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メマリーとメジコンを併用しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約4分26秒で読めます.
4,327 ビュー. カテゴリ:メジコンはNMDA受容体拮抗薬?
メマリーの相互作用に、
NMDA受容体拮抗作用を有する薬剤 アマンタジン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物等
臨床症状・措置方法 相互に作用を増強させるおそれがある。
機序・危険因子 両薬剤ともNMDA受容体拮抗作用を有するため。
とある。
メマンチンは、AD患者の脳で過剰に遊離しているグルタミン酸の機能を抑える効果を持つ。
グルタミン酸が過剰に存在すると、NMDA受容体を介して神経細胞内にカルシウムイオンが流入し、神経細胞が傷害されることが分かっている。
メマンチンは、NMDA受容体の機能を調節し、神経細胞へのカルシウムイオンの過剰な流入を抑えることで神経細胞を保護し、ADの進行を抑制すると考えられている。
デキストロメトルファン臭化水素酸塩(メジコン)もNMDA受容体の機能調節作用を有するため、メマンチンの作用が増強する恐れがあり、併用注意となっている。
メジコンがアルツハイマーの興奮症状に効く?
咳止めの薬がアルツハイマーの興奮状態に効くかも知れないという話。
デキストロメトルファンを服用すると、アルツハイマー病の興奮や攻撃的になるといった症状をより抑えることができました。
アルツハイマー病の興奮症状に咳止めの薬が有効か? – MEDLEYニュース
デキストロメトルファンのNMDA受容体拮抗作用によるものなのでしょうか。
しかし、アルツハイマーにメマリーを使っている患者さんにメジコンを使うと、NMDA受容体拮抗作用が増強され副作用として、めまいや頭痛が現れる可能性が高まるので併用には注意を要する。
アリセプトならアリかな。
メマリー
メマリーはNMDA受容体拮抗を作用機序とする中等度及び高度アルツハイマー型認知症治療剤である。
名前の由来:一般名であるメマンチンを尊重して“メマ”で始まる第一三共株式会社で保有している短い名前の中から選択した。
【メマリーの作用機序】
①神経細胞保護作用
メマリーは、NMDA受容体拮抗作用により細胞内への過剰なCa2+流入を抑制し、神経細胞を保護します。
②記憶・学習機能障害抑制作用
メマリーは、NMDA受容体拮抗作用によりシナプティックノイズを抑制します。
記憶を形成する一過性の高濃度のグルタミン酸が遊離されると、メマリーはNMDA受容体から速やかに解離するため、神経伝達シグナルが伝わり、記憶・学習機能障害を抑制します。
メマンチンはNMDA受容体拮抗作用を有する薬剤、唯一AChE阻害剤ではないAD治療薬です。
グルタミン酸は興奮性神経伝達物質であり、その受容体の1つであるNMDA受容体は、大脳皮質や海馬に高濃度に存在しています。
しかしADではグルタミン酸の取り込み機能が低下しており、脳脊髄液の中のグルタミン酸濃度が上昇していることが知られています。
さらに、ADの悪化に伴って脳脊髄液の中のグルタミン酸濃度が上昇する症例があることも報告されています。
これらの知見からADの記憶障害には、アセチルコリン系の異常に加えてグルタミン酸作動性ニューロンの機能低下やNMDA受容体の減少も関与していると考えられています。
この考え方に基づくと、ADにおける記憶障害を防ぐためにはNMDA受容体を刺激する方がよいと思われますが、一方では、ADにおける神経細胞脱落にはグルタミン酸の神経興奮毒性が関与していると考えられています。
そこで、NMDA受容体に拮抗する薬剤には、進行性の神経変性疾患に見られる神経細胞の脱落を抑制する可能性が期待されるのです。
メマンチンはNMDAに対する低親和性の非競合的アンタゴニストのため、生理的な神経興奮時に生じる一過性の高濃度グルタミン酸遊離に対しては受容体から離れるので、正常な神経伝達やシナプス可逆性(学習記憶のモデルと考えられる長期増強:LTP)形成や学習記憶には影響しませんが、持続的で比較的低濃度のグルタミン酸による神経細胞障害に対しては保護作用を発揮すると考えられています。
そこで、AChE阻害剤とは作用機序の異なるAD治療薬として期待されているのです。
メジコンとレグパラは併用禁忌?
レグパラ(シナカルセト)は強いCYP2D6阻害薬であるのに対し、メジコン(デキストロメトルファン)はCYP2D6阻害薬の影響を受けやすい基質薬です。両剤の併用により、メジコンのAUCが約11倍に上昇したことが報告されています。
ところが、メジコンの添付文書にはCYP2D6阻害薬との併用に注意するよう記載されているものの、レグパラとの併用による血中濃度上昇には言及していない。
レグパラの添付文書には、
本剤とデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を併用したとき、デキストロメトルファンのAUCが約11倍増加した2。
との記載がある。片方の添付文書だけを見ていては不十分ということ。
メジコンが痛みに効く?
NMDA受容体は興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体サブタイプの1つ。
神経障害性疼痛の発生には、グルタミン酸によるNMDA受容体の活性化も関与している。
NMDA受容体拮抗薬には、ケタミン塩酸塩(ケタラール:全身麻酔薬)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(メジコン:鎮咳薬)、イフェンプロジル酒石酸塩(セロクラールほか:脳循環・代謝改善薬)、メマンチン塩酸塩(メマリー:アルツハイマー型認知症治療薬)などがあるが、鎮痛補助薬としてはケタミンが用いられる場合が多い。
ケタミンは麻薬および向精神薬取締法に基づく「麻薬」に指定されており、国内では静注、筋注製剤が発売されている。
中枢性非麻薬性鎮咳薬
麻薬性薬剤と異なり、気道分泌や平滑筋への影響は少ない。
麻薬性薬剤と同様に咳中枢に働き、その興奮を抑制することにより鎮咳効果を期待する薬剤である。
中枢性鎮咳薬は一般に呼吸抑制的に働くが、呼吸促進作用を示す薬剤(コルドリン、ノレプタン)もある。
ペントキシベリンクエン酸塩には抗コリン佐用があり、緑内障や前立腺肥大症のある場合には用いない。
メジコンとMAO阻害薬の併用は禁忌である。
参考書籍:日経DI2011.7、ファーマトリビューン2011.8
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