更新日:2015年10月22日.全記事数:3,169件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ステロイドと保湿剤、どっちが先か?


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ステロイドと保湿剤どちらが先か

どちらを先に塗らなければならないというルールはありません。
しかし、保湿剤を先に塗り、その後にステロイドを塗るというのが副作用予防の観点から、利にかなっているといえます。
まず、保湿剤とステロイドを塗り重ねると、皮膚の表面で両者は混合されることになるため、結果的にはどちらを先にのせても違いはないと考えられます。
実際、私が動物実験で確かめたところ、どちらを先に塗っても、代表的な局所副作用である皮膚の萎縮は、同程度に見られました。
一般に、アトピー性皮膚炎では、ステロイドは炎症部位に塗り、保湿剤はそこを中心に塗り広げるよう指導されます。
この場合、ステロイドを先に塗っていたら、その後保湿剤を塗る際に、周囲の正常な皮膚にまでステロイドを塗ってしまうことになります。
結果的に、正常な皮膚に萎縮などの副作用を来す恐れがあるというわけです。
ですから、「ステロイドは炎症部位に塗り、保湿剤はそこを中心に塗り広げる」という医師の意図を実現するには、先に保湿剤を広い範囲に塗っておき、ステロイドは炎症部位に塗るとよいと考えられます。
外用薬の添付文書の用法を見ると、保湿剤は大部分が「擦り込む」「塗擦する」と記載され、ステロイドは「塗布する」と記載されています。
先にステロイドを「塗布」し、次に保湿剤を「擦り込む」と、結果的にステロイドも「擦り込む」ことになり、ステロイドの吸収量が増して、副作用が増加する可能性が高まります。
従って保湿剤を「塗擦」してから、ステロイドを患部にだけ「塗布」するのが妥当です。

ステロイドと保湿剤を塗る順序

塗り薬がいくつか処方されている患者さんから、塗る順番を聞かれることがあります。
よくあるのが、保湿剤とステロイド外用剤の塗る順番。
保湿剤は広い範囲に塗りますが、ステロイドは赤みの強い部分だけ。
ステロイドを塗った後に保湿剤を塗ると、初めに塗ったステロイドが伸びてしまうのでよくない。
保湿剤を塗ってカサカサを抑えたあとに、ステロイドを必要な部分に塗る。
2種類の薬を塗るときに、いちいち手を洗うことはしないので、ステロイドを先に使うと、ステロイドが手に残った状態で保湿剤を塗ることになる。
ステロイドが必要ない部分にも塗ってしまうことになる。
というのが一般的だと思っていました。
しかし、、皮膚科領域では、一般的にはステロイド外用剤を先に塗布する場合が多いようであるとのこと。
ある調査によると、ステロイド剤を先に塗布する場合が50%程度、ステロイド剤を後から塗布する場合が15%程度、順序を指定しない場合が20%程度。
これは、疾患に対して効果の強い皮膚外用剤を先に塗布するという意図であろうが、経験的なものであり根拠を明らかにした研究は今のところ報告されていない。
基本的にはどっちでもいいのかも。

皮膚上で混ざる

ヘアレスラットでステロイド軟膏剤と他軟膏剤を併用した場合の、全身性副作用について調べた実験があります。
同じ部位に皮膚外用剤を2種類併用する場合では、塗布部位の上で混合されて、混合してから塗布した場合と同じ結果となることがわかりました。
じゃあ、どっちから塗っても問題ないか。
しかし、臨床では塗布順序が副作用に影響を与える可能性があります。
ヘアレスラットの実験では塗布部位は同じ範囲でした。
しかし、臨床ではステロイド外用剤と保湿剤は重なる部位はあるものの、同じ範囲に塗布することはありません。
当然、保湿剤のほうがステロイド外用剤に比べて広範囲に塗布します。
皮膚科医は副作用防止を最優先に考慮した場合、広範囲に塗布する軟膏剤を先に塗布するように指示することが多いようです。
これは先に副作用の強いステロイド軟膏剤などを塗布し、後から広範囲に塗布する保湿剤などを塗布すると、ステロイド軟膏剤が塗布する必要のない部位まで広がってしまうことを防ぐためです。
ステロイド軟膏剤以外でも、タクロリムス軟膏や活性型ビタミンD3製剤など副作用が発現する可能性の高い皮膚外用剤は後に塗布する方が副作用防止の点で有利と考えられます。

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