記事
コンタクトレンズ再装用までの時間
公開. 更新. 投稿者:眼/目薬/メガネ.この記事は約8分14秒で読めます.
11,640 ビュー. カテゴリ:目次
コンタクトレンズを外して点眼後再装着までの時間は?
コンタクトレンズを使用している患者さんに目薬が処方されたときに、コンタクトレンズを外して点眼するように指導されることがあります。
コンタクトレンズを外して点眼した後、すぐにレンズを装着すると眼の中にまだ薬の成分が残っているため、再装着までの時間は5~10分空けたほうがいいです。
通常点眼された薬物は、眼組織中に移行し、残りは涙液に洗い流され鼻腔に流れます。
涙液中の薬物濃度は15分程度で点眼時の約10分の1になるとされています。
しかし、最近、コンタクトレンズ装用者にドライアイが増加していたり、高齢患者では加齢に伴う涙液の減少もあり、涙液の量が少ないと薬物濃度吸収に時間がかかるので、点眼後少なくとも5分〜10分、可能なら15分あけてレンズを装着したほうがよいとの指摘もあります。
また、持続性緑内障・高眼圧治療薬であるチモプトールXE点眼液、リズモンTG点眼薬は、点眼液が眼内でゲル化することにより眼内での薬物滞留時間が延長し1日1回の投与ですむよう工夫されています。
そのため、他の点眼薬に比べて点眼後、十分な時間をあけてからコンタクトレンズを装着する必要があり、何種類かの点眼薬を使用している場合は一番最後に点眼するよう説明しています。
さらに油性が高い眼軟膏は点眼する薬剤の中では最も眼内の滞留時間が長く、その特性を治療に活用しているため、治療中のコンタクトレンズ使用は避けたほうが無難でしょう。
コンタクトレンズ再装用までの時間は一般的に5分程度あければ良いのでしょうけど、添付文書にそれぞれ記載してある、ものもある。
医薬品名 | 添付文書の記載 |
---|---|
アレジオン点眼液 | 点眼5分以上経過後に再装用すること(防腐剤の塩化ベンザルコニウムがリン酸水素ナトリウム水和物とホウ酸に変わったためこの記載はなくなりました) |
エイベリス点眼液 | 15分以上経過後に再装用すること |
キサラタン点眼液 | 15分以上経過後に再装用すること |
ザジテン点眼液 | 点眼15分以上経過後に再装用すること |
ザラカム点眼液 | 15分以上経過後に再装用すること |
タプロス点眼液 | 点眼15分以上経過後に再装用すること |
パタノール点眼液 | 10分以上経過後装用すること。 |
ルミガン点眼液 | 点眼15分以上経過後に再装用すること |
15分以上あけるように指示されていることが多い。
コンタクトレンズしたまま目薬はダメ?
コンタクトレンズの種類にはソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズがあります。
ソフトコンタクトレンズは目薬の成分を吸着しやすく、ハードコンタクトレンズは吸着されにくいので、ハードならしたまま点眼しても大丈夫という情報もありました。
添付文書上でも、「本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、点眼時はコンタクトレンズをはずし、10分以上経過後装用すること。」とか、ソフトコンタクトレンズのみに言及していることが多い。
だから薬剤師的にはハードコンタクトレンズならOKです、って言っていいのかも。
しかし、ハードコンタクトレンズにも種類があり、PMMA-HCL(酸素非透過性コンタクトレンズ)とRGPCL(酸素透過性コンタクトレンズ)なるものがあります。
酸素透過性コンタクトレンズの素材にはソフトコンタクトレンズに近い素材を使っているものもあり、ハードコンタクトレンズでも外してから点眼しなければなりません。
近年は酸素透過性のハードコンタクトレンズが主流なので、「ハードを使っている」と言っても酸素透過性を使っている可能性が高いです。
結局、医師の指示が無ければコンタクトは外して点眼、ですね。
コンタクトレンズ装着中の点眼薬使用は、医療用・一般用に関係なく薬物や防腐剤がレンズに吸着するため、可能な限り、レンズを外して点眼することが望ましいとされています。
しかし、装着時間の短い使い捨てコンタクトレンズでは影響が少ないともいわれています。
患者さんのコンプライアンスなどを考慮して、最終的に点眼薬使用の可否を決定するのは医師になります。
各製薬会社、コンタクトレンズメーカーともそれぞれの適合性を実施しているわけではなく、正確なデーターや資料がないのが現状です。
