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健康食品は効かない?
公開. 更新. 投稿者:健康食品/OTC.この記事は約7分3秒で読めます.
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健康食品の効果は?
ドラッグストアの店頭で健康食品の説明を求められることがある。
「何に効くの?」と。
販売している店舗の従業員が言うのもなんだが、胡散臭いものもたくさんある。
嘘の付けない私にとっては、それらの商品説明は苦手な領域。
医薬品の効能効果は添付文書を読めばはっきりしている。
例えば、「アダラートは高血圧に効きます」と説明できる。
適応外処方もありますが、適応外の効能効果について服薬指導時に伝えることは薬事法違反になり得るのだろう。
食品(健康食品)は効能効果を謳ってはいけない。
「疲労回復」「体力増強」「精力回復」「老化防止」「学力向上」「新陳代謝を高める」「血液を浄化する」「風邪を引きにくい体にする」「肝機能向上」「細胞の活性化」なども医薬品的な表現例になる。
例えば、スーパーマーケットで「納豆で血液サラサラになります」と説明したら薬事法違反。
トクホでは、ヘルシアで「やせる」とか「中性脂肪を下げる」とか説明してはいけない。「体脂肪が気になる方におすすめです」としか言えない。
医薬品的な効能効果について 東京都福祉保健局
健康器具と医療機器についても同様のことがいえる。
KASEN TOPICS|よくわかる化学せんい|日本化学繊維協会(化繊協会)
個別のお客さんに対する商品説明で、薬事法違反と訴えられる可能性は低いですけど。
よくわからない商品の逃げ口上で「健康食品で、効能効果を謳うことは薬事法違反になりますので、パッケージの表現以上のことは申し上げられません」という風には使える。
薬と健康食品の違い
法的には、抗がん剤などの医薬品は薬事法で規定されていますが、サプリメントのような健康食品は一般食品、すなわちお肉やじゃがいもなどと同じ食品衛生法で規定されているのです。
ですから、サプリメントは医薬品とは効果に対する信頼度が違うのです。
健康食品の法的位置づけ
食品衛生法第4条には「食品とは薬事法に規定する医薬品および医薬部外品以外のすべての飲食物」と定義されています。
これらのうち健康食品とは、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しています。
いわゆる健康食品のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認め、国の許可等の有無や食品の目的、機能の違いによって、「特定保健用食品」と栄養機能食品」の2つのカテゴリーに分類されます。
がんの予防と治療を目的に多くの健康食品が販売されています。
これらに対してRCTが行われていますが、エビデンスのあるものは乏しいのが現状です。
健康食品が氾濫するなか、健康食品の法的な位置づけや現状などを知ったうえで、医師や患者さんに対して適切な情報提供することが薬剤師には求められています。
「血圧が高めの方へ」は良いけど「血圧を下げる」はダメ?
広告などの表示に関する規制は、販売者も無関係ではありません。
消費者庁が公表している「特定保健用食品の表示に関するQ&A」にはトクホの広告や表示について、健康増進法は「何人も虚偽・誇大広告をしてはならない」と定めていることに、改めて言及している。
表示には、チラシやダイレクトメール、陳列物による表示、さらにインターネットも含まれる。薬局やドラッグストアでのPOPやチラシも、規制の対象となります。
虚偽・誇大表示に当たる表現として同Q&Aでは、「血圧が高めの方へ」という許可表示の食品で「血圧を下げる」と表示することや、「食後の中性脂肪の上昇を抑える」という許可表示の食品で「中性脂肪の上昇を抑える」とだけ表示することなどを挙げています。
さらに、「食事とともに1日1本が目安」と定められた食品について、「朝夕時に1本ずつお試しいただくとより効果的」や「必ず○日間続けて摂取すること」といった表示もNGです。
素人的には「血圧が高めの方へ」って表示してるってことは、すなわち「血圧を下げる」ってことじゃないの?って思いますが。
「血圧を下げる」とまで言い切ってしまうと、病院からもらっている降圧剤と同じように捉えてしまうお客さんもいるから。
医薬品と健康食品の違い
健康食品は医薬品ではないため、摂取量を定めていません。
例えば、医療用としても使われるコエンザイムQ10ですが、医療用のユビデカレノン(ノイキノン)の用量は1回10mgを1日3回食後に経口投与となっています。
サプリメントの推奨摂取量は60~100mgとなっており、医療用の2~3倍です。
しかし、コエンザイムQ10に関しては大量に摂取しても副作用は無いと考えられています。
サプリメントの問題点
①成分名は表示されていても含有量の表示がない
サプリメントでは成分の含有量が表示されていない製品が半数以上を占める。
