2025年5月18日更新.2,476記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ダイエットサプリ・健康食品の効果と注意点ダイエットサプリ一覧

手軽にやせたい人が注目する食品や成分

「簡単に痩せたい」「運動や食事制限をせずに効果を出したい」と考える人は多く、そのニーズに応えるかのように、さまざまなサプリメントや健康食品が市場に出回っています。もちろん、運動や食事管理がダイエットの基本であることは変わりませんが、それらに加えて使われる「補助的アイテム」として注目される成分の効果や注意点について整理してみましょう。

キトサン:脂質吸収を抑えるが薬剤相互作用に注意

・エビやカニの殻に含まれる成分
・コレステロール吸収を抑える特定保健用食品(トクホ)
・脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収を阻害するため、サプリとの併用は時間を空ける必要あり
・ワルファリンの作用増強のリスクあり

エビやカニの殻に含まれるキトサンは、コレステロールの吸収を抑える効果があるとして特定保健用食品(トクホ)にも認可されています。食物繊維の一種として、腸内環境を整える働きも期待されています。

しかし注意点もあります。キトサンは脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を阻害することが知られており、ビタミン剤との同時摂取には時間を空けるなどの工夫が必要です。特にビタミンKの吸収が阻害されると、抗凝固薬ワルファリンの作用を増強する可能性があるため、服用中の人は注意が必要です。

カカオ・ココア:代謝促進や食欲抑制

・カカオ成分「テオブロミン」に血管拡張・利尿・中枢刺激作用
・血流改善→代謝アップやセロトニン作用→食欲抑制が期待される
・チョコレート摂取での過剰カロリーには注意

ココアに含まれる「テオブロミン」は、血管拡張、利尿作用、中枢刺激などの効果をもつ成分で、基礎代謝を高めることが期待されています。さらに、脳内のセロトニンに働きかけ、リラックス効果や食欲抑制作用も報告されています。

カカオ由来という点で自然なイメージがありますが、摂取しすぎるとチョコレートなどによる過剰カロリー摂取につながる可能性もあるため、量には注意しましょう。

緑茶カテキン・ギムネマ:糖や脂質の吸収抑制

・緑茶カテキン:糖吸収抑制作用(α-グルコシダーゼ阻害様作用)
・茶カテキンには脂質分解酵素(リパーゼ)阻害作用もあり
・ギムネマ:糖の吸収を抑制し、トクホやサプリでも活用される
・糖尿病治療薬と併用する場合は注意

緑茶に含まれるカテキンには、糖の吸収を抑える働きがあるとされ、いわゆるα-グルコシダーゼ阻害様の作用があります。また、カテキンには脂質の吸収を抑えるリパーゼ阻害作用も報告されており、トクホ飲料としても多く利用されています。

一方、インドの伝統医療で使われてきたギムネマは、糖の吸収を抑える効果があるとされ、特に糖質制限を意識している人に人気があります。ただし、糖尿病治療薬を使っている方は、血糖値の過度な低下を避けるため医師との相談が必要です。

「脂肪の消費を助ける」として知られるヘルシアは、茶カテキンが主成分。一方、特茶は「ケルセチン配糖体」という成分を含み、代謝や抗酸化力への効果が期待されています。

ケルセチンはタマネギなどに含まれるポリフェノールで、心血管疾患の予防に役立つ可能性が示されていますが、吸収性に課題があり、特茶では吸収を高める工夫がなされています。

単品ダイエット:トマトやバナナ

・一時的な体重減少はあり得るが、栄養バランスや代謝低下に注意
・朝バナナ、夜トマトなど流行に飛びつくのではなく、全体の食事を見直すことが重要

かつて話題となった「朝バナナダイエット」や「トマトダイエット」など、単一の食品に頼った減量法は一時的な体重減少があっても、栄養バランスの乱れや筋肉量の減少による基礎代謝の低下を招き、結果的にはリバウンドしやすい身体になってしまうことがあります。

食事全体のバランスを見直すことこそが、長期的には成功への近道です。

α-グルコシダーゼ阻害様成分(糖の吸収を抑制)

・ギムネマ、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、L-アラビノースなど
・「血糖値が気になる方へ」と表示されているトクホ製品に多い
・糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑える目的
・ただし“食べたカロリーがゼロになる”わけではない

市販されている一部のサプリメントには、医療用薬に近い作用をもつ成分も含まれています。たとえば、糖の吸収を抑えるα-グルコシダーゼ阻害様成分(ギムネマ、難消化性デキストリンなど)は、特定保健用食品として「血糖値が気になる方へ」と表示されている製品に多く使われています。

これらは糖の吸収を緩やかにすることで、血糖値の急上昇を防ぐのが目的であり、カロリーそのものをゼロにするわけではない点に注意が必要です。

漢方薬:防風通聖散・防已黄耆湯・大柴胡湯

ダイエット目的で使われる漢方薬には、以下のような種類があります。

・防風通聖散:皮下脂肪型の肥満に適し、便秘がちで代謝が落ちているタイプに。市販薬コッコアポ、ナイシトールなどに含まれる
・防已黄耆湯:水太りタイプに向き、むくみや疲労感が強い人に。ビスラットゴールドLに使用
・大柴胡湯:便秘や上腹部の膨満感がある人に。脂質代謝の促進目的

メーカーによって男性向け(内臓脂肪)・女性向け(皮下脂肪)に提案分けされている。

これらは体質や症状に応じて使い分ける必要があり、「やせ薬」というよりも体質改善薬としての側面が強いと言えるでしょう。

過信せず、生活習慣の見直しが基本

ダイエット食品やサプリメントの多くは、「補助的な存在」にすぎません。劇的な効果を期待するのではなく、生活習慣(食事・運動・睡眠など)を見直す中で、必要に応じて取り入れるスタンスが大切です。

また、医薬品に近い作用を持つ成分や、他の薬と相互作用のあるものも含まれるため、既に病気の治療中の方や高齢者の場合は、自己判断ではなく専門家への相談が推奨されます。

「○○だけでやせる」という過剰な宣伝に流されず、エビデンスに基づいた正しい知識を身につけ、自分の体質と生活に合ったダイエット方法を選ぶようにしましょう。

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