コンタクトレンズをしたまま点眼した場合の問題点
①薬物がレンズに吸着して徐々に放出するため、副作用が現れる可能性がある(角結膜上皮障害が起こるのは、薬物に曝露される時間と比例する)。
角結膜上皮障害を起こしやすい薬剤として、緑内障治療薬(キサラタン点眼液、チモプトール点眼液)、抗炎症点眼薬(ジクロード点眼液、ブロナック点眼液)などがあります。
②ベンザルコニウム塩化物などの防腐剤がレンズに吸着して、レンズが変色または、角結膜上皮障害を起こすことがある。
防腐剤は角膜に影響を与えないとされる濃度で添加されてはいるものの、レンズに吸着し、蓄積・濃縮されることによって、レンズ自体が変性したり、接触時間が長くなるために、角結膜上皮障害が懸念されています。
ただし、市販のコンタクトレンズ用の点眼薬には、吸着防止剤(ポリソルベート80など)が含まれているものもあり、コンタクトレンズを装着したまま点眼できるものもあります。
コンタクトレンズの防腐剤は危険?
点眼薬の成分には、コンタクトレンズに吸着されてレンズや眼に影響を与えるものがあり、防腐剤もその1つです。
コンタクトレンズに薬物が吸着され、蓄積、濃縮、徐放されることで薬物との接触が多くなり、角結膜上皮障害が起こります。
このため、基本的にはコンタクトレンズは外して点眼し、その後は5分から、できれば15分以上経ってからコンタクトレンズを装着するようにします。
防腐剤が含まれていないか、あるいは防腐剤十吸着防止剤が入っているものでは、コンタクトレンズを装着したままで点眼できるものもあります。
ハードコンタクトレンズならしたまま点眼可能か?
コンタクトレンズには、大きく分けて3つの種類があります。
酸素非透過性ハードコンタクトレンズ(現在市販されていない)、酸素透過性ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズです。
酸素透過性ハードコンタクトレンズや、ソフトコンタクトレンズは、その構造(酸素を通すため細かい穴がレンズにあいている)からレンズを外して点眼したほうがよいでしょう。
また、含水率が高いコンタクトレンズはレンズが水分を吸着しやすいため、点眼薬の吸着も大きいと考えられます。
一般的に酸素非透過性コンタクトレンズはレンズを装着したままの点眼が問題ないといわれています。
しかし酸素非透過性ハードコンタクトレンズは現在市販されていないようなので、現在はハードコンタクトレンズであっても外して点眼する必要があります。
ハードコンタクトレンズでも点眼不可?
コンタクトレンズ(CL)は、ハードコンタクトレンズ(HCL)とソフトコンタクトレンズ(SCL)に大別できる。
HCLは、ガス(酸素)透過性の高い「O2レンズ」と呼ばれるタイプが主流で、SCLには、ワンデー、2週間、4週間などの様々な使い捨てタイプが近年登場し、使用者が増加する傾向にある。
これらCLの使用者に点眼薬が処方された場合、一般には、治療中のコンタクトレンズの装用を中止させたり、点眼時に一時的にレンズを外し数分後に装着し直すように指導している眼科医が多いようである。
その理由の1つは、CLに点眼薬の主薬や防腐剤が吸着し、これが角膜障害などの原因になると考えられるためである。
例えば、防腐剤の塩化ベンザルニニウム(BAK)は、安定性が高く殺菌効果にも優れているため、点眼薬の約60%に添加されているが、その細胞毒性により角膜上皮に傷害を与える可能性がある。
通常は角膜上に滞留しないため問題はないが、CLに吸着され徐々に角膜上に放出されると、持続的に角膜の傷害が起きるおそれがある。
ただBAKをはじめとする点眼薬成分の吸着は、レンズの種類や点眼薬の性質によってその程度が異なる。
BAKのレンズ中への吸着率を調べた研究では、ガス透過型HCLでは0~20%程度、SCLでは50~90%程度だった。
また、この吸着率は点眼液のpHが高くなると上昇する傾向がありその傾向は特にガス透過型HCLで顕著だった。
HCLの場合には、レンズヘの吸着よりも、点眼後にレンズと角膜の間に滞留する薬剤が問題だとする意見もあり、必ずしも安全とに言い切れない。
患者には、もし目の異常を感じたら、眼科医を受診するようにアドバイスしておくことが適当だろう。
なお、病態によっては、CLと点眼薬の相互作用とは無関係に、沿娠中のCLの装着を避けた方がいい場合もある。
具体的には、結膜炎や感染性眼疾患などであり、これらの疾患では、CLの装着自体が病状を悪化させたり、治癒を遅らせる原因になることが知られている。
防腐剤がはいってなくてもダメ?
