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白内障術後のNSAIDs点眼薬の目的は?
公開. 更新. 投稿者:緑内障/白内障.この記事は約2分21秒で読めます.
8,813 ビュー. カテゴリ:白内障術後の合併症
白内障の手術では、術後の合併症の予防が重要となる。
主な術後合併症としては、術後感染症(眼内炎)、眼内レンズ偏位、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、網膜剥離、眼圧上昇、後発白内障がある。
白内障の手術後は合併症予防のために、⑴抗菌薬、⑵ステロイド、⑶非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、といった3種の点眼薬が主に使用される。
抗菌薬は、眼内炎の予防のために投与される。
眼内炎は、眼球の表面やまぶたの縁に存在する細菌が手術創から眼球内に入り発症する。
そのため手術前から抗菌薬を点眼し、手術時には眼周囲の消毒が入念に行われる。
ステロイドは手術後の各種炎症や合併症を抑えるために投与される。
NSAIDs点眼薬はCMEの予防のために投与される。
CMEは、物を見るのに重要な目の黄斑部に一時的に浮腫や嚢胞形成が起きることで視力が低下する病態である。
手術刺激や手術後の創傷治癒過程で惹起されたプロスタグランジンや各種サイトカインなどの炎症誘発物質が原因で発症すると考えられている。
多くの合併症は術後早期に発症するのに対し、CMEは術後2週間~3か月に生じることが多い。
白内障で目薬を使っていると言われて、見せてもらったらベガモックス点眼液だった。
白内障術後の抗菌点眼薬
患者が「白内障で目薬を使っている」と話した場合、白内障手術後の感染症予防の目薬である可能性もある。
手術で眼内レンズを挿入した場合、通常は保護眼鏡は1週間で外せ、経口抗菌薬は5日間の服用で済むが、抗菌薬と抗炎症薬の点眼は2~3ヶ月続ける。
外見から術後と分からない場合もあるので早合点は禁物。
NSAIDs点眼薬とCME
白内障手術をした106人を対象に、NSAIDs点眼薬のジクロフェナクとステロイド点眼薬のフルオロメトロンのCME抑制効果を比較したところ、CME発生率はジクロフェナク群(53人)で5.7%、フルオロメトロン群(53人)で54.7%であり、ジクロフェナク群で有意に低かったという報告がある。
ただし、ジクロードには、保存剤としてクロロブタノールが添加されており、温度が高くなると加水分解により塩酸が生じpHが下がることが示されている。
主成分であるジクロフェナクはインドール酢酸系NSAIDsであり、酸性条件下では析出する可能性がある。
そのため、ジクロードは10℃以下で保管する必要がある。
常温保存が可能なNSAIDs点眼薬には、プロドラッグ製剤のネバフェナク懸濁性点眼液(ネバナック)がある。
同薬は、角膜透過性が高く速やかに活性代謝物のアンフェナクに変換され効果を発揮する特徴があり、臨床試験でジクロフェナクと同様にフルオロメトロンよりもCMEの発症率が低いことが明らかになっている。
白内障の治療
水晶体線維の細胞膜の変性防止のためピレノキシン(カタリン)などが用いられる。
白内障が進行した場合は手術が必要になる。
また、後発白内障に対するNd-YAGレーザー後嚢切開後の眼圧上昇防止にアイオピジンを用いる。
白内障手術後の炎症や嚢胞様黄斑浮腫(CME)などの予防に、ジクロフェナク(ジクロード)、ブロムフェナク(ブロナック)、ネバフェナク(ネバナック)などのNSAIDs点眼薬を用いる。
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