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γ-GTPとALT・ASTの違いは?
公開. 更新. 投稿者:副作用/薬害.この記事は約3分49秒で読めます.
2,973 ビュー. カテゴリ:肝機能数値の見方
薬局で検査値を見てほしい、と患者にアドバイスを求められることがある。
その中の肝機能数値について。
ASTやALTはわかるとして、その他のγGTPやALPなどの数値との使い分けはどのようにするのか。
薬物性肝障害の原因薬剤を考えるためにも、重要な部分だと思う。
まず、大きく分けて、肝細胞内に多く含まれる酵素と胆道内に多く含まれる酵素がある。
肝細胞内に含まれる酵素(AST、ALT)が血液中で上昇すれば、肝細胞が障害されていると考えられる。
胆道内に多く含まれる酵素(γ-GTP、ALP)が上昇すれば、胆道に障害があると考えられる。胆汁の成分であるビリルビン値の上昇も胆道の閉塞や障害を意味する。
胆道系酵素は、胆石や胆道炎、胆道がんなどで胆道がふさがれて胆汁の流れが悪くなったり(胆汁うっ滞)、肝臓の機能が低下すると逆流して血液中に流れ込みます。
薬物性肝障害の分類
発生機序 | ||||
中毒性 | アレルギー性 | |||
・投与量に依存して肝障害が出現する。 ・全ての人に起こりうる。 | ・投与量に依存しない(少量でも発症する)。 ・発症するかどうかは個体差がある。 |
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障害部位 | 肝細胞障害型 | ・アセトアミノフェン ・イソニアジド ・リファンピシン ・四塩化炭素 ・テトラサイクリン ・メトトレキサート | ・ハロタン ・メチルドパ | ・アンピシリン ・セファレキシン ・アスピリン ・サルファ剤 ・インドメタシン |
障害部位 | 胆汁うっ滞型 | ・蛋白同化ホルモン(メチルテストステロン) ・経口避妊薬 | ・クロルプロマジン ・エリスロマイシン ・抗甲状腺薬(プロピルチオウラシル) |
薬物性肝障害の治療
治療薬 | |
肝細胞障害型 | ・グリチルリチン製剤 |
胆汁うっ滞型 | ・ウルソデオキシコール酸(UDCA) |
アセトアミノフェンによる急性肝障害 | ・N-アセチルシステイン |
AST/ALT
一般的な健康診断には労働安全衛生規則に含まれたAST、ALT、γ-GTPという検査項目があります。
ASTはこれまでGOTと、ALTはGPTと呼ばれていましたが、肝細胞に含まれているアミノ酸変換酵素の命名に従って呼称が変わりました。
国際的にはかなり前からGOTをAST、GPTをALTと呼んでいます。
ASTとALTは「逸脱酵素」とも呼ばれ、血中半減期が1~2日以内で、肝細胞が壊れると血液中に漏れ出すため急性肝炎や慢性肝炎の指標として使われてきました。
ただし肝臓に炎症がない脂肪肝でもALTやASTの数値は上がることがあります。
肝細胞が壊れていない場合でも軽度の上昇を示します。
また肝臓以外の臓器にも多く存在するため、肝臓疾患以外の原因で上昇することもあります。
特に赤血球や筋肉(骨格筋や心筋)にも含まれるASTは、健康診断の採血時に赤血球が壊れたときや、健康診断の前日にマラソンをしたり、激しい筋肉トレーニングをしたりすることで基準値を超えて上昇するケースもみられます。
ALTやASTが30以上の人は、B型肝炎やC型肝炎などの慢性肝炎を起こすウイルスに感染していないか、血液検査で鑑別診断を行う必要があります。
また脂肪肝の診断には腹部超音波検査が有効です。
その他、健康診断や人間ドックで必須項目とはいえない肝機能検査として以下のものが挙げられる。
TP(総蛋白)、アルブミン:肝硬変等の末期に近くならなければ一般的には下がらないので臨床的スクリーニング的価値は少ない
総ビリルビン:先天性のもの以外は殆どないと考えられるので日常検査には不要
LDH、ALP:測定法が一定でない上、測定値の幅も大きすぎるし、また肝臓以外の各種アイソザイムの影響を受けているので、人間ドッグでは二次検査で充分
ChE:リン中毒には有意であっても日常、この検査が変動することは殆どないので人間ドッグには不向き
TTT、ZTT:グロブリンと同じ意味とされるZTT(硫酸亜鉛混濁反応)や、反応の意味がよく分からないTTT(チモール混濁反応)は肝機能検査としてなお使われているが、人間ドックのような検診の場では不要
ChE
ChE(コリンエステラーぜ)は、アセチルコリンを加水分解するもの(アセチルコリンエステラーぜ(AChE)、真性ChE)と、その他のコリンエステルを加水分解するもの(偽性ChE)の2種類が生体内に存在します。
臨床検査で測定されるChEは偽性ChEであり、これは肝臓で合成されて血中に遊離します。
肝機能が低下すると、合成能も低下し、血中ChE活性は低値を示します。
一方、脂肪肝や肥満では合成能が亢進し、高値となります。
また、農薬やサリンなど有機リン剤中毒では、ChEと結合して活性が阻害されることがあり極端な低値を示します。
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