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眼底出血にカルナクリン?
公開. 更新. 投稿者:眼科.この記事は約3分43秒で読めます.
13,968 ビュー. カテゴリ:血栓が原因の出血
眼底出血を起こしている患者に、カルナクリンが処方される。
出血している患者に血流よくする薬を使ったら、出血が増悪するんじゃないかと心配されます。
網膜静脈閉塞症が原因の出血であれば、血流のうっ滞が原因なので、血流をよくすることで出血が治まる。
網膜静脈閉塞症は、文字通り、網膜の静脈が閉塞する疾患であり、糖尿病網膜症と並んで、眼底出血の代表的な原因疾患である。
出血部位に相当した視野欠損が出現する。
高血圧や動脈硬化がその原因になる場合が多く、50歳以上の中高年者に発症頻度が高い。
網膜静脈閉塞症は、閉塞が起きた部位により、網膜静脈分枝閉塞症と網膜中心静脈閉塞症に分類される。
網膜静脈閉塞症と抗血栓薬
網膜静脈分枝閉塞症は、動脈との交差部位に静脈閉塞が起きた病態である。
網膜は非常に薄い組織なので、動脈と静脈の交差部位はそれぞれの血管壁の外膜を共有しており、網膜の動脈硬化により血管壁の肥厚が生じると、静脈側にも狭窄が生じ、静脈血がうっ滞する。
その結果、眼底出血や網膜浮腫が起き、視野の欠損が生じる。
網膜中心静脈閉塞症は、血圧の急激な変動や血管の炎症により、網膜中心静脈の根元の部位に閉塞が起きた病態である。
出血が眼底全体に広がり、視野欠損が広範囲になることが多い。
どちらのタイプの網膜静脈閉塞症でも、出血を放置すると、血管壁が脆弱な新生血管が網膜内に発生し、これにより増殖網膜症や硝子体出血が起きて視力障害がさらに進行する。
その予防・治療のため、網膜静脈閉塞症ではレーザ光凝固術が行われる。
一方、網膜静脈閉塞症に対する薬物療法では、カリジノゲナーゼ(カルナクリン)、シロスタゾール(プレタール)、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム(アドナ)などが使用される。
アドナとプレタールの併用
アドナは、血小板数やプロトロンビン時間などには影響を与えず、毛細血管壁を強化し、透過性を低下することで、止血効果をあらわす。
血液凝固能に影響を与えないため、血栓を原因とする出血に対して処方されることが多く、網膜静脈閉塞症による眼底出血の治療にもしばしば使用される。
参考書籍:日経DI2001.12
止血剤
出血性素因の要因としては、①血管壁のぜい弱性、②血小板数の低下・機能異常、③血液凝固因子の欠乏などによる凝固異常、④線溶系の亢進、⑤抗凝固因子の存在があげられる。
長期抗菌薬投与後にAPTT、PTの延長がみられる場合は、ビタミン欠乏症が考えられる。
APTT、PT著明延長例で、緊急観血的処置を施行せざるを得なかったり、DICなど消費性凝固障害の場合は、新鮮凍結血漿などを補充する。
止血剤の作用としては、①血管の強化、②凝固促進、③一次線溶作用の抑制(抗プラスミン作用)、④その他、がある。
【抗プラスミン剤】
一次線溶亢進による出血傾向に有用である。
トラネキサム酸などの抗プラスミン剤は、前骨髄性白血病、前立腺癌、解離性大動脈瘤などの過剰線溶(血漿α2PI50%未満)による出血を軽減するためには有効。
抗凝固剤とともに使用(例:トランサミン1~2g/日 1日2回静注)。
敗血症性DICなどの場合には血栓溶解を阻害するため禁忌。
血管強化薬
アドレノクロム、ビタミンCなどがある。
DICの場合も使用可能。
血小板機能賦活作用を有するものもある。
血管強化薬のうちには、血小板機能賦活などほかの作用点をもっているものもあるが、一般的にその作用点は明らかでないものが多い。
また効果も特に強いものではなく、有効性の不確実なものもある。
アドレノクロムとその誘導体は有効性が認められ、しかも副作用が少ないもので、各種紫斑病や各種出血に、単独もしくは併用でしばしば使われている。
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