コンタクトレンズ装着中に点眼可能なものとして、①防腐剤が入っていない使い切りタイプの点眼薬、②防腐剤が入っているが吸着防止剤が入っている点眼剤、③無色透明の点眼薬、があります。
しかし、コンタクトレンズの素材によってはpHや浸透圧の影響を受けやすいため、防腐剤が入っていない点眼薬の使用についても注意が必要です。
(例:ザジテン点眼液UD0.05%は防腐剤の入っていない使い切りの点眼薬であり、コンタクトレンズを装用したままの点眼が可能ですが、イオン性高含水の2週間使い捨てソフトコンタクトレンズに関しては医師の定期的な検診の下で点眼するように注意します)。
点眼薬に使用されている主な防腐剤(保存剤)は?
ベンザルコニウム塩化物(防腐効果が高く最も使用されている)、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、クロロブタノール、ソルビン酸など。
私が今まで対応してきた患者の、医師からの指導を聞くと、塩化ベンザルコニウムが入っていない目薬で、ワンデータイプのコンタクトレンズ使用者であれば、コンタクトレンズの上から使っても良いと指導しているケースが多い。
コンタクトレンズしたまま点眼の問題点は?
コンタクトレンズをしたまま点眼して起こりうる問題は二つ。
一つは目に対する影響で、目薬に入っている防腐剤(塩化ベンザルコニウム等)がレンズ内に蓄積され、角膜を傷つけることが考えられます。
もう一つはコンタクトレンズに対する影響で、成分がレンズに吸着されることで、レンズの寿命を短くしてしまう。これは使い捨てのレンズを使っている患者さんなら「別にいい」と思うかも知れません。
コンタクトレンズ使用中の患者さんへの点眼の可否については、添付文書中に明確な記載がない場合が多く、コンタクトレンズ装用中の点眼の可否を判断する試験基準も定められていないので、眼科医や製薬会社によっても見解が異なります。
一般的に。
ハードコンタクトレンズなら水分の吸着が少ないので、防腐剤入りの目薬でも大丈夫と言われます。
ソフトコンタクトレンズでも影響は少ないと考える眼科医もいるようです。季節性のアレルギーで、使い捨てのコンタクトレンズであればなおさら問題ないと思います。
目薬をさすためにいちいちコンタクトレンズを外させることが、コンプライアンスの低下につながるとしたら、ソフトでもしたまま点眼させたほうが良かったりするのでは?という意見も。
しかし、目の病気のときくらいコンタクトレンズは外してメガネで生活しなさい、とも思いますが。
色付きの目薬はコンタクトレンズにも色がつく?
サンコバやフラビタンなどの点眼液は色がついている。
コンタクトレンズの上からさしたら色がつくのか。
酸素非透過性ハードコンタクトレンズ(現在市販されていない)には色がつきません。
酸素透過性ハードコンタクトレンズは1回、2回程度の点眼では吸着しないと考えられますが、コンタクトレンズへ徐々に吸着、蓄積されると考えられますので、やむをえない場合を除きコンタクトレンズを外しての点眼が望ましいでしょう。
ソフトコンタクトレンズは、1回点眼しただけでも着色します。
ただし、製薬会社各社において、コンタクトレンズと適合試験を実施しておらず、正確なデータはありません。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。