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週1回のインスリン製剤?アウィクリ注フレックスタッチ
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約4分36秒で読めます.
254 ビュー. カテゴリ:アウィクリ注フレックスタッチ
1週間に1回の糖尿病の注射剤といえば、GLP-1受容体作動薬のトルリシティ、オゼンピック、マンジャロなどいくつかあるが、インスリン製剤として初めて「アウィクリ注フレックスタッチ」が2025年1月30日に発売される。
アウィクリ(インスリン イコデク)は、血中のアルブミンと結合し、その後徐々に放出され作用するので長時間持続して働くことができる。半減期は約1週間。
アウィクリ注フレックスタッチには「総量300単位」と「総量700単位」の2規格がある。
インスリン製剤の1本あたりの単位数はランタスXRの1本450単位以外は1本300単位となっており、1本700単位などという製剤は存在しなかった。
「1本に700単位入っているってことは液量が多いの?」と思いがちだが、濃度が濃いだけで液量は変わらない。逆に300単位のほうは液量が少なくなる。
また、今まで1つの製剤で異なる単位数のインスリン製剤が無かったので、間違えないようにしなければならない。300単位と700単位が混在して処方されるケースもあり得る。
「総量」とつけて違う薬ではないことを患者にもわかりやすくしている。
アウィクリの用法は以下のようになっている。
通常、成人では、1週間に1回皮下注射する。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1週間あたり30~560単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。
1回560単位を超えて使用することもある。なんか、怖え。
低血糖の頻度については、「1型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、連日投与のBasalインスリンと比較して本剤で低血糖の発現が多く、また、同一患者において複数回発現した場合も多かった。」という記載もあり、やはり1日1回のインスリン製剤に比べて低血糖の頻度は多い。
インスリン製剤はシックデイでも続けることになるが、食事の継続や、水分補給に関しての注意は喚起する。
1週間に1回
週1回の投与は基本的に同一曜日に行う。
打ち忘れたり、多少ずれても問題はないが、投与間隔は4日以上はあけるようにする。
本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与させること。やむを得ず週1回投与の曜日を変更する必要がある場合は、投与間隔を4日間以上とし、血糖モニタリングを十分に行うこと。
投与を忘れた場合は、気づいた時点で直ちに投与し、次の投与は4日間以上の間隔をあけて開始すること。その後は、新たな開始日と同一曜日に週1回投与し、血糖モニタリングを十分に行うこと。
1日1回のインスリン製剤からの切り替えが多いとは思うが、いきなりアウィクリを使用することも可能。その際には「Basalインスリンの投与を受けていない患者に本剤を投与する際には、本剤開始時の投与量は70単位以下を目安とし、低用量からの投与を考慮するなど慎重に投与を開始すること。」とあるので、70単位以下から使用開始する。
1日1回のインスリン製剤からの切り替え方法については、
本剤を1週間に1回投与する投与量は、それまで連日投与していたBasalインスリンの1日総投与量の7倍に相当する単位数を目安とすること。
1日10単位使用していたら、70単位から使用開始。
じゃあ12単位使用していたら84単位か?というと、「本剤の単位合わせダイアルの1クリック(1目盛り)は10単位に相当し、本剤の投与単位数は10単位刻みで設定可能である。」となっており、84単位には設定できないので、80単位か90単位になる。
ただし、2型糖尿病患者では、
連日投与のBasalインスリン製剤から本剤への切り替え時に血糖値が上昇するおそれがある。血糖値の上昇を防ぐため、2型糖尿病患者においては、初回投与時のみ、本剤の投与量を7.4.1項で示した単位数を1.5倍に増量して投与することが推奨されるが、患者の血糖コントロールと低血糖のリスクのバランスを考慮して増量の必要性を慎重に判断すること。
さらにドン1.5倍、10×7×1.5=105単位で投与開始。
また、週1回製剤から週1日製剤に戻すときには、「切り替え時の1日あたりの投与量は、本剤の週1回投与量の7分の1量を目安とすること。」とあるので、1/7にリバースする。
アウィクリは何日保管可能?