含有量が不明だと、安全性や有効性の判断は難しい。
また、含有量表示のない国内外の製品を集めて検査したところ、該当の成分が検出できない例が多かった。
②1つの原材料についても含有成分が不明である
1つの原材料に複数の成分が含まれ、かつ成分の詳細が不明な場合が多い。
相互作用についても、医薬品どうしであれば1対1の成分で考えればよいが、相手がサプリメントだと例えば1対20で考えねばならず、有害事象が起きたとしても原因究明が困難です。
③表示されていない成分が入っている
ダイエットや強壮を謳った製品に多く見られるのが、医薬品成分を無表示で違法に添加した「無承認無許可医薬品」である。
これらはインターネット等を利用して海外から個人輸入した製品に多く見られる。
④実験の結果を過大評価している
「実験で○○の効果があった」「効果は実験で証明済み」などの宣伝や表示もよくみられる。
しかし、試験管内の実験や動物実験の結果だけでは、ヒトへの効果の有無は判断できない。
イメージで捉えられている
一般の人は「天然・自然のものなら安全」「化学合成品は危険」というイメージをもっている。
しかし、天然物であれ化学合成品であれ、問題はきちんと調べられているか否かである。
天然と人工
日本では、化学合成された原料よりも、天然の原料のほうが安全だと考える人が多いです。
しかし、天然のものは、さまざまな素材や成分が入っている可能性があり、1つの素材であっても、それに含まれる成分や栄養分などの数値は一定したものではありません。
天然のものは、自然に含まれるさまざまな成分が相乗効果を発揮して、体に良い影響を与えているという考え方もあります。
しかし、どの製品においても安定した同じ数値を安全に維持できるのは、合成のものであるという考え方もあります。
サプリメント中の不純物
EPAは医薬品だけでなく、特定保健用食品やサプリメントとしても多くの製品が市販されている。
これらの製品に対しては、医薬品ほど厳密な規定はなく、魚油の製造過程での水銀の混在などの問題も皆無とは限らない。
また、魚油中のトリグリセリドにはEPA以外の脂肪酸も含まれるが、これらの精製レベルも問題となり、EPAの含有量は10~30%程度ともいわれる。
サプリメント製品の選択にあたっては、原材料の起源、精製度や含有量、抗酸化剤の添加などを確認することが必要といえる。
健康食品を飲んで健康被害が出たら
医薬品については、医薬品副作用被害救済制度という、添付文書で決められた使用法で医薬品を正しく使用したにもかかわらず、入院以上の重い副作用が出た場合に、医療費・年金などが給付される制度があります。
しかし、健康食品については、このような救済制度はありません。
健康食品は基本的には食品の一種で、食品衛生法・製造物責任法(PL法)などの規制を受けています。
農薬の混入した餃子のように、明らかに有害な食品を食べて被害が出た場合は民事訴訟の対象となり、生産者または販売者に賠償を求めることができます。
しかし、健康食品による健康被害は因果関係の証明が困難で、賠償にまでこぎつけるケースはごくまれです。
健康食品で障害 7600万円賠償命令、名古屋地裁|ヘルスマネジメント株式会社
PL法は1995年に施行されましたが、同法に基づいた健康食品による健康被害の賠償命令はこれが初めてだそうです。
また、個人輸入の医薬品や健康食品については国内法の規制を受けないため、健康被害が発生しても補償を求めることが困難です。
海外の健康食品は医薬品成分が配合されていた事例もあり、死亡例を含む健康被害が報告されています。
十分ご注意を。
厚生労働省と消費者庁
医薬品を管轄しているのは厚生労働省。
健康食品は消費者庁の管轄になっているらしい。
特定保健用食品
医薬品ほどの効能がない食品機能を厚生労働省が保証する制度であるが、審査が厳しく認可取得に関する費用と時間がかかり過ぎることが問題視されてきた。 なお2009年9月には、製造所固有記号の届出などとともに、消費者庁の食品表示課に所管が変更されている。
医薬品は薬事法、医薬品等適正広告基準等により製造や販売、広告手法が制限されるが、健康食品は健康増進法により、病気の予防効果や栄養成分の効果を謳う広告で著しい相違や事実誤認させる表示を禁止している。ただし、厚生労働省は、財源難から専従職員を配置できず、2009年に消費者庁が発足して所管官庁が移管されるまで、勧告など処分実績は無く野放し状態だった。このため、違法な販売や広告手法、健康被害や詐欺が大きな社会問題になっている。健康食品被害にあわないよう、厚生労働省、消費者庁、国立健康・栄養研究所、食品安全委員会、各自治体、消費生活センターは注意を喚起している。健康食品 – Wikipedia
健康食品と言っても、ピンからキリまである。
医薬品のように厳しく管理されていない。
最近、トクホのコーラとか出るようになりましたが、厚生労働省時代には考えられなかったかもな。
以前より審査は緩くなったのだろうけど、トクホの存在意義もよくわからなくなってきた。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。