リットフーロとオルミエントの違い

JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害剤

円形脱毛症に使う薬は何がある？

リットフーロ（リトレシチニブトシル酸塩）という円形脱毛症に適応を持つヤヌスキナーゼ阻害薬が製造承認されました。

円形脱毛症に適応をもつ内服薬といえば、オルミエント、グリチロン配合錠、セファランチン、その他ステロイド内服薬などがあります。

オルミエントもヤヌスキナーゼ阻害薬だが、JAK1/JAK2の阻害薬。
リットフーロはJAK3/TECファミリーキナーゼの阻害薬。

リットフーロの薬価は5802.4円／カプセルと高額であるため、軽い円形脱毛症では使えず、適応症には「円形脱毛症（ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る）」と記載されている。具体的には、「本剤投与開始時に、頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与すること。」という記載がある。

JAKファミリーには4つあります。ヤヌスキナーゼ1（JAK1）、ヤヌスキナーゼ2（JAK2）、ヤヌスキナーゼ3（JAK3）、チロシンキナーゼ2（TYK2）である。

それぞれのヤヌスキナーゼの働きの違いについては、リンヴォックの添付文書に、「JAK1は炎症性サイトカインシグナルにおいて重要であるが、JAK2は赤血球成熟にとって重要であり、JAK3シグナルは免疫監視及びリンパ球機能において重要な役割を示す」という記載がある。

リットフーロの資料によると「円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制する」と書かれている。

リウマチとかアトピーに使う薬の場合、JAK1、JAK2に働く薬が多いので、JAK3のみに働くリットフーロがリウマチやアトピーに適応拡大する可能性は低いのかな。

ちなみにヤヌスキナーゼのヤヌスはローマ神話の門の守護神「二面神ヤヌス」が元です。細胞外からシグナルを受け取る顔と細胞内へシグナルを伝える 2 つの顔を持つという意味が含まれているそうです。