2025年6月30日更新.2,506記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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1日何回トイレに行く?

頻尿の定義

薬剤師

どのくらいの頻度でトイレに行ったら過活動膀胱?

頻尿とか乏尿、多尿、残尿などなど、排尿に関する用語が様々あり、感覚的に使っていますが、その定義を詳しく知らない。

自分基準で考えると、あまりトイレに行くほうではないので、1日に2~3回ということもしばしばある。

出勤して1時間くらいで「トイレ行ってきます」という同僚を見ると「イラッ」とするが、女性の場合は色んな事情もあるので目をつぶる。

脱線したが、正常な排尿の目安として、以下のような記載があった。
1回の排尿量:200~400mL
1回の排尿時間:20~30秒
1日の排尿量:1,000~1,500mL
1日の排尿回数:5~7回
排尿間隔:3~5時間に1回(起きている間)

頻尿の定義として、「朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上」と言われている。
多尿とは尿量が3L/日を超える場合のこと。

これらの一般的な数値を覚えて、患者さんに排尿回数などの聞き取りをする。

排尿障害をもつ患者さんが、病院で受けてくる検査として、「残尿測定」がある。
排尿後、下腹部からの超音波検査ないしカテーテルを用いて、残尿を測定する。

「残尿が100㏄あると言われた」と聞いても、何も知らないとリアクションが取れない。

50mL未満の残尿は問題にならないと考えてよい。
残尿が50〜100mLの場合は軽度、100mL以上なら中等度以上の尿排出障害があると考えられる。

残尿測定の前に排尿した量により、残尿量は影響を受ける。
一般に、150mL以上の排尿量が残尿測定直前には必要であるとされている。
残尿がある場合には、複数回、残尿測定を行う必要がある。

排尿や排便などの問題はデリケートな問題なので、異性の患者には聞き取りにくかったりするが、話してくれた際にはしっかり対応できるように準備しておく。

過活動膀胱

畜尿症状排尿症状排尿後症状
昼間頻尿
夜間頻用
尿意切迫感
尿失禁
膀胱知覚
尿勢低下
尿線分裂、尿線散乱
尿線途絶
排尿遅延
腹圧排尿
終末尿滴下
残尿感
排尿後尿滴下
部位支配神経受容体機能
膀胱体部排尿筋(平滑筋)骨盤神経(副交感神経)ムスカリン性アセチルコリン受容体(M2、M3)収縮
下腹神経(交感神経)β3受容体弛緩
内尿道括約筋(平滑筋)、前立腺下腹神経(交感神経)α1A受容体収縮
外尿道括約筋(横紋筋)陰部神経(体性神経)ニコチン性アセチルコリン受容体収縮

過活動膀胱は尿意切迫感(急に排尿したくなり、これ以上我慢すると漏らしてしまいそうになること)を有し、通常これに頻尿(1日8回以上排尿すること)および夜間頻尿(睡眠時間中に1回以上排尿に起きること)を伴い、切迫性尿失禁(排尿したくなってすぐに我慢できずに失禁してしまうこと)を伴うこともあれば伴わないこともある状態と言われています。

日本排尿機能学会が行った40歳以上の約4600人を対象とした排尿症状の疫学調査によると、尿意切迫感が週1回以上、かつ、排尿回数が1日8回以上の条件をみたすものを過活動膀胱とすると、40歳以上の日本人における過活動膀胱患者は810万人と推定されている。

過活動膀胱がある人の医療機関への受診率は22.7%にとどまり、性別では男性36.4%、女性7.7%である。

過活動膀胱は尿意切迫感と頻尿とから定義される症状症候群である。

膀胱内圧測定を行えば、60〜70%の例で不随意性膀胱収縮の存在する排尿筋過活動であるといわれている。

下部尿路症状とは、尿をためる、出す、に関係する症状を広く意味する用語で、主に「蓄尿症状」、「排尿症状」、「排尿後症状」の3つに分けられます。

蓄尿症状とは、頻尿(尿の回数が多い)、夜間頻尿や、急に抑えきれないような強い尿意を感じる尿意切迫感、不随意に尿が漏れる尿失禁などを含みます。
排尿症状とは、尿勢の低下(尿の勢いが弱い)、尿線の途絶(排尿が1回以上途切れる)、排尿遅延(排尿準備ができてから開始までに時間のかかる)などを含みます。
排尿後症状とは残尿感(排尿後に完全に膀胱が空になっていない感じがする)、排尿後尿滴下(排尿直後に不随意的に尿が出てきてしまう)を含みます。

下部尿路症状をおこす疾患で代表的なものに前立腺肥大症、過活動膀胱、脳血管障害や末梢神経障害などの神経の病気、尿道狭窄症などがあります。

膀胱機能の神経支配

トイレに何回起きたら頻尿?頻尿の定義

最近トイレが近い。夜中に1回はトイレに起きる。
しかし、病的とは思わない。年のせい。

患者からは夜中に6回以上起きるという話も聞く。「それは大変ですね」と思い、そう答える。ただ「夜中に2回はトイレに起きる」という話を聞いても、自分も1回は起きてるから、「2回程度で薬を飲まなきゃいけないのか」と思いつつ「それは大変ですね」と答える。

過活動膀胱の定義は、「尿意切迫感を必須症状とした症状症候群で、通常は頻尿と夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁は必須ではない」とされている。

各症状の定義は以下のようになっている。

尿意切迫感:「突然起こる、我慢できないような強い尿意であり、通常の尿意との相違の説明が困難なもの」
頻尿:「排尿回数が多すぎるという患者さんの訴え」
夜間頻尿:「夜間就寝中に排尿のために少なくとも1回は睡眠が中断される」
切迫性尿失禁:「尿意切迫感と同時またはその直後に、尿が漏れる」

夜中に1回トイレに起きる私は夜間頻尿の定義に当てはまる。しかし、実際の臨床では2回以上起きる人を病的として扱っているようだ。

頻尿についても1日の回数の定義は特に定められてはいないが、一般的に1日8回以上を頻尿というらしい。自分は1日3~4回程度だと思うので、頻尿ではない。

朝出社してすぐにトイレに行くおじいちゃん薬剤師がいたが、1日8回くらいは行ってそうだった。

異性の患者に対して1日のトイレ回数を聞くのは難しいが、薬の効果を確認するためにも聞いておきたい。

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