2024年11月4日更新.2,470記事.

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心不全に禁忌の薬一覧

心不全に禁忌の薬

心不全に禁忌とされている薬は多いが、その記載表現は様々である。

心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。

高齢になれば、あらゆる臓器の機能は落ちていき、心臓も例外ではない。
つまり高齢者は多少なりとも心不全に近い状態であるといえる。

なので、保険請求上は、診断名に心不全とつけられているかどうかが気になるところであるが、心不全にしか適応のないアカルディやノイキノンが処方されている患者に「心不全に禁忌」とされている薬が処方されていた場合は、言い逃れできず、疑義照会が必要である。

心不全に禁忌の薬一覧

医薬品名禁忌
MSコンチン慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
アクトス心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある。]
アスペノン重篤なうっ血性心不全の患者[心筋収縮力低下により,心不全を悪化させるおそれがある.]
アセタノールうっ血性心不全の患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
アドビオールうっ血性心不全の患者〔心筋収縮力抑制作用のため,症状を悪化させるおそれがある.〕
アプレゾリン高度の頻脈及び高心拍出性心不全(甲状腺中毒症等)のある患者〔本剤の反射性交感神経亢進作用及び血管拡張作用により、症状を悪化させるおそれがある。〕
アミサリン重篤なうっ血性心不全のある患者[不整脈(心室頻拍、心室細動等)が発現又は増悪するおそれが極めて高い。]
アンヒバ坐剤小児用重篤な心機能不全のある患者〔循環系のバランスが損なわれ,心不全が増悪するおそれがある.〕
アンペック坐剤慢性肺疾患に続発する心不全の患者〔呼吸抑制や循環不全を増強する。〕
アーチスト強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者[心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。]
イニシンク心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
インデラルうっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
インプロメン重症の心不全の患者〔心筋に対する障害作用や血圧降下のおそれがある.〕
エクメット心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者〔嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。〕
エンシュア・H悪心,嘔吐,下痢を合併している心不全患者〔病態が悪化するおそれがある〕
エンブレル皮下注うっ血性心不全の患者
オキシコンチンTR錠慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
オキノーム散慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
オプソ内服液慢性肺疾患に続発する心不全の患者〔呼吸抑制や循環不全を増強する。〕
カディアンカプセル慢性肺疾患に続発する心不全の患者〔呼吸抑制や循環不全を増強する。〕
カフコデN配合錠重篤な心機能不全のある患者[循環系のバランスが損なわれ、心不全が悪化するおそれがある。]
カルバンうっ血性心不全のある患者[本剤の心機能抑制作用が症状を悪化させるおそれがある。]
カロナール重篤な心機能不全のある患者[循環系のバランスが損なわれ,心不全が増悪するおそれがある。]
ケルロングうっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
コペガスコントロールの困難な心疾患(心筋梗塞、心不全、不整脈等)のある患者[貧血により心疾患が悪化することがある。]
コララン不安定又は急性心不全患者[病態が悪化するおそれがある。]
サンリズムうっ血性心不全のある患者[不整脈(心室頻拍、心室細動等)の誘発又は増悪、陰性変力作用による心不全の悪化を来すおそれが高い。]
ザルティア心不全(NYHA分類III度以上)のある患者
シベノールうっ血性心不全のある患者[心機能抑制作用及び催不整脈作用により、心不全を悪化させるおそれがある。また、循環不全により肝・腎障害があらわれるおそれがある。
シムジア皮下注うっ血性心不全の患者
シムボニー皮下注うっ血性心不全の患者
ジベトスショック,心不全,心筋梗塞,肺塞栓など心血管系,肺機能に高度の障害のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態
セレクトールうっ血性心不全、肺高血圧による右心不全のある患者[心拍出量の減少により、これらの症状を悪化させることがある。]
セレネース重症の心不全患者〔心筋に対する障害作用や血圧降下が報告されている。〕
セロケン心原性ショック、肺高血圧による右心不全、うっ血性心不全の患者[心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
ソタコール重度のうっ血性心不全の患者[心収縮力低下により,心不全を悪化させるおそれがあり,また,催不整脈作用により持続性心室頻拍,心室細動を起こしやすい。]
ソニアス心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[ピオグリタゾンでは、動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある。]
タンボコールうっ血性心不全のある患者〔本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。〕
チモプトール点眼液ントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック (II、III度)、心原性ショックのある患者〔β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、これらの症状を増悪させるおそれがある。〕
テノーミンうっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
トラムセット重篤な心機能不全のある患者[循環系のバランスが損なわれ、心不全が増悪するおそれがある。]
トランデートうっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある]
トロペロン重症の心不全患者〔一過性の血圧低下,頻脈等があらわれるおそれがある.〕
ナディックうっ血性心不全のある患者〔心収縮力抑制作用により、症状の悪化をきたすおそれがある。〕
ナルサス慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
ナルラピド慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
ハイパジールうっ血性心不全のある患者〔心筋収縮力を抑制して症状を悪化させるおそれがある。〕
ヒスロンH心臓弁膜症、心房細動、心内膜炎、重篤な心不全等の心疾患のある患者
ヒュミラ皮下注うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある.]
ビジクリア配合錠うっ血性心不全又は不安定狭心症の患者[心不全症状や狭心症状を悪化させるおそれがある。]
ビソノテープ強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者[心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。]
プレタールうっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
プロゲストン心臓弁膜症、心房細動、心内膜炎、重篤な心不全等の心疾患のある患者
プロスタンディン軟膏重篤な心不全のある患者〔心不全を増強させるおそれがある。〕
プロノンうっ血性心不全のある患者[本剤は心機能抑制作用があるため、心不全を悪化させる可能性がある。]
プロピタン重症の心不全患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕
ヘルベッサー重篤なうっ血性心不全の患者〔心不全症状を悪化させるおそれがある。〕
ベトプティック点眼液コントロール不十分な心不全のある患者[症状を増悪させるおそれがある。]
ベプリコールうっ血性心不全のある患者[心不全を悪化させるおそれがある。]
ミケランうっ血性心不全のある患者[心収縮力抑制作用により、症状が悪化するおそれがある。]
ミニリンメルト心不全又はその既往歴あるいはその疑いがある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。また、心不全が増悪又は発現するおそれがある。]
メインテート強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者〔心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。〕
メタクト心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[ピオグリタゾンでは、動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある。]
メトアナ心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
メトグルコ心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
リオベル心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[ピオグリタゾンでは、動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある。]
リスモダンうっ血性心不全のある患者[心収縮力低下により、心不全を悪化させるおそれがある。また、催不整脈作用により心室頻拍、心室細動を起こしやすい。]
レベトールコントロールの困難な心疾患(心筋梗塞、心不全、不整脈等)のある患者[貧血が原因で心疾患が悪化することがある。]
ロプレソール心原性ショック、肺高血圧による右心不全、うっ血性心不全の患者〔心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。〕
ローガンうっ血性心不全のある患者[心臓のポンプ機能が低下するおそれがある。]
ワソラン重篤なうっ血性心不全のある患者〔本剤は陰性変力作用を有し,心不全症状を更に悪化させることがある.〕

