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ニトロダームTTSは1日中貼っていなくてもいい?
公開. 更新. 投稿者:狭心症/心筋梗塞.この記事は約4分41秒で読めます.
7,738 ビュー. カテゴリ:硝酸薬の耐性
硝酸薬を続けて使っていると耐性が生じ、数日で効果が減弱します。
しかも、効果が減弱するだけでなく、血管内皮機能の低下により心筋梗塞の予後を悪化させるとも言われています。
そのため、ニトロダームTTSのような長時間作用型の貼付剤では、
ニトロダームTTS25mg 28枚
1日1回 1回1枚 朝8時貼付 夕8時剥離
のように、発作の起こる時間帯を中心に半日だけ貼って、半日はがすことで、硝酸剤の血中濃度が上がらない時間を作って耐性形成を防ぐという方法が行われることがあります。
ニトロダームTTSのインタビューフォームには、
「耐性の予防方法については、国外で間欠投与法(1日のうちのある一定時間、製剤を剥離して休薬時間を設ける方法)の有用性が報告されており、国内でも2時間の休薬時間をおいた間欠投与法で、耐性発現を予防できたとの報告がある。しかし、間欠投与法の有効性、安全性は現在のところ十分に確認されていない。また、その他の耐性予防法としてACE 阻害剤やシスティンとの併用等の報告もあるが、耐性発現のメカニズムを含めて、現時点では一定の見解には達していない。」
という記載があります。
フランドルテープは昼貼って夜剥がす?
ニトロダームTTSなどの硝酸薬貼付剤をMRI検査のときは貼らずに検査しますが、そのときに発作が起きやしないかと心配する患者さんもいる。
そんな心配性な患者さんには、ずっと貼り続けていることで起こり得る耐性の問題についても話してあげよう。
硝酸薬には薬剤耐性があるといわれ、1日の中で8~12時間の休薬時間を設定することで硝酸薬の効果を持続することができるとの考え方もあります。しかし、狭心症(虚血性心疾患)の病態はさまざまであり、一律に昼貼って夜剥がすのが良いわけではありません。
特に日本人に多いと言われる冠攣縮性狭心症では、夜間から朝方にかけて狭心症発作が起きやすいとされていますし、不安定狭心症では一定のパターンで狭心症発作が起こるとは限りません。患者さまそれぞれの病態にあった投与が必要です。硝酸薬テープは決して患者さまの判断で貼付スケジュールを変更せず、主治医の先生のご指示に従って下さい。 フランドルテープQ&A 参考 医療関係者向け情報 トーアエイヨー
意図せず貼り忘れる方はいますが、むしろそのほうが良いという可能性もある。
ちなみにフランドルテープはMRI検査時にも剥がさずに検査できます。
硝酸剤を連用してはいけない?
持続性硝酸剤の長期投与は、耐性の問題があるため、漫然と継続することは避けます。
日中の労作時に胸痛が起こる労作性狭心症では日中のみに内服し、夜間から早朝にかけて胸痛が起こる冠攣縮性狭心症では寝る前に内服します。
1日に最低10時間の休薬期間を設けることで、硝酸剤の耐性は防止可能といわれています。
狭心症と硝酸薬
狭心症の薬物療法では、胸痛発作を寛解するためのニトログリセリンなどの舌下錠やスプレー剤と、発作を予防するための硝酸薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬が主に用いられる。
中でも硝酸薬は、冠動脈の狭窄と冠スパスムのいずれにも有効なため、狭心症治療に広く用いられる。
硝酸薬は血管平滑筋細胞において、cGMP(環状グアノシン一リン酸)を増加させ、細胞内カルシウム濃度を低下させることで、強い血管拡張作用を発現する。
また硝酸薬は、冠動脈だけでなく、末梢静脈を拡張させて心筋の酸素需要量を減少させるといった効果も有している。
硝酸薬の耐性
持続時間の長い徐放錠や貼付剤が漫然と使用されるようになったことで、硝酸薬による上記の作用が減弱してしまう「硝酸薬耐性」が問題となっている。
耐性の発生は個人差が大きく、その頻度は明らかになっていないが、血中濃度を高く保ち続けた場合に起きやすいといわれている。
硝酸薬耐性が起きるメカニズムの詳細は不明であるが、耐性には2種類あると考えられている。
1つは、「偽耐性」と呼ばれるもので、硝酸薬によってレニン・アンジオテンシン系やバソプレシンなどの神経体液性因子が活性化され、そのために血管の収縮や体液量の増加が起こり、耐性が生じるというもの。
もう一つは血管平滑筋におけるcGMPの産生が障害されて硝酸薬の効果が減弱する「血管耐性」である。
耐性の回避方法は?
この硝酸剤耐性の発現を回避するために、薬剤の併用が行われることがある。
用いられる薬剤は、ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などである。
ACE阻害薬は、亢進したレニン・アンジオテンシン系を阻害して耐性を回避する。
ACE阻害薬などの併用による硝酸薬の耐性回避はある程度は有効であることが分かっているが長期にわたる効果は確認されてもない。
むしろ、確実な耐性回避の方法として知られているのは硝酸薬の間歇投与療法である。
同療法では1日に休薬期間を8時間以上置いたり、非対称的に投与(朝8時と午後3時など)することで血中濃度の谷間を作り、耐性を回避する。
休薬期間の心筋虚血が懸念される場合は、その間、硝酸薬以外の薬剤が使用されることもある。
参考書籍:日経DIクイズ
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