2024年11月22日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

疲労回復に効果のある薬

クエン酸で疲れはとれる?

薬剤師

疲れが取れる薬ってあるの?

疲れた時には酸っぱいものが良いと昔から言われてきました。
それはクエン酸の疲労回復効果によるものです。
クエン酸を摂取すると運動時に嫌気呼吸が起こらないために乳酸が生成されず疲れにくいとされている。
クエン酸は乳酸の分解を進める。

医薬品のクエン酸製剤としては、ウラリットがある。
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウムの合剤である。

クエン酸サイクル

クエン酸サイクルは乳酸を分解する働きがあり疲労回復に効果があると言われます。
疲労回復にお酢やレモンがいいと言われます。

お酢で疲れがとれる?

食酢には、クエン酸の他に、リンゴ酸、コハク酸、酢酸などが含まれている。
クエン酸が健康に良いと宣伝されているが、クエン酸同様、食酢に含まれているリンゴ酸や酢酸も、健康に良い効果を示すのではないかと、考えられる。

クエン酸は、筋肉の乳酸の蓄積を防ぎ、グリコーゲンの分解を抑制し、筋肉の疲労回復を促進すると言われている。
クエン酸がホスホフルクトキナーゼ(PFK)の活性を抑制し、解糖を抑制するので、乳酸が蓄積しなかったり、グリコーゲンが分解されない。

酢酸は、クエン酸同様に、6-ホスホフルクトキナーゼ(PFK-1)を阻害し、解糖を抑制し、乳酸の蓄積を抑制し、グリコーゲンの分解を抑制する。

栄養ドリンクで疲れはとれる?

チオビタやリポビタンDなどの栄養ドリンクで疲れがとれるのでしょうか?
残業などで疲れたときや、受験勉強などで眠気覚ましに栄養ドリンクを飲むようなことは多いが思います。

ビタミンやアミノ酸が疲れをとるということで配合されていますが、即効性は期待できないでしょう。
疲労回復に一番影響があるのは、カフェインと糖分。

カフェインの興奮作用で、疲れが取れたと勘違いする。
ブドウ糖はそのままエネルギーになるので、疲れが取れる。

さらに、値段が高ければ高いほどプラセボ効果が働いて、疲れがとれるかも知れません。
砂糖をたっぷり入れたコーヒーでも同じように効果があるだろう。

正論を言えば、疲れをとる薬というのはあまり勧められない。
薬で疲れをとるというのは、「無理をする」ということである。

仕事や家事、育児、無理をしなければならない事情はそれぞれあるのでしょうけど。
薬で疲れが取れたと思ってもそれは一時的。
よく食べて、よく寝て、体を休めるのが疲れをとる一番の方法です。

風邪に栄養ドリンク?

かぜに伴う熱やせきという症状自体、多くのエネルギーを消耗しているため、栄養ドリンクで体力回復のサポートをすることは、理にかなっている。
ちなみに、39℃程度の発熱があると、基礎代謝1500kcal/日の人の場合はさらに約600kcal/日多くを消費する。
また、ゴホンというせき1回で約2kcalを消費するといわれている。

栄養ドリンクの代表的な成分として、タウリンとカフェインがあります。
タウリンは、生体内で、体を作っている細胞を正常状態で保つ作用があり、胆汁酸の働きを活発にしたり、心臓の働きを活発にしたりすることいわれています。
栄養ドリンクを選択するときは、タウリンの量は大きなポイントになります。

カフェインは、コーヒー、緑茶や紅茶などに含まれ、興奮作用、脳細動脈収縮作用、利尿作用、眠気、倦怠感に効果があるといわれている成分です。
なお、カフェインは、総合感冒剤にも含まれていることが多いため、風邪薬と栄養ドリンクを一緒にとると、カフェインの過剰摂取という問題がおこる場合があります。
不眠や頭痛がおこることがあり、風邪薬を飲むときには、カフェインを含まない栄養ドリンクを飲むほうがいい。

しかし、無理をしてでも仕事しなければならない人もいる。
そんな人はカフェイン使って無理にでも元気を出したいと思うのだろう。
正直そういう「老骨に鞭打つ」ようなやり方は好きではないので、風邪のときにカフェイン入りの栄養ドリンクを勧めたりはしない。

ビタミンで疲れは取れる?

疲労は頭脳や肉体の労働の結果、エネルギーが不足してくることから起こるので、疲労を解消するには、必要な細胞のエネルギー不足を回復させることが大切です。
エネルギー源として重要なのが炭水化物(糖質)であり、食物として摂取されると小腸で分解され、ブドウ糖として吸収される。

TCAサイクルという代謝システムによってブドウ糖はエネルギーに変えられるが、その際に必要なのがビタミンB1である。
ビタミンB群が十分供給され、ブドウ糖が必要な細胞のなかで円滑にエネルギーに変換されれば、疲労の解消につながる。

疲労が続くと、大脳皮質の一部で血液の流量が減少し、エネルギー不足に拍車をかけることが知られている。

ニンニク注射で疲労回復?

