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妊婦は睡眠薬を飲んじゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約4分2秒で読めます.
4,644 ビュー. カテゴリ:妊婦に睡眠薬は危険?
妊娠している女性が不眠に悩まされるということはよくあります。
妊婦に対してはベンゾジアゼピン系薬物は基本的には回避しますが、投与による利益がリスクを上回ると考えられる場合には処方される場合もあります。
バルビツール酸系の睡眠薬では口唇裂、口蓋裂、心血管奇形の頻度が高く、ベンゾジアゼピン系および類似薬では、カナダのマザーリスクプログラムにおいて妊娠中にゾピクロンの投与を受けた40例についてprospectiveな調査を行っており、大奇形発生率はコントロール群と有意差は認められなかったと報告されています。
妊娠中の睡眠薬
催奇形性については肯定・否定双方の報告があり、最終的な見解は出ていません。
妊娠後期の服用により新生児に退薬症状や筋緊張低下、黄疸の増強などの症状が現れる場合があるので、心療内科や精神科的な疾患を有する妊婦以外は連用ではなく、頓用による使用を心がけるべきです。
ニトラゼパム(ベンザリン)の添付文書には、以下のように記載されています。
1. 妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物の投与を受けた患者の中に,奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。]
2. 妊娠後期の婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[新生児に哺乳困難,筋緊張低下,嗜眠,黄疸の増強等の症状を起こすことがある 。]
3. 分娩前に連用した場合,出産後新生児に退薬症候(神経過敏,振戦,過緊張等)があらわれることが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されている。
ベンゾジアゼピン受容体に作用する催眠薬の多くも、添付文書に同様の記載がされています。
睡眠薬のFDA分類
ハルシオン:X
マイスリー:C
ロヒプノール:D
ユーロジン:X
ドラール:X
ベノジール:X
妊婦に睡眠薬が処方されたら、とりあえずマイスリーを勧めてみよう。
妊婦とベンゾジアゼピン系抗不安薬
妊婦では妊娠3ヶ月以内と妊娠後期、また、授乳中、妊娠の可能性がある場合は投与をひかえるべきです。
催奇形性については少ないといわれていますが、口唇裂、口蓋裂などの報告があります。
また、胎盤を通過するため筋緊張低下の目立つ児が生まれる可能性があります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬に関するprospective studyにおいても催奇形性についての見解はさまざまで、安全性が確立されているとはいいがたいことから、妊娠初期はできるだけ服用を避けることが望ましいといわれています。
妊娠中のマイスリーは危険か?
妊婦に一番安全な睡眠薬と言えば、マイスリー。
日本で発売されているすべての睡眠薬の中で、マイスリーのみFDAの催奇形性リスクがB(その後の情報でCと訂正)となっている。マイスリー以外の睡眠薬は軒並みDまたはXとなっており、催奇形性に関しては、マイスリーが睡眠薬のかなでは最も安全性が高いと評価されているのである。マイスリーと妊娠|kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)
添付文書の記載では、
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に本剤を投与された患者より出生した児に呼吸抑制、痙攣、振戦、易刺激性、哺乳困難等の離脱症状があらわれることがある。なお、これらの症状は、新生児仮死として報告される場合もある。]
薬を飲まないに越したことは無いが、勧めるならマイスリー。
妊婦さんは左側を下にして寝るといい?
妊婦さんは、「体の左側を下にして寝るといい」とよくいわれます。
仰向けに寝るのは苦しそうだな、とわかりますが、なぜ左側を下にするのか。
それは、動脈と静脈の関係にあります。
体の左側に大動脈、右側には大静脈が走っていますが、静脈は動脈より弾力性がないため、妊婦さんが左側を上にして寝ると、大きなおなかで大静脈がつぶされ、心臓へ向かう血行が悪くなって寝苦しさを感じてしまうのです。
静脈のそばを流れるリンパ管も圧迫されるので、手足などの末梢から戻ってきたリンパ液の流れが阻害されて、むくみや静脈瘤の原因にもなります。
女性は眠りが浅い?
体温と睡眠の関係に男女差はあるのでしょうか。
成人女性の場合、女性ホルモン分泌の影響により、高温期と低温期という体温変化の1ヶ月周期が繰り返されています。
基礎体温を朝目覚めた時に測定するのは、睡眠により低下している夜間の体温の変化を捉えるためです。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の他にプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んになる黄体期に入ると体温は上昇します(高温期)。
一般に体温は夜間になっても下がりにくく、卵胞期よりも0.5℃ほど高くなるといわれています。
プロゲステロンは妊娠を継続させて、子どもを守るために分泌されるホルモンですので、代謝の低下により胎児の発育遅延などを招かないように睡眠中の体温低下を制御していると考えられます。
しかし、それは睡眠の質にも影響を及ぼします。
なかには黄体期になると、夜間になっても低下しないために睡眠障害が生じ、治療を続けている女性もいます。
ただし閉経後には女性ホルモンの影響がなくなり、男性と同様の深部体温リズムになります。
参考書籍:武田薬報2011 465号、向精神薬の新世紀
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