2026年8月24日更新.2,776記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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アクイプタとナルティークの違いは?

経口CGRP受容体拮抗薬

片頭痛治療薬として、CGRPをターゲットとした薬が相次いで登場している。

これまでCGRP関連薬といえば、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグといった注射薬だったが、2025年には経口薬の「ナルティークOD錠(リメゲパント)」が登場した。

さらに2026年には、同じく経口CGRP受容体拮抗薬である「アクイプタ錠(アトゲパント)」が発売された。

どちらもいわゆる「ゲパント」と呼ばれる薬だが、アクイプタとナルティークは何が違うのだろうか。

アクイプタとナルティークの違い

まず大きな違いを比較すると以下のようになる。

アクイプタナルティーク
一般名アトゲパントリメゲパント
分類CGRP受容体拮抗薬CGRP受容体拮抗薬
急性期治療×
発症抑制
発症抑制時の用法1日1回隔日
剤形普通錠OD錠
規格10mg、30mg、60mg75mg

最大の違いは、ナルティークは「発作が起きたとき」と「発作を予防するとき」の両方に使えるのに対し、アクイプタは基本的に発症抑制に使う薬という点である。

同じゲパントでも、使い方はかなり違う。

CGRP受容体拮抗薬とは?

CGRPは「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide)」と呼ばれる神経ペプチドで、片頭痛の発症に深く関与している。

片頭痛発作では三叉神経などからCGRPが放出され、血管拡張や神経原性炎症、疼痛シグナルの伝達などに関与すると考えられている。

アクイプタのアトゲパント、ナルティークのリメゲパントはいずれも、CGRPそのものではなくCGRP受容体を阻害する低分子化合物である。

このような薬は「ゲパント(gepant)」と呼ばれる。

CGRP関連薬には注射薬もあるが、こちらは抗体医薬品である。

  • エムガルティ(ガルカネズマブ):抗CGRP抗体
  • アジョビ(フレマネズマブ):抗CGRP抗体
  • アイモビーグ(エレヌマブ):抗CGRP受容体抗体
  • ナルティーク(リメゲパント):低分子CGRP受容体拮抗薬
  • アクイプタ(アトゲパント):低分子CGRP受容体拮抗薬

ナルティークとアクイプタは、注射を必要としない「飲むCGRP関連薬」という位置づけになる。

アクイプタは予防薬

アクイプタの効能又は効果は、
「片頭痛発作の発症抑制」
である。

通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与する。

つまり基本的には「頭痛が起きたから飲む」のではなく、頭痛がない日にも毎日服用して、片頭痛発作が起こるのを減らす薬である。

この点は服薬指導でも重要だろう。

患者が「今日は頭が痛くないから飲まなくていい」と考えてしまう可能性があるため、発作時の鎮痛薬ではなく予防薬であることを説明する必要がある。

ナルティークは治療にも予防にも使える

一方、ナルティークの効能又は効果は、
「片頭痛発作の急性期治療及び発症抑制」
となっている。

ここがアクイプタとの大きな違いである。

ナルティークは、片頭痛発作が起きたときに75mgを服用する「急性期治療薬」として使用できる。

それだけでなく、片頭痛発作を予防する目的で75mgを隔日投与することもできる。

つまり、
アクイプタ=予防
ナルティーク=発作時+予防
という整理が最もわかりやすい。

これまで片頭痛薬は「発作が起きたときに使う薬」と「発作を予防する薬」が比較的明確に分かれていた。

ナルティークは、その両方に使えるという点で特徴的な薬である。

毎日飲むか、1日おきに飲むか

予防薬として使う場合にも違いがある。

アクイプタは、
「1日1回」
服用する。

一方、ナルティークによる発症抑制では、
「75mgを隔日」
投与する。

したがって、同じCGRP受容体拮抗薬による片頭痛予防でも、

アクイプタ → 毎日飲む
ナルティーク → 1日おきに飲む

という違いがある。

ナルティークは隔日投与なので、患者にとっては「今日は飲む日だったか?」という混乱が起こる可能性がある。

一方、アクイプタは毎日服用するため、服薬スケジュール自体はわかりやすい。

アクイプタは普通錠、ナルティークはOD錠

剤形にも違いがある。

アクイプタには、

  • 10mg
  • 30mg
  • 60mg

の3規格があり、通常の錠剤である。

ナルティークは75mgのOD錠のみである。

OD錠なので、水なしでも服用できる。

片頭痛発作時には悪心・嘔吐を伴うこともあるため、急性期治療にも使用するナルティークがOD錠になっていることにはメリットがある。

なぜアクイプタには10mg、30mg、60mgがある?

アクイプタの通常量は60mgなのに、10mg錠や30mg錠も存在する。

これは相互作用や腎機能などによって用量調節が必要になるためである。

アトゲパントはCYP3A4などの影響を受けるため、併用薬によって血中濃度が上昇する可能性がある。

したがって処方鑑査では、単に「アクイプタ60mg 1日1回」という用法だけを見るのではなく、併用薬による用量調節が必要ではないかを確認する必要がある。

ナルティークもCYP3A4などが関与するため、併用薬には注意が必要である。

ゲパントは新しい薬ではあるが、「CGRPに作用するから相互作用が少なそう」と考えるのは危険である。

注射剤のCGRP関連抗体薬とは異なり、アクイプタやナルティークは低分子化合物であり、薬物代謝やトランスポーターを介した相互作用を確認する必要がある。

アクイプタとナルティークはどちらが優れている?

単純にどちらが優れているとはいえない。

両剤ともCGRP受容体を阻害するゲパントであるため、薬理学的には非常に近い薬である。
しかし、承認されている使い方が異なる。

毎日服用して片頭痛発作を予防するのであれば、アクイプタはわかりやすい選択肢になる。
一方、ナルティークには「急性期治療にも使用できる」という大きな特徴がある。

そのため、
アクイプタは「予防に特化したゲパント」
ナルティークは「治療と予防の両方に使えるゲパント」
と覚えておくとよいだろう。

まとめ

アクイプタとナルティークは、どちらも経口投与できるCGRP受容体拮抗薬、いわゆる「ゲパント」である。

両剤の作用機序はよく似ているが、承認されている使い方には大きな違いがある。

アクイプタは片頭痛発作の発症抑制に使用し、基本的に毎日服用する。

ナルティークは発症抑制だけでなく、片頭痛発作が起きたときの急性期治療にも使用できる。予防目的の場合は隔日投与となる。

そのため最もシンプルに覚えるなら、

アクイプタ=毎日飲む「予防専用」のゲパント
ナルティーク=「発作時にも予防にも使える」ゲパント

という違いになる。

注射剤しかなかったCGRP関連薬に経口薬という選択肢が加わり、片頭痛治療の選択肢はかなり広がってきている。

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