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重曹で腎臓病予防?
公開. 更新. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約3分9秒で読めます.
13,443 ビュー. カテゴリ:重曹とアシドーシス
重曹が腎臓病の進行を防ぐという話があります。
腎機能の低下している患者に、炭酸水素ナトリウムが処方されることがあります。
慢性腎不全の薬物療法には降圧薬、利尿薬から漢方薬に至るまで多々ありますが、「アシドーシスによる腎機能の低下を防ぐためにアルカリ化薬として重炭酸ナトリウムを1日1~3g服用する」ということは、日本でも古くから言われてきました。
重曹は炭酸水素ナトリウムで、ナトリウムが入っているので、血圧上げて、腎機能に悪影響を及ぼすのではないかとも思われます。炭酸水素ナトリウム3.0~5.0g=食塩2.1~3.5gなので、結構塩分摂取しているのと同じになる。
しかし、炭酸水素ナトリウム中のNaは塩化ナトリウムと異なり、血圧にはさほど影響しないと考えられています。しかし処方されている患者については、血圧の上昇に注意は必要です。
尿酸値が高ければ、重曹は尿アルカリ化薬としても、腎臓を守ることができます。
人間の体は弱アルカリ(pH7.4)に保たれています。腎臓の働きが落ちてくると、アルカリ性を保持する重炭酸の濃度が低下します。このため身体が酸性に傾きます。医学的に言うと、アシドーシスという状態になります。アシドーシスになると、骨がもろくなったり、栄養状態が悪くなったり、様々な悪影響を及ぼします。またアシド-シスが腎機能を低下させるとの報告もあります。これを防ぐためにアルカリ化剤として重炭酸ナトリウム(重曹)を1日1-3g服用します。
腎臓病の治療:慢性腎不全の薬物療法:大阪府立急性期総合医療センター腎臓高血圧内科
腎機能の低下を防ぐ薬というのは、高血圧や糖尿病など基礎疾患があればそれに対する薬がありますが、直接的に低下を防ぐ目的で処方するとしたら、重曹というのは良いのかも知れない。
しかしこのような安くて良い薬が処方のメインになることは難しいので、この方法が普及することはあまり考えられないかなあ。
自分でやるしかないな。
でも、重曹が入っているからといって市販の胃薬、太田胃散などを使うことは止めましょう。
アルミニウムが入っていると、腎機能の低下により排泄されにくくなるので、注意が必要です。
重曹とクエン酸どっちが効く?
重曹とクエン酸ではどっちが効くのだろう?
と、お風呂掃除のときに考えていた。
そういえば、痛風の予防に、炭酸水素ナトリウム(重曹)もクエン酸(ウラリット)も使われる。
炭酸水素ナトリウムはアルカリ性、クエン酸は酸性、性質の異なるものなのに、どちらも酸性尿、アシドーシス、お風呂掃除に使われる不思議。
アシドーシスの改善を効能効果として有する経口アルカリ化薬には、重曹とクエン酸塩製剤(クエン酸Na/クエン酸K配合剤など)がありますが、どちらを選択すべきか明確な基準はありません。透析導入直前になると血清K値は当然気になります。K負荷による高K血症への影響が懸念されるCKD患者には重曹を、GFRの低下が比較的軽度でむしろ低K血症を示すことが多い尿細管性アシドーシスの患者には、飲みやすさも考慮してクエン酸塩製剤を中心に用います。
K摂取と血清K値の関係や、Na摂取と血圧の関係も今後の研究が必要な課題です。野菜やフルーツの摂取は重曹と同程度の代謝性アシドーシス改善効果を示し、血清K値にも変化がないとの研究報告があります。塩化Kと異なり、野菜やフルーツに含まれるクエン酸Kは腎臓からのK排泄を促進するためと考えられています。重曹の服用は、Na負荷による血圧上昇が気になるところですが、塩化Na(食塩)と異なり、血圧にはさほど影響しないと考えられています。
アシドーシスと炭酸水素ナトリウム
アシドーシスとは血液の酸性度が高くなり過ぎた状態です。体内のエネルギー産生に必要な蛋白質、糖質、脂質などは代謝されると酸を作り出します。揮発性の酸(二酸化炭素)、不揮発性の酸(硫酸、リン酸、クエン酸、乳酸などからの水素イオン)が生成され、揮発性酸は肺から、不揮発性酸は腎臓から排出され、体液のpHを7.4程度に調節しています。腎障害が進行すると酸塩基平衡が調節できなくなるため、蛋白質、糖質、脂質代謝で生成される不揮発性酸が増え、代謝性アシドーシスとなります。
治療は血液中の重炭酸イオンを増やし、酸塩基平衡を是正する目的で炭酸水素ナトリウム(重曹:NaHCO₃)が投与されます。通常は1.5~3g程度を3回に分けて服用します。
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