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女性化する薬
公開. 更新. 投稿者:副作用/薬害.この記事は約6分20秒で読めます.
2,871 ビュー. カテゴリ:女性化乳房、EDの副作用
女性化乳房や勃起不全(ED)の副作用を持つ薬は多い。
発現の機序はわかっていないものもあるが、多少なりとも抗アンドロゲン作用を持つと推測される。
そうなると、妊娠や授乳にも影響するので、そのような患者への投薬時には注意が必要となる。
また、これらの副作用が生じても、なかなか恥ずかしくて訴えることができないケースもあるだろう。
それとなく、胸部の浮腫について聞いてみると良いかも。
医薬品名 | 性ホルモン系の副作用 |
---|---|
アイクルシグ錠 | 月経過多、月経困難症、頻発月経、無月経、骨盤痛、女性化乳房、精巣腫脹、精巣痛、乳頭痛、乳房炎症、乳房痛、不正子宮出血、膣出血、勃起不全 |
アイセントレス | 勃起不全、女性化乳房 |
アダラートCR | 女性化乳房、勃起不全 |
アボルブ | 勃起不全、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)、射精障害、精巣痛、精巣腫脹 |
アムロジン | 女性化乳房 |
インヴェガ | 無月経、不規則月経、月経困難症、乳房痛、乳汁漏出症、射精障害、前立腺炎、女性化乳房、勃起不全、乳房分泌、性機能不全 |
カルデナリン | 女性化乳房、持続勃起、勃起障害、射精障害(逆行性射精等) |
ザガーロ | 性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)、精巣痛、精巣腫脹 |
ジェイゾロフト | 性機能障害(射精遅延、持続勃起症等)、月経障害、乳汁漏出症、女性化乳房 |
セララ | 女性化乳房 |
タガメット | 女性化乳房、乳汁分泌、帯下増加、勃起障害 |
タシグナ | 女性化乳房、勃起不全、月経過多、乳頭腫脹、乳房硬結、乳房痛 |
ドグマチール | 月経異常、乳汁分泌、女性化乳房、乳房腫脹、勃起不全 |
ニューレプチル | 体重増加、女性化乳房、乳汁分泌、月経異常、糖尿 |
ニューロタン | 女性化乳房、勃起不全 |
ネクサバール | 勃起不全、女性化乳房 |
ノルバスク | 女性化乳房 |
ハルナール | 女性化乳房、持続勃起症、射精障害 |
パリエット | 女性化乳房 |
ビンダケル | 女性化乳房、乳房腫脹、乳房腫瘤 |
ビンマック | 女性化乳房、乳房腫脹、乳房腫瘤 |
フリバス | 勃起障害、女性化乳房 |
プロペシア | 勃起機能不全、射精障害、精液量減少、睾丸痛、血精液症、男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)、乳房圧痛、乳房肥大 |
ミニプレス | 陰萎、持続勃起、女性化乳房 |
リスパダール | 月経障害、乳汁漏出症、射精障害、無月経、不規則月経、女性化乳房、性機能不全、乳房不快感、勃起不全、月経遅延、希発月経、腟分泌物異常、乳房腫大、乳房分泌 |
リピトール | 女性化乳房、勃起障害 |
リフレックス | 高プロラクチン血症 、乳汁漏出症、女性化乳房、持続勃起症 |
リリカ | 乳房痛、勃起不全、女性化乳房、射精遅延、性機能不全、無月経、乳房分泌、月経困難症、乳房肥大 |
レメロン | 高プロラクチン血症 、乳汁漏出症、女性化乳房、持続勃起症 |
ロナセン | プロラクチン上昇、月経異常、乳汁分泌、射精障害、女性化乳房、勃起不全 |
女性化することの好影響としては、頭部の毛が生えてくることが考えられるが、これらの薬の副作用には「脱毛」も多くみられるのでザガーロやプロペシアのような薬以外はあまり期待しないほうがいいのかも。
コレステロールと女性化
アトルバスタチンに女性化乳房の副作用があるが、これはコレステロールがテストステロンなどの性ホルモンの材料として使われるためだという。テストステロンとエストロゲンは体内でバランスが保たれているが、テストステロンが減少すると、このバランスが崩れてエストロゲン作用が全面に出てくるため、女性化乳房が発現すると考えられている。エストロゲンもコレステロールから作られているが、テストステロンのほうが相対的に量が多いのでエストロゲン作用が強く出てくるのだろう。
アルダクトンAと女性化乳房
アルダクトンAを飲むと胸が大きくなる?
