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疑義照会簡素化プロトコールとは?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約6分34秒で読めます.
4,617 ビュー. カテゴリ:疑義照会簡素化プロトコール
疑義照会しなくてもいいリストってあるの?
最近あちらこちらの病院で「疑義照会簡素化プロトコール」に関する説明会が開かれている。
「わざわざ疑義照会をしなくても後から連絡くれるだけでいいよ」といった項目について、病院と薬局間で合意書を取り交わして、運用していくためのルールみたいなものです。
わざわざ合意書まで取り交わして、フィードバックもしなきゃいけないし、「めんどくさ」とも思いますが、疑義照会の電話をするよりもマシにはなります。
なぜ合意書まで取り交わす必要があるのかというと、疑義照会が法的な根拠、「薬剤師法 第24条(処方せん中の疑義) 」によって行われているためです。
「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師または獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。 」
疑義照会をしなかった根拠として、合意書が必要というわけです。
将来的に、このプロトコールに基づき疑義照会不要としている医療機関が増えれば、診療報酬上の解釈で疑義照会不要となる項目も増えてくるのではないかと期待しています。
国立がん研究センター 中央病院の「院外処方せんにおける疑義照会簡素化プロトコール」には、疑義照会の不要例として以下のようなものが記載されている。
【ア】成分名が同一の銘柄変更 (変更不可の処方を除く)
例1: グラクティブ錠50 mg → ジャヌビア錠50 mg
例2: グリベック錠100 mg → イマチニブ錠100 mg「ファイザー」
・先発品間の変更は可。
・後発品から先発品への変更も可 (但し、初回で後発品の在庫がない場合のみ)。
・必ず患者さんに説明 (服用方法、価格) 後、同意を得て変更すること。
・適応症が異なる場合、適応外使用にならないように留意すること。【イ】剤型の変更 (剤形変更不可の処方を除く)
例1: ビオフェルミンR散 → ビオフェルミンR錠
例2: アムロジピンOD錠5 mg → アムロジン錠5 mg
・用法・用量が変わらない場合のみ可。
・安定性、溶解性、体内動態等を考慮して行うこと。
・軟膏剤からクリーム剤、クリーム剤から軟膏剤の変更は不可。
・必ず患者さんに説明 (服用方法、価格) 後、同意を得て変更すること。【ウ】別規格製剤がある場合の処方規格の変更 (含量規格変更不可の処方を除く)
例1: 20 mg錠1回2錠 → 40 mg錠1回1錠
例2: 20 mg錠1回0.5錠 → 10 mg錠1回1錠
・必ず患者さんに説明 (服用方法、価格) 後、同意を得て変更すること。【エ】アドヒアランス等の理由により半割、粉砕あるいは混合すること、あるいはその逆 (規格追加も含む)。ただし、抗腫瘍剤、催奇形性を有する薬剤を除く
例1: ダイフェン配合錠1錠 → ダイフェン配合錠0.5錠×2
例2: ワーファリン錠1 mg 3.5錠 → ワーファリン錠1 mg 3錠、ワーファリン錠0.5 mg 1錠
・安定性データに留意してください。
・必ず患者さんに説明 (服用方法、価格) 後、同意を得て変更すること。【オ】「患者希望」あるいは「アドヒアランス不良で一包化による向上が見込まれる」の理由により一包化調剤すること (抗腫瘍剤、およびコメントに1包化不可とある場合は除く)
・上記以外の理由は、合意範囲外とする。
・安定性データに留意すること。
・必ず患者さんに説明 (服用方法、価格) 後、同意を得て変更すること。【カ】湿布薬や軟膏での規格変更に関すること (合計処方量が変わらない場合)
例1: ヒルドイドクリーム0.3% 25 g/本 2本 → ヒルドイドクリーム0.3% 50 g/本 1本【キ】一般名処方における調剤時の類似剤形への変更 (先発品類似剤型への変更を含む)。一般名処方においては、下記に掲げる範囲内で変更を可能とする (先発・後発は問わない)
・錠剤 (口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤、丸剤、ゼリー剤、フィルム剤
・散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤 (内服用固形剤として調剤する場合に限る)
・液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤 (内服用液剤として調剤する場合に限る)
・必ず患者さんに説明 (服用方法、価格) 後、同意を得て変更すること。
・銘柄等については「お薬手帳」による情報提供を徹底すること。【ク】薬歴上継続処方されている処方薬に残薬があるため、投与日数を調整 (短縮) して調剤すること (外用剤の数量変更を含む)、および、Do処方が行われたために処方日数が必要数に満たないと判断される場合の投与日数の適正化
例1: マグミット錠330 mg 30日分 → 16日分 (残薬が14日分あるため)
例2: AZ含嗽用配合細粒2 g/包 30包 → 10包 (残薬が20包あるため)
・トレーシングレポートを用いた当院へ情報提供すること。トレーシングレポートがない場合には、次回の診療時に患者に不利益が生じることもあり得るので厳守すること。【ケ】服用歴のある配合剤を単剤の組み合わせに変更すること、あるいはその逆
例1: スージャヌ配合錠1錠 → グラクティブ錠50 mg 1錠、スーグラ錠50 mg 1錠【コ】薬歴等で乳酸菌製剤が継続使用されていることが確認できる場合において、抗菌薬が併用されていない場合のビオフェルミンRからビオフェルミンへの変更、またはその逆 (抗菌薬併用期間のみビオフェルミンRを追加する場合には、ビオフェルミンとの合計日数は元のビオフェルミンの処方日数を超えないこと)
【サ】患者の希望があった場合の消炎鎮痛剤外用貼付剤におけるパップ剤からテープ剤への変更、またはその逆 (成分が同じものに限る。枚数に関しても原則同じとする)
【シ】ビスホスホネート製剤の週1回あるいは月1回製剤が、連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている場合の処方日数の適正化 (処方間違いが明確な場合)
例: アクトネル錠17.5 mg (週1回製剤) 1錠/分1 起床時 14日分 → 2日分【ス】外用剤の用法 (適用回数、適用部位、適用タイミング等) が口頭で指示されている場合 (処方せん上、用法指示が空白あるいは「医師の指示通り」が選択されている) の用法の追記
【セ】内服薬の用法が頓服あるいは回数指定にて処方箋に記載があり、具体的な用法が口頭等で指示されている場合の用法の追加
【ソ】「1日おきに服用」や「月・水・金に服用」等と指示された処方薬が、連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている場合の処方日数の適正化 (処方間違いが明確な場合)
いくつかの説明会を聞いたが、医療機関によって細かい違いはあれど、おおまかには上記と似たようなプロトコールになっている。
医療機関側も、薬局側も、疑義照会に割く時間が省略できるというのは大きなメリットである。
しかし、思い浮かぶいくつかの懸念はある。
ジェネリックの選択にしても、現状、薬局側の在庫状況が大きく影響していると思われるが、このプロトコールにより薬局側の都合による医薬品選択が行われる可能性は大きい。
スージャヌ配合錠1錠 → グラクティブ錠50 mg 1錠、スーグラ錠50 mg 1錠
といった配合錠の分解も認められているが、「スージャヌの在庫が無いから」といった理由で漫然と調剤が行われていく可能性もある。
今後、実際に運用されていく中で、このプロトコールを原因とした調剤ミスなどが起こらないことを祈る。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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