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アレルギー検査は当てにならない?
公開. 更新. 投稿者:花粉症/アレルギー.この記事は約4分44秒で読めます.
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アレルギー検査って正確なの?血液検査だけではわからないこと

アレルギー検査と聞くと、「これで原因がはっきりわかる」と期待してしまう人は少なくありません。とくに子どもの湿疹や咳、食後の体調不良など、原因がはっきりしない症状に悩まされている保護者にとって、アレルギー検査は頼みの綱のように感じられます。
しかし、実際には「血液検査だけではアレルギーは診断できない」とされているのをご存じでしょうか?
そもそもアレルギーとは何か?
アレルギーとは、私たちの免疫システムが本来は無害な物質(食べ物や花粉など)に対して過剰に反応してしまう状態のことを指します。
アレルゲン(抗原)として代表的なものには以下があります。
・ダニ、ハウスダスト
・花粉(スギ、ヒノキなど)
・食物(卵、牛乳、小麦、ナッツ類など)
・動物の毛
・カビや真菌
これらに対して、かゆみ、じんましん、咳、下痢、腹痛、さらにはアナフィラキシーなど、多様な症状が現れます。
アレルギー検査にはどんな種類がある?
●血液検査(特異的IgE抗体検査):
・最も広く行われているのが、RAST検査やViewアレルギーなどに代表される血液検査です。
・血液中に特定のアレルゲンに対するIgE抗体が存在するかどうかを調べます。
・結果は「クラス0~6」の数値で出ます(数値が高いほどIgE抗体量が多い)。
●皮膚プリックテスト
・アレルゲンを皮膚に垂らして、小さな針で皮膚に刺激を加え反応を見る検査です。
・即時型アレルギーに有効で、食物や薬剤の確認にも使われます。
●負荷試験
・実際に少量ずつアレルゲンを摂取し、症状の有無を確認する検査です。
・食物アレルギーの診断や、耐性ができているかの確認に用いられます。
・医療機関で必ず医師の監視の下で実施されます。
血液検査だけでは「アレルギー確定」にならない理由
◆ 陽性でも症状が出ないケース
血液検査でクラス3~4と高値が出ていても、実際にはその食品を食べても全く症状が出ない人もいます。
これは、「IgE抗体はあるけれど、体が反応しない」いわゆる「感作はあるが臨床症状はない」という状態です。
◆ 陰性でも症状が出るケース
一方で、血液検査ではクラス0~1の陰性〜低値であっても、摂取すると症状が出るケースもあります。これは、
・非IgE型アレルギー(遅延型アレルギー)
・IgEとは別の経路による反応
・検査で測定していないアレルゲンに反応している
といったことが原因で起こります。
◆ よって、血液検査の結果と「実際の症状」が一致しないことはよくあります。
特に注意すべき「食物アレルギー」の検査
食物アレルギーは命に関わるケースもある一方で、誤診や過剰な除去が問題になることも多い分野です。
◆ 過剰な除去によるリスク
・栄養不足(特に小児)
・食べられなくなることで将来的に耐性がつかない
・食事の選択肢が減りQOLが低下
これを避けるため、現在のガイドラインでは、
「血液検査で陽性でも、実際に食べて症状が出なければ除去はしない」
という方針が基本です。
食べているうちに耐性ができるって本当?
はい、本当です。これは「経口免疫寛容」とも呼ばれています。
・微量でも継続して食べていれば、免疫が慣れて過剰反応しなくなる可能性があります。
・ただし、重篤な症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある場合は、無理に摂取を続けるのは危険です。
・医師の指導のもと、計画的な経口負荷試験や経口免疫療法が行われることがあります。
血液検査を受けるときの注意点
●症状の出た時期や状況を一緒に伝えること
・食後にいつ症状が出たか、どんな食材を食べたか、運動後かどうかなど。
●家族歴やアトピー歴の有無
・家族にもアレルギー体質があるかを医師に伝えましょう。
●結果は「診断」ではなく「参考資料」
・検査結果をうのみにせず、医師と相談して総合的に判断することが大切です。
医師が実際に診断を下すときの流れ
医師は血液検査の数値だけでなく、以下の情報を総合して診断を下します:
・患者の症状(いつ・どこで・どのように起きたか)
・症状の再現性(毎回起きるかどうか)
・食事歴・生活習慣
・他の病気との鑑別
・必要があれば負荷試験の実施
よくあるQ&A
Q:RAST検査でクラス6ってすごく危険なんですよね?
A:必ずしもそうではありません。クラス6でも症状が出ない人もいますし、クラス1でも強い症状が出る人もいます。数値はあくまで目安です。
Q:血液検査で陰性だったのに、子どもが卵を食べてじんましんが出ました。
A:可能性としては、非IgE型アレルギーやアレルゲン以外の成分(保存料や加工物質)への反応の可能性も考えられます。医師の再診をおすすめします。
まとめ:アレルギー検査は「診断の一部」
アレルギー検査は確かに便利な道具ですが、それだけで「アレルギーの有無」を決めつけてしまうのは危険です。
・陽性でも無症状なことがある
・陰性でも症状が出ることがある
・除去は慎重に判断することが重要
・医師の診断と照らし合わせて使うこと
という原則を忘れないようにしましょう。