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一般名処方のOD錠を普通錠に変更できる?―先発品とジェネリックで違う変更調剤のルール
公開. 更新. 投稿者: 58 ビュー. カテゴリ:調剤/調剤過誤.この記事は約7分16秒で読めます.
先発品とジェネリックで違う変更調剤のルール

一般名処方で「口腔内崩壊錠(OD錠)」が処方されている患者さん。
ところが薬局にはOD錠の在庫がなく、普通錠なら在庫がある。
このとき、
「同じ成分・同じ含量なんだから、普通錠に変えていいよね?」
と思いがちですが、変更先が後発医薬品(ジェネリック)なのか、先発医薬品なのかによって扱いが異なります。
さらに、現在の医薬品の供給不足を受けて変更調剤のルールが一部緩和されているため、話はさらに複雑になっています。
今回は「一般名処方のOD錠を普通錠に変更できるのか?」を中心に、変更調剤のルールを整理します。
結論:GE普通錠なら変更可能、先発普通錠は原則として疑義照会
まず基本的な考え方を整理すると、一般名処方された内服薬について、
| 変更内容 | 通常の取扱い |
|---|---|
| OD錠 → GEのOD錠 | ○ |
| OD錠 → GEの普通錠 | ○ 条件付きで変更可能 |
| OD錠 → 先発品のOD錠 | ○ 同一剤形・同一規格なら調剤可能 |
| OD錠 → 先発品の普通錠 | × 原則として処方医への確認が必要 |
ここで重要なのは、
「一般名処方だから先発品でもGEでも自由に選べる」=「剤形も自由に選べる」
ではないことです。
一般名処方で先発医薬品を選択すること自体は可能でも、OD錠から普通錠のように剤形まで変更する場合には、別に「変更調剤」のルールが関係してきます。
普通錠とOD錠は「類似する別剤形」
変更調剤を理解するうえで重要なのが、「類似する別剤形」という考え方です。
内服薬については、次のように分類されています。
グループ1
- 錠剤(普通錠)
- 錠剤(口腔内崩壊錠)
- カプセル剤
- 丸剤
グループ2
- 散剤
- 顆粒剤
- 細粒剤
- 末剤
- ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合)
つまり、
普通錠 ⇔ OD錠
は「類似する別剤形」への変更です。
同じ「錠剤」だから同一剤形というわけではなく、変更調剤上は普通錠とOD錠を区別して考える必要があります。
GEならOD錠から普通錠への変更が可能
平成24年の変更調剤ルールでは、処方された医薬品について、
類似する別剤形の後発医薬品
への変更が認められています。
したがって一般名処方でOD錠が指定されていても、条件を満たせば、
一般名処方:○○口腔内崩壊錠10mg
↓
後発医薬品:○○錠10mg
という変更が可能です。
通常のルールでは、変更後の薬剤料が変更前の薬剤料を超えないことなどの条件があります。
一般名処方の場合、この薬剤料の比較対象は、その一般名処方に対応する先発医薬品の薬剤料です。
また当然ですが、剤形の違いによって効能・効果や用法・用量が異なる場合には変更できません。
では、先発品の普通錠には変更できる?
ここが今回の本題です。
たとえば、
一般名処方:○○口腔内崩壊錠10mg
↓
先発医薬品:○○錠10mg
という変更です。
一般名処方なのだから、先発医薬品を選択すること自体はできます。
しかし、「OD錠→普通錠」という類似する別剤形への変更まで認められているわけではありません。
通常の変更調剤ルールで認められているのは、
「類似する別剤形の後発医薬品への変更」
だからです。
したがって、一般名処方のOD錠から先発医薬品の普通錠へ変更する場合は、原則として処方医への確認が必要と考えます。
「一般名処方だから何でも選べる」ではない
ここは薬局で混乱しやすいところです。
たとえば一般名処方で、
【般】○○口腔内崩壊錠10mg
と処方されていたとします。
この場合、
「一般名処方だから、○○錠10mgという先発品を選んでもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、
「先発品かGEかを選択すること」
と
「剤形を変更すること」
は別の話です。
同一成分・同一剤形・同一規格の医薬品であれば一般名処方から先発品・GEを選択できますが、含量規格や剤形まで変更する場合には変更調剤のルールに従う必要があります。
そのため、
OD錠→GE普通錠:変更調剤として可能
なのに、
OD錠→先発普通錠:原則として疑義照会
という、一見すると不思議な違いが生じます。
供給不足で変更調剤のルールが緩和されている
さらに注意したいのが、現在の医薬品供給不足に伴う特例です。
厚生労働省は2024年3月15日、「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」という事務連絡を発出しました。
医薬品の入手が限定され、必要量を用意できないようなやむを得ない状況について、当面の間、変更調剤を柔軟に取り扱うものです。
代表的な変更点は、
- 後発品の銘柄処方から先発品への変更
- 変更後の薬剤料が高くなる後発品への変更
- 含量規格が異なる後発品への変更
- 類似する別剤形の後発品への変更
- 一定条件下で、錠剤→散剤など「分類間の別剤形」への変更
などです。
ただし、これは供給不足によって処方薬を用意できないような、やむを得ない場合の特例です。
通常時の変更調剤ルールそのものが全面的に変更されたわけではありません。
「後発品→先発品」も供給不足なら変更可能に
この特例で大きく変わったのが、後発品の銘柄処方です。
通常、
後発品A錠 → 先発品B錠
という変更は、処方医への確認が必要でした。
しかし供給不足などで処方された後発品を用意できない場合には、変更不可の処方箋でなければ、患者に説明して同意を得ることで、先発医薬品へ変更できるようになりました。
しかもこの場合、
含量規格が異なる先発品や、類似する別剤形の先発品
への変更も認められています。
たとえば、
GEのOD錠 → 先発品の普通錠
という変更も、条件を満たせば可能になります。
では「一般名OD錠→先発普通錠」も供給不足ならOK?
