2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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リフィル処方で医療費削減できるか?

リフィル処方箋

今回の2022年度調剤報酬改定の中で、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化により、0.1%の医療費削減を見込んでいるらしい。

0.1%というと、大体100億円くらいだそうだ。

リフィル処方箋とは、医師が認めた場合に一定期間中、医療機関の再診を受けずに薬局で同じ薬剤を繰り返し受け取れる反復利用可能な処方箋のことである。

リフィル処方箋の導入が進めば、病状が安定している患者が処方箋をもらうためだけに医療機関を訪れることが減ると考えられ、そのため医療費削減につながると考えられているらしい。

処方箋様式も変更になる。

いやー、盛り込みすぎでしょ。
これ以上確認事項増やさないでほしい。
処方書くスペースが年々狭くなってる。

医療機関側のメリット

リフィル処方を行った場合の医療機関側のメリットとして、処方箋料の減算が無くなるという点がある。

現在、処方箋料は1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定することになっているが、リフィル処方を行った場合は、この減算が無くなる。
つまり、処方箋の記載が29日以下で、リフィル処方箋の総使用回数の上限3回にチェック入れたら、最大87日分投薬できるけど、そこの減算がなくなるというわけだ。

自分はこの処方箋料に対する医師の感覚はわからないが、30日処方だと安くなるのであれば、28日処方のほうが医療機関側にはメリットがある。しかし、30日処方も多くみかけるので、あまりこの減算を意識していないのかも知れない。

正直、金銭的なメリットは医療機関にも薬局にも発生しないだろう。でなければ、0.1%の医療費削減効果は見込めない。

医療機関側にとって、どれだけ時間的なメリットが発生するか、というのがポイントだろう。

薬局側のデメリット

医療費削減が目的なので、薬局側に金銭的なメリットは発生しない。
時間的なメリットも発生しない。
診察時間の削減によるメリットは、医師と患者サイドが受ける恩恵であって、薬局としては処方箋業務負担の増加にしかならない。コロナ禍における他者との接触機会減少についても医師と患者が受ける恩恵であって、薬剤師にとっては患者との接触機会が増える。

●リフィル処方箋に関する留意事項

(1)保険医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。

(2)リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとする。また、1回当たり投薬期間及び総投薬期間については、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。

(3)保険医療機関及び保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない。

(4)リフィル処方箋による1回目の調剤を行うことが可能な期間については、通常の処方箋の場合と同様とする。2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。

(5)保険薬局は、1回目又は2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した保険薬局の名称及び保険薬剤師の氏名を余白又は裏面に記載の上、当該リフィル処方箋の写しを保管すること。また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管すること。

(6)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行うこと。また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと。

(7)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること。

(8)保険薬局の保険薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認すること。予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況を確認すること。患者が他の保険薬局において調剤を受けることを申し出ている場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況 とともに必要な情報をあらかじめ提供すること。

「投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない。」とあるので、睡眠薬など処方日数制限のある薬はリフィル処方できない。
そういう薬こそリフィル処方したいだろうと思いますが。

リフィル処方箋のリスクとしては、分割調剤のときと同様、「紛失」「期限超過」というリスクがある。
処方箋を一旦患者に返さなければならないため、患者が処方箋を紛失する可能性は大いにある。制度上認められてはいないが、患者からの依頼という形で処方箋を預かっておくという形を取るしかないような気もする。

処方箋の有効期限については、「2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。」という文言を見ただけでも、「いつからいつまで?」とわからなくなるが、「前後7日以内」ならけっこう長めだとは思う。
しかし、患者が「薬が余ってるから」と予定になっても薬局に来ないということも考えられる。電話連絡するのはほぼ薬局長の務め。患者への連絡業務も予定表に書いておかないと忘れてしまう。

また、「リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと。」とあり、どのような形でのフィードバックでよいのか、Q&Aが出るだろうけど、それなりの業務負担にはなるだろう。

医師も薬剤師も、導入に消極的なリフィル処方箋。100億円の医療費削減なんてほんとにできるのかな。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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