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AT1受容体とAT2受容体の違いは?
公開. 更新. 投稿者:高血圧.この記事は約4分39秒で読めます.
8,482 ビュー. カテゴリ:アンジオテンシン受容体
アンジオテンシン受容体にはAT1受容体とAT2受容体があり、AT1受容体の働きは血圧を上げますが、AT2受容体は逆に血圧を下げる働きがあります。
そのため、AT2受容体にはなるべくくっつかないで、AT1受容体にのみくっつくような薬が好ましいのですが、薬によってAT1受容体へのくっつきやすさ(選択性)は違います。
AT1受容体選択性
ニューロタン(ロサルタン):1000倍
ミカルディス(テルミサルタン):3000倍
ブロプレス(カンデサルタン):10000倍
オルメテック(オルメサルタン):12500倍
ディオバン(バルサルタン):30000倍
人間のからだにはオモテとウラがあります。
昔から昇圧系として知られているRASには、アンジオテンシンⅡがくっつく受容体が2種類あり、表に当たるのがATⅡtype1受容体(AT1受容体)で、裏に当たるのがATⅡtype2受容体(AT2受容体)です。
アンジオテンシンⅡが表に作用すると血管を収縮させたり、アルドステロンを分泌させたりして心臓や器官に刺激を与えるように働きます。
さらに最近は、心筋の線維化や心筋細胞肥大を引き起こすこともわかってきました。
心筋を硬くして心臓の動きを悪くしたり、心不全の前段階でもある心肥大になったりすることにも関与しているのです。
一方、裏のAT2受容体に作用すると血管を拡張させたり、心筋の線維化を防いだりするなどのよい働きをします。
AT1受容体とAT2受容体
AngⅡ受容体には、AngⅡタイプ1(AT1)受容体、AngⅡタイプ2(AT2)受容体のサブタイプが存在し、AT1受容体は血管収縮、平滑筋細胞増殖、酸化ストレス刺激などの作用を有するとともに、循環系では水・Na保持および昇圧に働く。
一方、AT2受容体は血管拡張、平滑筋細胞増殖抑制、炎症反応抑制など、AT1受容体と拮抗する作用を有すると考えられている。
アンジオテンシンⅡ受容体にはAT1とAT2の二つのサブタイプが存在します。
AT1受容体は脳、肺、肝臓、腎臓、血管などに広く分布し、血管収縮やアルドステロン分泌作用の働きが主体で血圧上昇をもたらし、AT2受容体はその反対に血管拡張や細胞増殖抑制作用があり、血圧低下をもたらします。
このようにAT1受容体には血圧上昇作用があるため、その作用をブロックすることにより高血圧治療薬として用いることができます。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
この薬は血管を収縮させる物質(アンジオテンシンⅡ)が、血管の特定部位(AⅡ受容体)に結びつくのを防ぎ、血管収縮を抑えることによって末梢の血管を拡げて血圧を下げる薬です。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(Angiotensin Ⅱ Receptor Blocker, ARB)は、アンジオテンシンⅡ(AⅡ)と拮抗し、AⅡがAⅡ受容体への結合を阻害することにより血圧の降下作用を示す薬物である。
カルシウム拮抗薬と同じく高血圧症の治療薬であるが、1970年代にARBの基本骨格を創製したのは、武田薬品工業である。
現在、日本国内で発売されているのは、ロサルタン(商品名:ニューロタン)、バルサルタン(商品名:ディオバン)、カンデサルタンシレキセチル(商品名:ブロプレス)、テルミサルタン(商品名:ミカルディス)、オルメサルタン メドキソミル(商品名:オルメテック)、イルベサルタン(商品名 アバプロ/イルベタン)、アジルサルタン(商品名:アジルバ)などがある。
ARBはアンジオテンシンⅡのAT1受容体を選択的に抑制します。キマーゼ系のアンジオテンシンⅡの産生も阻害します。
ARBには心・腎の保護作用があることがわかっています。
高血圧患者さんでは一次予防も大事ですが、とくに重視されているのが二次予防です。
心臓に関しては、一度心筋梗塞を起こした人の再梗塞を防ぐことや、心筋梗塞の人が心不全になるのを防ぐことが重要なポイントになります。
さらに、ARBは糖尿病の新規発症を抑制するとのデータも出ていますが、現時点ではそれが二次予防には結びつかないという報告が多く出されており、糖尿病に関しては二次予防までは欲張らないほうがよいと思われます。
腎臓は血液検査や尿検査など測定項目がたくさんあり、評価しやすいので、腎臓に対する効果は一番わかりやすいといえます。
経験的にも、腎障害の進展を遅くする効果は確実にあると思われます。ただ、腎障害がかなり進行してしまった患者さんに関してはなかなか難しいので、高血圧の初期から服用するとその後の進展が抑えられます。
投与対象としては、ACEと比べると、強力な降圧効果がないかわりに副作用も出にくいので、比較的高齢の方(70歳代前半ぐらいまで)で、臓器障害が少し進んだ患者さんにも使えます。
また、ACE阻害薬を使ってみて副作用などで忍容性がなく、継続して飲めない患者さんは、ARBに変更すると飲めるようになります。
ただ、副作用は少ないとはいえ、ふらつきや高カリウム血症が出現することがあるので、とくに腎機能障害がある人への投与には注意を要します。
他のRAS阻害薬と併用する場合は、腎機能障害の増悪、高カリウム血症などに注意が必要です。
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