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イセルティとレルミナの違いは?
公開. 更新. 投稿者: 180 ビュー. カテゴリ:月経/子宮内膜症.この記事は約4分9秒で読めます.
目次
イセルティ(リンザゴリクス)とレルミナ(レルゴリクス)

2026年3月、子宮筋腫治療薬「イセルティ錠100mg(リンザゴリクス)」が発売された。
子宮筋腫に使われる経口GnRHアンタゴニストといえば、すでにレルミナ錠40mg(レルゴリクス)がある。
どちらもGnRHアンタゴニストであり、子宮筋腫に伴う過多月経、下腹痛、腰痛、貧血を改善する薬である。
では、イセルティとレルミナは何が違うのだろうか。
イセルティとレルミナの比較
| イセルティ錠100mg | レルミナ錠40mg | |
|---|---|---|
| 一般名 | リンザゴリクス | レルゴリクス |
| 薬効 | GnRHアンタゴニスト | GnRHアンタゴニスト |
| 子宮筋腫 | ○ | ○ |
| 子宮内膜症 | ― | ○ |
| 1回量 | 200mg(2錠) | 40mg(1錠) |
| 投与回数 | 1日1回 | 1日1回 |
| 食事との関係 | 指定なし | 食前 |
| 投与開始 | 月経周期1~5日目 | 月経周期1~5日目 |
| 投与期間 | 原則6か月以内 | 原則6か月以内 |
大きな違いとして覚えておきたいのは、イセルティは食事の影響をほとんど受けないため、食前投与という制限がないことである。
一方、レルミナは「1日1回食前」となっている。
どちらもGnRHアンタゴニスト
子宮筋腫はエストロゲンなどの女性ホルモンの影響を受けて増大する。
GnRHは視床下部から分泌され、下垂体のGnRH受容体に作用してLHやFSHの分泌を促す。その結果、卵巣からエストロゲンやプロゲステロンが分泌される。
イセルティとレルミナはいずれもGnRH受容体を遮断する「GnRHアンタゴニスト」である。
GnRH受容体を遮断することで、
GnRH受容体を遮断
↓
LH・FSHの分泌低下
↓
エストロゲン・プロゲステロン低下
↓
子宮筋腫に伴う出血や疼痛などを改善
という作用を示す。
注射剤のリュープロレリンなどのGnRHアゴニストとは異なり、投与初期に一時的に性腺刺激ホルモンが上昇するフレアアップが起こりにくいこともGnRHアンタゴニストの特徴である。
イセルティは食前じゃなくてもいい
薬局で最も分かりやすい違いは服用方法だろう。
レルミナの用法は、
「通常、成人にはレルゴリクスとして40mgを1日1回食前に経口投与する。」
となっている。
レルミナは食事の影響を受けるため、食前という用法になっている。
一方、イセルティは、
「通常、成人にはリンザゴリクスとして200mgを1日1回経口投与する。」
となっており、「食前」「食後」という指定がない。
イセルティ200mgを高脂肪食摂取後に投与した試験では、空腹時と比較してCmaxは0.82倍となったものの、AUCは1.00倍だった。
そのため、イセルティは食事の有無にかかわらず服用できる。
毎日服用する薬であることを考えると、食事のタイミングを気にしなくてもよいことはイセルティのメリットの一つといえる。
ただし、イセルティ錠は1錠100mgで、通常用量は200mgなので、1回2錠服用する。
レルミナは1回1錠なので、錠数ではレルミナのほうが少ない。
レルミナは子宮内膜症にも使える
適応症にも違いがある。
イセルティの適応は、
「子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善過多月経、下腹痛、腰痛、貧血」
である。
レルミナにはこれに加えて、
「子宮内膜症に基づく疼痛の改善」
の適応がある。
したがって、子宮筋腫については両剤を使用できるが、現時点では子宮内膜症にイセルティを使用することはできない。
海外ではリンザゴリクスが子宮内膜症に使用されている地域もあるため、今後国内でも適応が追加されるかどうかは気になるところである。
どちらも月経周期1~5日目から開始する
イセルティもレルミナも、初回投与は月経周期1~5日目に行う。
これはGnRHアンタゴニストによって排卵が抑制されるため、妊娠していないことを確認したうえで治療を開始する必要があるためである。
また、治療中は非ホルモン性の方法による避妊が必要となる。
薬局では新規処方時に、いつから服用を開始するよう医師から説明されているか確認しておきたい。
どちらも原則6か月まで
イセルティもレルミナも、原則として6か月を超えて投与しない。
GnRHアンタゴニストによってエストロゲンが低下すると、子宮筋腫の症状改善が期待できる一方で、エストロゲン低下に伴って骨塩量も低下する可能性がある。
そのため両剤とも、
「エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるので、6ヵ月を超える投与は原則として行わない」
とされている。
長く飲めばよい薬というわけではなく、手術までの保存療法や閉経前の保存療法として使用するという位置づけである。
また、エストロゲン低下に伴って、ほてり、頭痛、多汗などの更年期様症状がみられる可能性にも注意する。
イセルティの登場で何が変わる?
イセルティとレルミナは作用機序も適応もよく似ている。
子宮筋腫に対する治療という点だけを見ると、
レルミナ:1日1回1錠、食前に服用
イセルティ:1日1回2錠、食事に関係なく服用
という違いが、患者に説明するうえでは最も分かりやすい。
レルミナの「食前」は、患者によっては意外と守りにくい。
朝食前など服用するタイミングを決めてしまえば問題ないが、食事時間が不規則な患者では飲み忘れにつながる可能性もある。
食事に関係なく服用できるイセルティは、服薬タイミングの自由度という点では使いやすそうだ。
一方で、レルミナは1回1錠で済み、子宮内膜症にも適応を持つ。
「新しいからイセルティのほうが優れている」というよりも、同じGnRHアンタゴニストに、食事の影響を受けにくい選択肢が加わったと考えるのがよさそうである。



