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チメロサールは危険?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約2分18秒で読めます.
2,570 ビュー. カテゴリ:ワクチンの防腐剤
一部のインフルエンザワクチンは、水銀含有防腐剤であるチメロサールを含有しているため、接種を控えたほうがいいのでは、といった話をよく聞く。
しかし、大規模コホート研究では、チメロサール含有ワクチンを接種した子どもに自閉症スペクトラム障害を含む神経発達転帰の異常が増加しないことが示されている。
妊娠中のチメロサール含有ワクチン曝露の安全性を調べた研究はないが、妊婦にも長い間使われてきており、有害事象の報告はない。
メチル水銀とエチル水銀
有機水銀にはメチル水銀とエチル水銀があり、毒性が全く違います。
ワクチンに含まれる防腐剤のチメロサール(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)はエチル水銀で、体内の半減期は約1週間未満、かつ消化器で積極的に排泄され、ワクチン接種後の水銀毒性の証拠はないとされています。
チメサロールはバイアル瓶で多人数に分割使用する際に生じる可能性のある細菌汚染を防止する目的で添加されています。
チメロサールは、1990年代に自閉症等の発達障害との因果関係が指摘されましたが、最近の疫学調査ではその関連は無いとされており、一般的には予防接種上の有益性が危険性を上回っていると考えられています。
水俣病で有名なのはメチル水銀です。
メチル水銀は半減期が1ヶ月半と長く、毒性が問題となっている。
チメロサールが添加されている製剤を妊婦に使用しても差し支えないですが、北里研究所が製造するプレフィルドシリンジ製剤には保存剤が添加されていないので、希望する妊婦には保存剤無添加のワクチンが接種できるようになっています。
ただし、プレフィルドシリンジ製剤は産科・産婦人科にしか供給されないことになっているので、予防接種の予約をする際には注意が必要です。
チメロサール無添加も危険
チメロサールは、殺菌作用のある水銀化合物です。
その殺菌作用は昔から知られており、1930年代から種々の薬剤の保存剤として用いられてきました。
過去に薬剤に細菌が混入し、感染症で命を落とす悲劇があったためです。
チメロサールは生ワクチンでは使用されませんが、死菌などが入っている不活性化ワクチンには保存剤として使われるようになりました。
微量のチメロサールのエチル水銀による毒性は、過敏症を起こすことがある以外、あまり報告されていませんが、小児のワクチン接種本数の増加などの理由から、米国をはじめとする世界各国でワクチン中のチメロサールが問題になってきました。
1999年、米国小児科学会はチメロサールを含まないワクチンの使用を勧告し、欧州や世界保健機関(WHO)でもワクチンに含まれる水銀の曝露が有害である証拠はないが、チメロサールを含まないワクチンの使用を早急に進めていくべきだとしました。
日本においても、米国・欧州と同様、チメロサール減量または無添加のワクチンが発売されています。
しかし、WHOではチメロサールをワクチンに添加しないときの病原体に汚染した場合の感染症のリスクは、チメロサールによる副作用のリスクよりはるかに大きいと考えており、チメロサール添加を即刻中止することなく、継続しながらできるだけ添加を減らす方向を示しています。
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