2026年2月16日更新.2,752記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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肺アスペルギルス症はアレルギー?

肺アスペルギルス症はアレルギー?―「感染症」と「アレルギー」のややこしい関係

「肺アスペルギルス症と診断されたけど、これはアレルギーなの?感染症なの?」
「カビが原因と聞いて、不安になった…」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

実は、肺アスペルギルス症には「感染型」と「アレルギー型」の両方が存在するため、混乱が生じやすいのです。

・肺アスペルギルス症の正体
・なぜ「アレルギー」と言われることがあるのか
・感染型とアレルギー型の違い
・治療法の違い
・患者さんが知っておくべきポイント

について、勉強していきます。

そもそもアスペルギルスとは何か?

アスペルギルス(Aspergillus)は、自然界に広く存在するカビ(真菌)の一種です。

主な存在場所は:
・空気中
・土壌
・ほこり
・換気扇やエアコン内部
・建物の壁や天井

など、私たちの生活環境のあらゆる場所にあります。

つまり、人は毎日アスペルギルスの胞子を吸い込みながら生活しているのです。

しかし、健康な人では免疫が正常に働くため、ほとんど問題になりません。

肺アスペルギルス症とは?

肺アスペルギルス症とは、アスペルギルスが肺に関与して起こる病気の総称です。

重要なのは、
「1つの病気」ではなく、「複数の病態の集合体」
であるという点です。

この違いを理解しないと、「アレルギーなの?感染なの?」という疑問が解消されません。

肺アスペルギルス症は3つに分類できる

肺アスペルギルス症は、大きく分けて以下の3タイプに分類されます。

① 感染型(もっとも一般的)
まず最も多いのが、感染症としての肺アスペルギルス症です。

これは、
・アスペルギルスが肺で増殖
・肺組織に定着
・周囲を破壊
して起こる病態です。

含まれる代表例:
・アスペルギローマ(菌球型)
・慢性肺アスペルギルス症
・侵襲性肺アスペルギルス症

これらはすべて「感染症」に分類されます。

→アレルギーではありません。

感染型の特徴
・血痰・喀血が出やすい
・咳・痰が長引く
・体重減少
・微熱
・息切れ

CTでは、空洞や菌球が見られることがあります。

感染型の治療
治療の中心は抗真菌薬です。

主に使われる薬:
・ボリコナゾール
・イトラコナゾール
・アムホテリシンB など

数か月〜年単位で治療することもあります。

② アレルギー型(ABPA)
次に、「アレルギー」と言われる原因となる病型です。

正式名称は、
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

略して「ABPA」と呼ばれます。

ABPAの正体
ABPAでは、
・菌が肺を破壊しているわけではなく
・体の免疫が過剰反応している
状態です。

つまり、
→「カビに対するアレルギー反応が暴走している病気」
なのです。

ABPAの特徴
・喘息患者に多い
・好酸球増多
・IgE高値
・粘稠な痰
・中枢性気管支拡張
といった特徴があります。

ABPAの治療
治療の中心はステロイド薬です。
・プレドニゾロンなど
・炎症・免疫反応を抑える
抗真菌薬は補助的に使われる場合もあります。

→感染型とは治療が正反対になることもあります。

③ 無症状型(病気ではない)
健康な人が吸い込んでも、多くの場合は何も起こりません。

これは病気ではなく、生理現象です。

なぜ「アレルギー」と誤解されやすいのか?

肺アスペルギルス症がアレルギーと誤解される理由は、主に3つあります。

① ABPAの存在
ABPAという「純粋なアレルギー型」が存在するため、

「アスペルギルス=アレルギー」

という誤解が広まりやすいのです。

② 咳・喘息症状が似ている
ABPAでは喘息症状が悪化します。

そのため、花粉症や喘息と同じ「アレルギーの一種」と誤解されがちです。

③ 医師の説明が簡略化される
外来では、
「カビに対する反応です」
「アレルギーみたいなものです」
と説明されることもあり、誤解が生じます。

感染型とアレルギー型の違いを整理

項目感染型ABPA
本質感染症アレルギー
主因菌の増殖免疫過剰反応
主な治療抗真菌薬ステロイド
免疫状態低下していること多い正常〜過敏
喘息まれ多い

なりやすい人の特徴

感染型になりやすい人
・結核後
・COPD
・気管支拡張症
・高齢者
・糖尿病
・免疫抑制治療中

ABPAになりやすい人
・喘息患者
・アレルギー体質
・若年〜中年層

患者さんが知っておくべき重要ポイント

① 自分の病型を把握する
「肺アスペルギルス症」と言われても、病型で意味がまったく違います。

・感染型なのか?
・ABPAなのか?

を必ず確認しましょう。

② 治療を自己判断で中止しない
特に抗真菌薬は長期治療になります。

途中でやめると再発しやすくなります。

③ 血痰はすぐ受診
血痰・喀血は重症化のサインです。

自己判断せず、早めに受診しましょう。

まとめ:肺アスペルギルス症はアレルギーなのか?

最後に、結論を整理します。

✔ 肺アスペルギルス症の多くは「感染症」
✔ 一部に「アレルギー型(ABPA)」が存在する
✔ 両者は治療がまったく違う
✔ 正確な診断が最重要

つまり、

「肺アスペルギルス症=アレルギー」ではない
「多くは感染症、一部がアレルギー」

という理解が正解です。

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