ニンニク注射というのは、ニンニクをすりおろして注射するのかと思ってました。
ビタミンB1などが主成分で、このビタミンB1の構成成分の中に含まれる硫化アリルがにんにく臭のすることから、ニンニク注射と呼ばれています。

豚肉とにんにく

豚肉とにんにくは相性がいい。
その理由はビタミンB1。
ビタミンB群は水溶性ビタミンで、加熱調理に弱いことが知られている。

ニンニク、ニラ、ネギなどの野菜にはアリシンという物質が含まれ、これはビタミンB1と反応してアリチアミンを生成します。
アリチアミンは水に溶けにくく、熱によっても分解されにくいので、これらの食材を利用することで、調理による損失を防ぐことができるといわれています。

にんにくの効能

にんにくの臨床効果の一つは、血小板凝集抑制作用である。
動脈硬化は生活習慣病といわれ、中高年になると例外なく血管内に病変が進行する。
この動脈硬化巣が脂肪の多いプラークにより形成されていると、非常に不安定となり、強い血流により内皮がめくれ、損傷する。

血液凝固能が高いと血小板の集合がすぐに起こるため血栓ができやすく、血管が閉塞する。
これにより心筋梗塞や脳梗塞が発症する。
にんにくの匂いの成分は「アリシン」であるが、これを加熱すると「アホエン」に変化する。

これが血小板の凝集を抑制する主役の一つである。
また、アリシンを加熱せずにそのままにすると、メチルアリルトリスルファイド(MATS)にゆっくりと変わる。
この物質にも血小板凝集抑制作用が認められた。

MATSは、血小板を凝集させるトロンボキサンA2の生合成における触媒であるシクオオキシゲナーゼの活性を低下させてしまうのである。
そこで、トロンボキサンA2の生合成がなくなり、血小板の凝集は抑制される。
動脈硬化が進んでいる人は積極的ににんにくを摂取すべきであると思われる。

にんにくの効果のもう一つは、抗体産生能賦活である。
古くから「にんにくのおろし汁」を食すると風邪をひきにくいと言われる。
マウスへの「にんいくのおろし汁投与実験」ではすべてのマウスにおいて、抗体産生能が高まり、そのことから感染症への抵抗性が高まったことがわかったと結論されている。

アリシンの効果を損なわずに上手に食するにはできるだけ薄く切ったり、すりおろすことが勧められる。
霜降りのステーキや油の乗った鰹のたたきには、ぜひたっぷりのにんにくとともに食してもらいたい。
食事による動脈硬化が進んでも動脈血栓が予防できるかも知れない。

乳酸が疲れの原因じゃない?

疲労の原因物質だと言われていた乳酸ですが、最近の研究でむしろ、疲れを取る役割であるという事が分かってきました。

かつて筋肉痛は筋肉に蓄積した乳酸が原因であるといわれていました。
しかし、筋肉で発生した乳酸は、再びグルコースに変化されます。
筋肉に蓄積する乳酸は、けっしてゴミかすではありません。

筋肉疲労との関わり
カエルの筋肉を使った研究に基づき 1929年に Hill らが提唱して以来、乳酸は筋肉疲労の原因物質として考えられてきた。これは、乳酸の蓄積によるアシドーシスにより収縮タンパクの機能が阻害されたためと理解された。しかし後の研究において、アシドーシスを筋肉疲労の原因とする説に対して反証が報告されてきた。そして2001年に Nielsen らによって、細胞外に蓄積したカリウムイオン K+ が筋肉疲労の鍵物質であることが報告された。Nielsen らの系では、K+ の添加により弱められた筋標本について乳酸などの酸を添加すると、従来の説とは逆に回復がみられた。2004年の Pedersen らの報告でも、pH が小さいときに塩化物イオンの細胞透過性が落ちることが示され、アシドーシスに筋肉疲労を防ぐ作用があることが示唆された。

乳酸 – Wikipedia

乳酸アシドーシス

乳酸が疲労の原因にならないとしても、乳酸アシドーシスの原因になります。

糖質、特に静脈内へのグルコースの投与時にビタミンB1を十分に投与しないと、乳酸が蓄積して乳酸アシドーシスを引き起こすことがあります。
また、糖新生回路を抑制するメトホルミンも乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があります。

乳酸アシドーシスは乳酸が原因のアシドーシスです。
アシドーシスでは血液が酸性に傾きます(酸血症)。アシドーシスの症状は軽度で吐き気、嘔吐、疲労感が生じます。
蓄積した二酸化炭素を放出し、アシドーシスの状態を補正しようとするため、呼吸が深くわずかに速くなります。
アシドーシスの悪化に伴って、極度の脱力感と眠気を感じはじめ、意識がもうろうとして吐き気が強くなります。
やがて血圧が下がり、ショック、昏睡、死に至ります。

乳酸とパニック発作

乳酸がパニック発作を引き起こすという話がある。
過労や重労働などで、肉体的に疲れていると、パニック発作が起こりやすくなります。

体が疲れているとき、体には疲労物質である乳酸がたまります。
この乳酸が体内で多くなると、体のだるさや肩こりの原因になるほか、パニック発作を引き起こす誘因にもなるのです。
運動不足で乳酸が蓄積されやすい体質の人が、疲労をためこむと、パニックになる。
疲労すると、頭の回転も鈍くなるので、冷静な判断ができずにパニックになる。

重層で疲れがとれる?

重層に疲労回復効果があるとされる。

の生成が消費を上回ると乳酸が多くつくられることで乳酸の生成過程で発生する水素イオンの影響により身体が若干酸性に傾くこと、エネルギー源である筋グリコーゲンの蓄えが少なくなることが筋肉疲労の原因といわれています。

重層は生体内で重炭酸イオンに解離する(NaHCO3→Na++HCO3

重炭酸イオン(HCO3-)は水素イオン(H+)と結合する(HCO3-+ H+→H2O+CO2)

そして体内の水素イオンを減らすことで疲労を回復するというのが、重層に疲労回復効果があるといわれる理由です。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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職業:薬剤師
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