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トレリーフとエクセグランの違いは?
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約5分29秒で読めます.
11,301 ビュー. カテゴリ:エクセグランはパーキンソン病にも効く?
パーキンソン病治療薬のトレリーフ。
抗てんかん薬のエクセグラン。
どちらも成分はゾニサミド。
エクセグラン錠の規格は100mg錠。
効能効果は、「部分てんかん及び全般てんかん」
用法は、
ゾニサミドとして、通常、成人は最初1日100~200mgを1~3回に分割経口投与する。以後1~2週ごとに増量して通常1日量200~400mgまで漸増し、1~3回に分割経口投与する。
なお、最高1日量は600mgまでとする。
小児に対しては、通常、最初1日2~4mg/kgを1~3回に分割経口投与する。以後1~2週ごとに増量して通常1日量4~8mg/kgまで漸増し、1~3回に分割経口投与する。
なお、最高1日量は12mg/kgまでとする。
トレリーフ錠の規格は25mg錠。
効能効果は、「パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)」
用法は、
本剤は、レボドパ含有製剤と併用する。
通常、成人にゾニサミドとして、1日1回25mgを経口投与する。
なお、パーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善には、1日1回50mgを経口投与する。
パーキンソン病に対するゾニサミドの用量は少量となっている。
トレリーフ錠25mgの薬価が1錠1115.9円で、エクセグラン錠100mgの薬価が1錠32.2円と、1/4の少量であるにも関わらず、かなり高額な薬となっている。
エクセグランにはゾニサミド錠100mg「アメル」というジェネリックもあるので、そちらと比べると100倍近い薬価差である。
じゃあエクセグラン使えば良いじゃん、と考えるのが妥当な考え。
安いし。
患者負担も減るし。
トレリーフ置いてない薬局多いし。採用してない病院も多いし。
しかし、エクセグランの添付文書には、
ゾニサミドをパーキンソン病(本剤の承認外効能・効果)の治療目的で投与する場合には、パーキンソン病の効能・効果を有する製剤(トレリーフ)を用法・用量どおりに投与すること。
と、適応外使用は許しません的な記載が見られる。
そんなこと知ったこっちゃない、と医師が「てんかん」と適応病名を記載して処方するのかどうかは定かではありませんが、薬剤師的にはそれと疑わしき処方を見かけた際に、患者負担が増えるというデメリットを知りつつも、効能効果を守らせるという使命感から疑義照会という行動にまで至るかどうか。
適応外処方は世の中にごまんとあるわけで。
添付文書に「ゾニサミド製剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。」という記載もあり、適応外により医薬品副作用救済制度の対象とならないのは怖いとも思いますが。
トレリーフは妊婦に禁忌?
エクセグランの禁忌には、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」としか書かれていないが、トレリーフの禁忌には、それに加えて「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」という記載がある。
エクセグラン錠(ゾニサミド100㎎)よりもトレリーフ(ゾニサミド25㎎)のほうが少ない成分量にも関わらず、厳しめの記載とはこれ如何に?
しかし、エクセグランの添付文書の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」欄には、
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に本剤を投与された患者が奇形(心室中隔欠損、心房中隔欠損等) を有する児を出産したとの報告があり、動物実験(マウス、ラット、イヌ、サル)で流産、催奇形作用(口蓋裂、心室中隔欠損等)が報告されている。また、妊娠中に本剤を投与された患者の児に呼吸障害があらわれたとの報告がある。〕
と催奇形性について記載されており、禁忌ではなくても安易な使用は避けるべき薬品となっている。
ゾニサミドはMAO-B阻害薬?
なぜ抗てんかん薬がパーキンソン病にも効くのか。
エクセグランにしてもトレリーフにしても「本剤の作用機序については、まだ完全に解明されてはいない」と、作用機序は不明ですが、トレリーフの作用機序に、
ラット及びサル線条体ミトコンドリア・シナプトソーム膜標本中のMAO活性を阻害し、その阻害作用は比較的MAOのB型に選択性を示す。
とあり、相互作用にも、
三環系抗うつ剤
アミトリプチリン等
四環系抗うつ剤
マプロチリン等臨床症状・措置方法 MAO-B阻害作用を有するセレギリンにおいて、三環系抗うつ剤との併用により、高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛といった副作用があらわれ、更に死亡例も報告されている。
とあり、MAO阻害薬のエフピー的な作用機序なんだろうと考える。
エフピーほど強力なMAO阻害作用ではなく、併用禁忌レベルではないが、エフピーで併用禁忌となっている薬剤に関しては、ゾニサミドでも注意する必要があるんだろうと思う。
レビー小体型認知症にトレリーフが効く?
2018年5月現在、「レビー小体型認知症」に適応のある薬は、アリセプトだけである。
認知症ですから。アリセプトが効果あります。
そして今度、トレリーフにレビー小体型認知症の適応が追加されるとのこと。
具体的には「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム」の適応でした。
まずトレリーフについてのおさらい。
トレリーフの成分はゾニサミド。抗てんかん薬のエクセグランと同じ成分です。
にもかかわらず、トレリーフ錠25mgの薬価が948.5円/錠で、エクセグラン錠100㎎が27.4円/錠というボッタクリ商品です。
トレリーフ使うんだったら、エクセグラン散使ったほうがかなり安く済むというマジック。
トレリーフの現在の適応症は、「パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合) 」です。
パーキンソン病は、病名ですが、パーキンソニズムは症状を指します。
パーキンソン病に適応があれば、パーキンソニズムに適応を持つと同じ、と素人解釈してしまっていましたが、違うようだ。
パーキンソン病に適応があっても、薬剤性パーキンソニズムに適応があるわけではない。
パーキンソン病ではなく、パーキンソニズムを適応に持つ薬は、以下の抗コリン薬。
・アキネトン(ビペリデン塩酸塩):特発性パーキンソニズム、その他のパーキンソニズム(脳炎後、動脈硬化性、中毒性)、向精神薬投与によるパーキンソニズム
・アーテン(トリヘキシフェニジル塩酸塩):向精神薬投与によるパーキンソニズム
・パーキン(プロフェナミン塩酸塩):特発性パーキンソニズム、その他のパーキンソニズム(脳炎後,動脈硬化性)、薬物性パーキンソニズム
詳しくは、添付文書が出てから調べなければならないが、「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム」の適応が付くのであれば、レボドパとの併用は必須にはならないので、単剤での処方もあり得るということになる。
アリセプトとトレリーフの併用が見られたら、「この患者はレビー小体病かも」と推測できるようになる。
ゾニサミド
ゾニサミドは、わが国で開発された抗てんかん薬で、10年以上の使用経験がある。
したがって安全性については十分な確証が存在する。
この薬剤が臨床的にPDに有効であることが報告された。
作用機序については、MAO-B阻害作用、チロシン水酸化酵素のmRNA発現レベルの増加、その蛋白の増加を介したドパミン合成促進作用が推定されている。
臨床的にはウェアリングオフと振戦に対し有効であることが示されている。
「トレリーフ」の商品名で25mg/日での効果が明らかになっている(てんかんでは、200~600mg/日)。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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