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インスリンとGLP-1アナログの配合注射液
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約4分21秒で読めます.
6,022 ビュー. カテゴリ:インスリン+GLP-1アナログ
私の薬局でまだ使っている人を見たことがありませんが、インスリンとGLP-1アナログの配合注射液というのがすでに販売されている。
昨年2019年9月26日に発売されたゾルトファイ配合注(トレシーバ+ビクトーザ)と、2020年6月8日に発売されたソリクア配合注ソロスター(ランタス+リキスミア)である。
持効型溶解インスリンが空腹時血糖をコントロールし、GLP-1受容体作動薬が食後血糖を改善する。
この配合剤のメリットとして、インスリンの弱点を補う、低血糖と体重増加のリスクを増やさずにHbA1c低下を示すことができるという。
用法用量
気になるのが、用法用量である。
インスリン製剤であれば、単位数で調節しているが、配合剤になるとどのような調節方法になるのか。
「ゾルトファイ」1ドーズ=「トレシーバ」1単位+「ビクトーザ」0.036 mg
「 ソリクア」1ドーズ=「 ランタス」1単位+「 リキスミア」1μg
ゾルトファイの用法用量は以下のとおり
通常、成人では、初期は1日1回10ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして10単位/0.36 mg)を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減するが、1日50ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして50単位/1.8 mg)を超えないこと。注射時刻は原則として毎日一定とする。なお、本剤の用量単位である1ドーズには、インスリン デグルデク1単位及びリラグルチド0.036 mgが含まれる。
ソリクアの用法用量は以下のとおり
通常、成人には、5~20ドーズ(インスリン グラルギン/リキシセナチドとして5~20単位/5~20μg)を1日1回朝食前に皮下注射する。ただし、1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減するが、1日20ドーズを超えないこと。
なお、本剤の用量単位である1ドーズには、インスリン グラルギン1単位及びリキシセナチド1μgが含まれる。
使用時点は、ゾルトファイは指定が無いが、ソリクアは朝食前に決まっている。リキスミアが朝食前の用法だからね。
使用上限量が、ゾルトファイが50ドーズ、ソリクアが20ドーズと決まっている。
これはインスリンに上限は無いので、それぞれに配合されているGLP-1受容体作動薬の上限(ビクトーザ1.8㎎、リキスミア20μg)にあわせて決められている。
インスリンの量でみると、ソリクアは少なく、ゾルトファイのほうが幅広く使えそうだ。
ソリクアについては、海外では、インスリン グラルギンとリキシセナチドが3単位:1μgおよび、2単位:1μgの配合比の製剤が承認されているとのことなので、日本では上限を抑えることで低血糖のリスクを回避しようとしているのかなあ、と推測する。
これらの配合剤は2種類の成分を混合してあるが、懸濁液ではないため、注射前に混和する必要はない。
GLP-1アナログ製剤の適応症
2020年6月現在の各GLP-1アナログ製剤の適応症は以下のようになっている。
●バイエッタ:2型糖尿病ただし、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤(ビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤との併用を含む)を使用しても十分な効果が得られない場合に限る。
●リキスミア:2型糖尿病
●ビクトーザ:2型糖尿病
●ビデュリオン:2型糖尿病ただし、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤及びチアゾリジン系薬剤(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)による治療で十分な効果が得られない場合に限る。
●トルリシティ:2型糖尿病
リキスミア、ビクトーザ、トリルシティの適応症には縛りが無いので、インスリンとの併用は可能。
各製品とインスリン製剤等との併用に関する添付文書の注意書きは、
●バイエッタ:インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない。
●ビデュリオン:インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない。
●リキスミア:本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。特にスルホニルウレア剤、インスリン製剤又は速効型インスリン分泌促進剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、定期的な血糖測定を行うこと。これらの薬剤と併用する場合には、スルホニルウレア剤、インスリン製剤又は速効型インスリン分泌促進剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
●トルリシティ:本剤とインスリン製剤との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
トルリシティとインスリン製剤との併用は微妙。
またトルリシティとDPP4阻害薬の併用についても、「本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。」とある。
ビクトーザも然り「本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。」とある。
ビクトーザとインスリン製剤の併用については、臨床試験も行われており問題ない。
各製品で違いがあるので、インスリンとGLP1作動薬の併用処方をみたら、一度確認することが必要。
リキスミアの用法
リキスミアは、朝食後に注射することで朝食後の食後高血糖を強力に抑える作用を持つ。
短時間型に分類されるにもかかわらず用法が1日1回である理由は、臨床試験で1日2回に比べて効果に差が見られなかったためだ。
リキスミアの最大の特徴は、インスリン製剤との併用が可能であること。
併用すれば、空腹時高血糖も含め全体的に血糖値を下げることができる。
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