アルダクトンA(スピロノラクトン)はカリウム保持性利尿薬であり、その作用機序からアルドステロン拮抗薬とも呼ばれる。
アルダクトンA(スピロノラクトン)は鉱質コルチコイド受容体だけでなく、アンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体に対する親和性も高い。
そのため、女性化乳房や乳房痛など内分泌系の副作用を来しやすいというデメリットがある。
この副作用の発症率は用量依存的とされている。
アルダクトンA(スピロノラクトン)はミネラルコルチコイド受容体に結合し、アルドステロンに競合的に桔抗することにより血圧降下作用を示しますが、受容体選択性が低く、同じステロイドホルモンであるプロゲステロンの受容体をもブロックしてしまうため、内分泌・性腺系の副作用が誘発され、乳房痛、月経不順など起こり、男性においては女性化乳房を生じてくることがあります。
アルダクトンA(スピロノラクトン)による女性化乳房の発現機序の1つとして,テストステロン合成系の酵素の阻害による血中テストステロン濃度の減少があげられる。
また,デヒドロステロンは強力なアンドロゲン(男性ホルモン)であり,細胞質内に存在するデヒドロテストステロン受容体とアルダクトンA(スピロノラクトン)が結合し,そのアンドロゲン作用を阻害することによるとも考えられる。
また,アルダクトンA(スピロノラクトン)はテストステロンからエストラジオールへの転換を亢進させエストラジオールの増加作用も有しており,主にこれらの作用により男性の乳腺が女性のように発育し,乳房がふくらんだ状態の女性化乳房を引き起こす。
発現は用量依存性で,高用量・長期投与で発現しやすく,減量・投与中止により通常は1~2ヶ月で症状は消失する。
この副作用回避のため、セララ(エプレレノン)に変更されるケースもある。
セララは鉱質コルチコイド受容体に選択的に親和性を持つことから、スピロノラクトンと比較して内分泌系の副作用が少ないとされている。
アルダクトンAで女性化?男性化?
抗アンドロゲン薬であるアルダクトンAはアンドロゲン受容体にも結合し、抗男性ホルモン作用を有する。またプロゲステロン受容体にも結合し、抗女性ホルモン作用も有する。
そのため、女性化する副作用として、おっぱいが膨らむ女性化乳房、男性化する副作用として、音声低音化、無月経、多毛などがある。
男性ホルモンが関与するニキビやAGA(男性型脱毛症)にスピロノラクトンが使われることがある。
多毛症とアルダクトン
多毛症とはつまり毛深いということです。
多毛症の治療では、脱毛クリームなどを使った対症療法に加え、ホルモン療法も広く行われる。
具体的には、卵巣におけるアンドロゲン産生の抑制を目的に経口避妊剤が投与されるケースが多く、スピロノラクトン(アルダクトンA)も比較的よく使用される。
スピロノラクトンは、主に利尿剤として使用される高血圧治療薬だが、抗男性ホルモン作用を併せ持つことが知られており、米国では女性多毛症の第一選択薬となっている。
男性ホルモンであるテストステロンは、ジヒドロテストステロンに変換されて受容体に結合し、アンドロゲン作用を生じるが、スピロノラクトンはこの受容体反応を抑制する。
また、卵巣や副腎におけるテストステロン合成に関与する酵素の活性を抑制することにより、その産生を低下させる。
抗アンドロゲン剤としては他にフルタミド(オダイン)が使われることもあるが、スピロノラクトンの方が安価であり、かつ30年以上の使用実績もあることなどから、現時点ではフルタミドの使用は一部にとどまっている。
スピロノラクトンを降圧利尿剤として用いる場合は通常1日100~400mg程度が投与されるが、多毛症の治療では降圧利尿作用を最小限に抑えるため、50mg/日程度から開始し、効果を見ながら漸増するという方法がとられる。
