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エブトールは糖尿病に禁忌?
公開. 更新. 投稿者:結核/肺炎.この記事は約2分9秒で読めます.
2,192 ビュー. カテゴリ:エタンブトールと視力障害
抗結核薬のエブトール(エタンブトール)。
最近ではクラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンの3剤併用療法が、結核じゃなくて肺MAC症によく処方される。
このエタンブトールの副作用として、視力障害がよく知られている。
エタンブトールは脂溶性が高く、視神経に直接作用することにより障害を来すものと考えられている。
エブトールの視力障害については、添付文書にも、
「視力障害があらわれることがあるので、視力検査等を十分に行い、投与すること。」
と記載されています。
視神経障害は、服用後半年~1年程度で発症するケースが多い。早期に発見し、投与を中止すれば数か月程度で回復するが、発見が遅れ高度に進行すれば、非可逆的になることがある。
肺MAC症では、服用期間が2~3年と長いため、より注意すべきである。エタンブトール視神経症は、高齢であるほど、また体重当たりの1日投与量が多いほど発症率が高くなるとされている。そのため、患者によっては体重換算よりも少量で処方されることもある。
また、エタンブトールは腎排泄型の薬剤であり、腎機能障害がある患者では副作用の発現率が高くなることも知っておきたい。
エタンブトールは結核治療においても「初期2か月間は20mg/kg/日としてよいが、3か月目以降も継続する場合には、15mg/kg/日、最大量750mgとする」とされている。内服量が15mg/kg以下であれば視力障害は起きないとの報告があるが、一方で、少量でも長期間服用すると視力障害を発症するとも言われる。
また、視神経障害の発現機序として、視神経内でミエリン蛋白質のリン酸化阻害作用を有することが原因ともされるが、一方でキレート作用を持つ亜鉛が欠乏することが要因となるという説もあるため、亜鉛を多く含むポラプレジンク(プロマック)が予防投与されることもある。さらに、視神経障害の改善効果を示すものとして、ビタミンB群、特にビタミンB12も予防的に処方される。
エブトールの原則禁忌には以下のように書かれている。
1. 視神経炎のある患者
[視力障害が増強するおそれがある
]
2. 糖尿病患者、アルコール中毒患者
[既に視神経障害を起こしている場合があり、症状が増悪するおそれがある。]
3. 乳・幼児
[視力障害の早期発見が極めて困難である。]
いずれも視力障害に関する禁忌事例となる。
糖尿病患者は糖尿病性網膜症など合併している患者もいるが、合併症がなくてもリスクは高いので、エタンブトールは使わないのが無難だろう。
特に路上生活者の間で結核が蔓延することも多いが、糖尿病やアルコール中毒を合併していることも多いと思われる。
「禁忌」ではないので、医師の判断にゆだねられるが、視力障害が悪化する可能性については注意喚起が必要となる。
呼吸器科で視力検査はできません。
眼科の受診を勧めるのだろうけど、患者がそれに従うとは限らない。
薬局でも、視力障害に対する注意喚起をしていこう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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