各糖尿病用注射剤の開封後の使用期限は以下のようになっている。
薬品名 | 期限 | 添付文書の記載 |
---|---|---|
ゾルトファイ配合注 | 3週間 | 使用中は室温(30℃以下)にキャップ等により遮光して保管し、3週間以内に使用すること。ただし、25℃以下の保管であれば、4週間以内に使用すること。冷蔵庫保管(2~8℃)も可能であるが、凍結を避け、4週間以内に使用すること。 |
ノボラピッド注 | 4週間 | 使用中は冷蔵庫に入れず、キャップ等により遮光して室温に保管し、4週間以内に使用すること。 |
ノボラピッド30ミックス注/50ミックス注/70ミックス注 | 4週間 | 使用中は冷蔵庫に入れず、キャップ等により遮光して室温に保管し、4週間以内に使用すること。 |
アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位 | 6週間 | 使用中は室温にキャップ等により遮光して保管し、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位は6週間以内、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量700単位は12週間以内に使用すること。冷蔵庫保管(2~8℃)も可能であるが、凍結を避けること。残った場合は廃棄すること。 |
アウィクリ注 フレックスタッチ 総量700単位 | 12週間 | 使用中は室温にキャップ等により遮光して保管し、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位は6週間以内、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量700単位は12週間以内に使用すること。冷蔵庫保管(2~8℃)も可能であるが、凍結を避けること。残った場合は廃棄すること。 |
ランタス注 | 4週間 | 使用開始後4週間を超えたものは使用しないこと。使用時の安定性試験に基づく。 |
アピドラ注 | 4週間 | 使用開始後4週間を超えたものは使用しないこと。使用時の安定性試験(25℃)に基づく。 |
ライゾデグ配合注 | 4週間 | 使用中は室温にキャップ等により遮光して保管し、4週間以内に使用すること。 |
ビデュリオン皮下注 | 4週間 | やむを得ず室温で保存する場合は、30℃以下で遮光して保存し、4週間以内に使用すること。 |
フィアスプ注 | 4週間 | 使用中は冷蔵庫に入れず、室温にキャップ等により遮光して保管し、4週間以内に使用すること。 |
レベミル注 | 6週間 | 使用中は室温にキャップ等により遮光して保管し、6週間以内に使用すること |
ノボリンR注/N注/30R注/イノレット30R注 | 6週間 | 使用中は冷蔵庫に入れず、キャップ等により遮光して室温に保管し、6週間以内に使用すること。 |
ランタスXR注 | 6週間 | 使用開始後6週間を超えたものは使用しないこと。使用時の安定性試験(25±2℃)に基づく。 |
トルリシティ皮下注 | 14日間 | 室温で保存する場合は、14日以内に使用すること。 |
ヒューマログミックス25注/50注 | 28日間 | 使用開始後28日間は安定である(使用時の安定性を確認した試験により、使用時安定性が確認された期間)。 |
ヒューマリンR注/N注/3/7注 | 28日間 | 使用開始後は30℃以下で保存し、28日以内に使用すること。 |
インスリングラルギンBS注「リリー」 | 28日間 | 使用開始後4週間を超えたものは使用しないこと。(使用時の安定性試験に基づく。) |
ビクトーザ皮下注 | 30日間 | 使用開始後は、キャップ等により遮光して室温に保管し、30日以内に使用すること。 |
バイエッタ皮下注 | 30日間 | 使用開始後30日以内に使用すること。 |
リキスミア皮下注 | 30日間 | 使用開始後30日以内に使用すること。[使用時の安定性試験(25℃)に基づく。] |
トレシーバ注 | 8週間 | 使用中は室温にキャップ等により遮光して保管し、8週間以内に使用すること。冷蔵庫保管(2~8℃)も可能であるが、凍結を避けること。 |
アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位は6週間以内、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量700単位は12週間以内に使用すること。
同じ製品で量が違うだけでこれほど使用期限に差が開く理由はよくわからない。
液剤なのでなるべく早く使い切ったほうがいいが、製品の汚染、安全性というよりも、「6週間あれば使い切れるだろう」「倍以上の量だから倍の使用期間は必要かな」みたいな感覚のほうが強いような気もする。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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