2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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HbA1c6%未満を目指すべきか?

血糖値は下げ過ぎない

現在の糖尿病治療は、いかに低血糖を防ぎつつ、良好な血糖コントロールを維持するかがポイントになります。特に高齢者の低血糖は命に関わることもあり、下げ過ぎないことが重要です。

2016年に日本糖尿病学会と日本老年医学会が合同で「高齢者糖尿病診療ガイドライン」を作成し、65歳以上の高齢者の血糖コントロール目標が発表されました。
インスリン製剤やスルホニル尿素(SU)薬など、重症低血糖を来しやすい薬剤を使用している場合は、目標値より1.0%低い「下限値」が設定されています。

65歳以上の糖尿病患者の血糖コントロール目標(HbA1c値)

患者の特徴・健康状態カテゴリーⅠカテゴリーⅡカテゴリーⅢ
①認知機能正常
かつ
②ADL自立
①軽度認知障害~軽度認知症
または
②手段的ADL低下、基本的ADL自立
①中等度以上の認知症
または
②基本的ADL低下
または
③多くの併存疾患や機能障害
重症低血糖が危惧される薬剤(インスリン製剤、SU薬、グリニド薬など)の使用なし7.0%未満7.0%未満8.0%未満
あり65歳以上75歳未満

7.5%未満(下限6.5%)
75歳以上

8.0%未満(下限7.0%)
8.0%未満(下限7.0%)8.5%未満(下限7.5%)

成人(妊娠例を除く)の糖尿病の血糖コントロール目標

目標血糖正常化を目指す際の目標合併症予防のための目標治療強化が困難な際の目標
HbA1c6.0%未満7.0%未満8.0%未満

患者の健康状態が比較的良好なカテゴリーⅠでもインスリンやSU剤を併用していたら、目標HbA1cは8.0未満なので高めの数値である。

一律にHbA1cが7%後半だから「高いですね」と患者に指摘するのは、「もっと下げなきゃ」と患者に思わせ、重症低血糖のリスクを上げてしまうので、安易に「高い」「低い」という評価を伝えるのは控えなければならない。

ヘモグロビンA1cから平均血糖値を知る方法

推定平均血糖値(mg/dl)=28.7×HbA1c(%)-46.7
という式があるそうだ。
これによりHbA1cからおおよその血糖値を求めることができる。

例えばHbA1c7%をこの式に当てはめると154.2mg/dLになる。
HbA1c6%をこの式に当てはめると125.5mg/dLになる。
つまり、血糖値35~40㎎/dLの上昇がHbA1c約1%に相当するという。

食後と空腹値血糖値の差は大きいので、平均の血糖値がわかってもピンときませんが。

HbA1c(NGSP)(%)は患者の平均血糖値を示す指標なので、医師から「良」を目指せと言われているはずです。この「良」というのはHbA1c 6.2~6.9%ですから、そう簡単には達成できません。なぜなら、HbA1c 6.2~6.9%というのは空腹時血糖値を110~130mg/dl、食後2時間血糖値140~180mg/dlの範囲内に収めないと、まず実現できない数値だからです。

HbA1cから自分の平均血糖値を知る方法 [糖尿病] All About

HbA1c7%を切るというのはなかなか難しいようです。
血糖管理目標として、血糖正常化を目指す数値が「6.0%未満」となっていますが、これを目指すように指導すると低血糖でぶっ倒れそう。
合併症予防の「7.0%未満」が達成できていれば、それ以上鞭打つ必要は無いのでは。

HbA1c値6.0%を目指して厳しく血糖をコントロールした群は、目標値7.0~7.9%と緩めにコントロールした群に比べて死亡率が22%増加したという。

健常人の血糖値

健常者(正常型)の空腹時血糖値は日本では110 mg/dl 未満と定められ、100〜109 mg/dlは正常高値とされる。
一方食後血糖値については、一般的に140mg/dlを超えることは少なく、食後2〜3時間で前値に戻ることが示されている。
75gOGTTにおいても、負荷後2時間値140mg/dl未満が、日本での正常型の基準である。

HbA1c

HbA1cとは、ヘモグロビン(Hb)にグルコースが結合した糖化ヘモグロビン(グリコヘモグロビン)のことである。
長期間(約2か月)の平均血糖値を反映する検査である。
HbA1cの値と糖尿病合併症頻度はよく相関し、HbA1c7.0以上では、細小血管障害の頻度が増加する。

糖尿病の検査で、血糖値のほかに「Hb(ヘモグロビン)A1C」という検査値も調べます。

HbA1Cはブドウ糖が非酵素的に結合したもので、その含有量は血糖値に比例し、正常では総ヘモグロビンの6%以下を占めますが、高血糖が持続するとその割合が増加します。
赤血球の寿命が約120日であることから、HbA1Cは少なくとも過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映し、糖尿病の経過を評価するよい指標になります。

ヘモグロビンA1c(HbA1c:糖化ヘモグロビン)は、赤血球中の主要蛋白質であるヘモグロビンのβ鎖のN末端アミノ酸であるバリンに、グルコースがシッフ塩基結合したものです。
この結合は初期段階は可逆的ですが、高血糖状態が持続するとアマドリ転位反応を経て安定な糖化ヘモグロビン(HbA1c)となります。
したがって、HbA1cの量(割合)は、平均血糖値を反映したものとなります。
ヒト赤血球の平均寿命は120日ですが、経験的に、おおむね過去1~2カ月の血糖レベルを知ることができます。

HbA1cはあくまで血糖値の平均を反映したものであり、HbA1cが正常であっても高血糖と低血糖と繰り返している例があるため、注意が必要である。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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