女性ホルモンの低下が見られる月経周期の4~21日目に服用する方法が一般的で、数ヶ月後から効果が認められる。
海外文献をまとめた報告によると、多毛症患者に対して、同剤を50~200mg(50mgから開始し漸増)を投与したところ、2~5ヶ月目に効果が認められ、60~80%の症例に有効だったとされている。
スピロノラクトンの副作用としては、頻尿や起立性低血圧のほか、月経異常、乳房痛、倦怠感などが知られている。
ただ、多毛症の治療に使用する場合は低用量であることから発生頻度は低く、これらの副作用が認められた場合でも、服用を継続している間に大半は自然消失すると言われている。
抗アンドロンゲン薬と女性化
前立腺がんに使われる抗アンドロゲン薬は、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑制する薬です。
そのため、男性ホルモンが関わっているからだの働き、男性っぽさが弱くなる。女性も男性ホルモンを、男性も女性ホルモンを分泌しているので、女性ホルモン優位になり、女性化する。
例えば、カソデックスの副作用で、この女性化による影響で起こりうる副作用を挙げると、
5%以上 乳房腫脹
0.1%〜5%未満 乳房圧痛、ほてり
0.1%〜5%未満 勃起力低下
0.1%未満 脱毛、多毛
0.1%〜5%未満 性欲減退
0.1%〜5%未満 便秘
0.1%未満 無力症、疲労、体重増加・減少
性機能障害やインポテンツなど、性的な副作用はデリケートな問題でもあるので、あまり話したがらないだろう。
女性化で最も気になるのは、体形の問題であろう。
筋肉量が少なくなり脂肪が増え、太ってくる。
女性化乳房も胸のふくらみというよりも、「太ってきた」と感じることもある。
薬の効果として仕方がない部分もあるが、脂質異常症など生活習慣病のリスクも上がってしまうので、可能な限り運動や食生活で抗うことを勧める。
カソデックスとホットフラッシュ
ホットフラッシュといえば、女性の更年期障害にみられるほてりなどの症状。
前立腺癌に使われる抗アンドロゲン薬、カソデックスやオダインなどでもホットフラッシュ、ほてりの副作用がよくみられる。
女性の更年期症状として知られる顔や上半身のほてり、発汗などを主体とするホットフラッシュは、ホルモン療法を行っている男性にも、治療開始後1、2カ月くらいからしばしば認められる症状です。動悸、不安、不眠などを伴う人もいます。LH-RHアゴニスト、外科的去勢術、MAB療法では3~4割、抗アンドロゲン剤単独使用者にも1割程度にみられます。
男性ホルモンの分泌に関係する脳の視床下部にある体温中枢の変調が原因という説がありますが、詳細はわかっていません。
更年期障害のホットフラッシュの原因は、自律神経のバランスの乱れと言われています。
視床下部が卵巣に「女性ホルモンをもっと出せ」と命令しても、卵巣はそれに答えることができないので、脳が混乱して自律神経のバランスが乱れるという流れ。
カソデックスを飲んでいる男性も同じく、「男性ホルモンをもっと出せ」という命令をしても抗アンドロゲン薬がそれをブロックするので、脳が混乱して自律神経のバランスが乱れる。
自律神経をコントロールしている視床下部にある体温調節中枢もパニックになり、異常な体温、ほてり、のぼせを来すようになるわけです。
SSRIやガバペン、その他さまざまな漢方薬が、抗アンドロゲン薬の副作用であるホットフラッシュの治療に用いられます。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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