ここが非常にややこしいところです。
2024年3月15日の事務連絡では、
「後発医薬品の銘柄処方」から先発医薬品への変更
については明確に記載されています。
一方、
「一般名処方」から含量規格が異なる先発品や、類似する別剤形の先発品への変更
については明記されていません。
日医工の「供給状況による変更調剤の当面の取扱い」でも、この点を「現場で判断に迷いやすいケース」として取り上げ、
一般名処方時の取扱いについては明記されていないため、厚生局への確認を推奨する
としています。
つまり、
供給不足だから一般名OD錠→先発普通錠も当然OK
とまでは言い切れないわけです。
ここは非常に重要なポイントでしょう。
「銘柄GE→先発普通錠」はOKなのに「一般名→先発普通錠」は不明?
少し奇妙にも感じます。
供給不足時には、
GEのOD錠を銘柄指定
→ 先発品の普通錠
については、2024年3月15日の事務連絡によって変更可能とされています。
ところが、
一般名でOD錠を処方
→ 先発品の普通錠
については明記されていません。
一般名処方のほうが薬剤師の選択の自由度が高そうに感じるので、直感とは逆の結果です。
しかし制度上は、「一般名処方だから自由に変更できる」と拡大解釈せず、通知に書かれている範囲で判断する必要があります。
日医工の資料でも、この部分について「厚生局への確認」を推奨しており、薬局独自の判断で変更可能と断定するのは避けたほうがよいでしょう。
患者の同意も忘れない
供給不足に伴う2024年3月15日の特例では、単に薬局の判断だけで変更してよいというわけではありません。
変更する薬剤について患者へ説明し、患者の同意を得ることが必要です。
また、変更調剤を行った場合には、原則として処方した保険医療機関への情報提供も必要です。
処方医との間で、情報提供の要否、方法、頻度などについてあらかじめ合意している場合には、その合意に基づいて対応します。
OD錠が処方されている理由も確認する
制度上変更できるからといって、機械的にOD錠を普通錠へ変更するのも問題です。
OD錠が処方されている患者には、
- 嚥下機能が低下している
- 水を使わず服用したい
- 普通錠が飲みにくい
- 過去に普通錠からOD錠へ変更された
などの理由がある可能性があります。
特に高齢者や嚥下困難のある患者では、OD錠から普通錠への変更が服薬アドヒアランスや安全性に影響する可能性があります。
「変更調剤できるか」という保険上の問題だけでなく、**「この患者に普通錠へ変更して問題ないか」**という薬学的判断も必要です。
まとめ
一般名処方のOD錠を普通錠へ変更するときは、
「OD錠と普通錠は同じ錠剤だから変更してよい」
と単純に考えないことが重要です。
通常の変更調剤では、
一般名OD錠 → GE普通錠:条件を満たせば変更可能
ですが、
一般名OD錠 → 先発普通錠:原則として処方医への確認が必要
となります。
さらに2024年3月15日から、医薬品供給不足によって処方薬を用意できないようなやむを得ない場合には、変更調剤のルールが一部緩和されています。
ただし、この特例でも、
一般名処方→含量規格が異なる先発品・類似する別剤形の先発品
については明記されていません。
したがって、「供給不足だから先発普通錠に変更してよい」と自己判断するのではなく、必要に応じて厚生局等への確認が必要になります。
薬局で覚えるのであれば、
「一般名処方なら先発・GEを選べる。しかし、規格や剤形まで自由に選べるわけではない」
という点を押さえておくとよいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」(令和6年3月15日事務連絡)
- 厚生労働省「処方箋に記載された医薬品の後発医薬品への変更について」
- 厚生労働省「処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)」
- 日医工 Stu-GE「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱い」(資料No.20240403-2124)