「重篤な…」とか「肺疾患に続発する…」といった表現で記載されている場合は、医師の判断により処方されることはあるだろう。

ピオグリタゾン(アクトス)、ピオグリタゾン含有製剤(ソニアス、メタクト、リオベル)の「心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者」は心不全全般でダメ。

β遮断薬のアセタノール、アドビオール、インデラル、カルバン、ケルロング、セレクトール、テノーミン、トランデート、ナディック、ハイパジール、ミケラン、ローガンでは、「うっ血性心不全の患者」ですが、心不全もうっ血性心不全も同じなので心不全全般ダメ。

β遮断薬アーチスト、ビソノテープ、メインテートの「強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者」という記載は強心薬を飲んでたらダメ。

生物学的製剤のエンブレル皮下注、シムジア皮下注、シンボニー皮下注、ヒュミラ皮下注も「うっ血性心不全の患者」なので心不全全般ダメ。

抗不整脈薬のサンリズム、シベノール、タンボコール、プロノン、ベプリコール、リスモダンも「うっ血性心不全の患者」なので心不全全般ダメ。

その他、ビジクリア配合錠、プレタール、ミニリンメルトも「うっ血性心不全の患者」なので、心不全全般ダメ。

NYHA分類

特徴的なのがザルティアの「心不全(NYHA分類III度以上)のある患者」という表現です。
NYHAとはニューヨーク心臓協会(New York Heart Association; NYHA)のことで、そこで分類している心機能の分類法である。

NYHA I度:心疾患があるが症状はなく、通常の日常生活は制限されないもの。
NYHA II度 :心疾患患者で日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。安静時には無症状だが、普通の行動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。
NYHA III度:心疾患患者で日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、 平地の歩行や日常生活以下の労作によっても症状が生じる。
NYHA IV度:心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生ずる。安静時においても心不全・狭心症症状を生ずることもある。

この分類は自覚症状によって分類するので、検査をするわけではありません。
簡易的な表現をすると、Ⅰ度は「無症状」、Ⅱ度は「坂道で息切れ」、Ⅲ度は「平地で息切れ」、Ⅳ度は「安静時も息切れ」、となります。

心不全という診断名が付いているかどうかを推測するのは難しいですが、アカルディやノイキノンが処方されていた場合は、併用薬に注意しましょう。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
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著書:薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
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