用してはいけない」とは書かれていません。
理由は、
「本剤を水で服用した場合のデータは得られていないため」
です。
したがって、
「水と一緒に服用すると効果がなくなることが分かっている」
あるいは、
「水で飲むと危険なので禁忌である」
という意味ではありません。
あくまで、水ありで服用した場合のデータが得られていないため、データのある方法である「水なし服用」が推奨されている、と理解するのが適切でしょう。
患者さんから「間違えて水で飲んでしまった」と相談された場合にも、「水で飲むと危険な薬」という説明にはならない点には注意が必要です。
なぜわざわざ「水なし」と書かれている?
OD錠では通常、水ありと水なしの両方で服用できることが確認されています。
PMDAの一般向け解説でも、口腔内崩壊錠では水で飲んだ場合と水なしで飲んだ場合の生物学的同等性が確認されているため、水で飲んでも差し支えないと説明されています。
一方、ナルティークOD錠については、水で服用した場合のデータが得られていません。
そのため、一般的なOD錠についての
「OD錠だから水で飲んでも大丈夫」
という知識を、そのままナルティークOD錠に当てはめないほうがよいわけです。
剤形だけで服用方法を判断できない好例ともいえます。
OD錠と舌下錠は違う
ナルティークOD錠について「舌の上又は舌下」という説明を見ると、舌下錠と同じように口腔粘膜から吸収させる薬なのではないか、と思うかもしれません。
しかし、「OD錠」と「舌下錠」は同じものではありません。
舌下錠は舌の下で溶解させ、主として口腔粘膜から薬を吸収させることを目的とした剤形です。
一方、一般的なOD錠は、口腔内で崩壊させて飲み込みやすくするための製剤で、崩壊した薬を唾液とともに嚥下します。
「口の中で溶ける」という点だけを見ると似ていますが、製剤設計や服用目的は異なります。
したがって、
OD錠だから水で飲んでもよい
口の中で溶かす薬だから舌下錠と同じ
といった一律の判断は避けたほうがよいでしょう。
水なしで飲むことに意味のあるOD錠
もう一つ、水なしで服用することに意味があるOD錠として思い浮かぶのが「ミニリンメルトOD錠」です。
ミニリンメルトの有効成分デスモプレシンには抗利尿作用があり、適応によっては服用前後の水分摂取を制限する必要があります。
そのため、水なしで服用できる製剤であること自体にメリットがあります。
ただし、ナルティークとは事情が違います。
ナルティークは「水で服用した場合のデータが得られていないため水なし服用を推奨」。
ミニリンメルトは、水分摂取そのものが安全性に関係する薬です。
同じ「水なしで飲むOD錠」でも、その理由まで確認する必要があります。
「水なしで飲める」と「水なしで飲む」は違う
OD錠を見たときには、
「OD錠だから水なしで飲める」
と覚えている人が多いと思います。
基本的にはそれで問題ありません。
しかしナルティークOD錠のような例を見ると、
「水なしで飲める」ことと、「水なしで飲むことが推奨されている」ことは同じではない
ことがわかります。
整理すると、
| OD錠のタイプ | 水なし | 水あり |
|---|---|---|
| 一般的なOD錠 | ○ | ○ |
| ナルティークOD錠 | ○(推奨) | データなし |
| ミニリンメルトOD錠 | ○ | 水分摂取制限に注意 |
ナルティークOD錠については、「水で飲んではいけないOD錠」というよりも、正確には**「水での服用が推奨されていないOD錠」**ということになります。
薬局での服薬指導では、
「これはOD錠ですが、水で流し込まず、舌の上か舌の下に置いて、唾液で崩してからそのまま飲んでください」
と説明しておくとよいでしょう。
まとめ
OD錠は一般的に、水なしでも水と一緒でも服用できます。
そのため、「OD錠は水なしで飲める」という特徴は知っていても、「OD錠によっては水なしでの服用が推奨されている」という点は見落としやすいかもしれません。
ナルティークOD錠75mgでは、水で服用した場合のデータが得られていないため、舌の上または舌下で唾液を浸潤させた後、水なしで服用することが推奨されています。
ただし、これは「水で飲むと危険」「水で飲むと効果がなくなる」という意味ではありません。
OD錠=すべて同じ飲み方、とは限らない。
剤形名だけで判断せず、それぞれの薬の服用方法を確認する必要があります。



