記事
治療の必要ない不整脈
公開. 更新. 投稿者:不整脈.この記事は約4分54秒で読めます.
3,099 ビュー. カテゴリ:脈が飛んでも心配いらない?
脈の異常には、「速い」「遅い」「飛ぶ」の3種類があるという。
それぞれ、医学的には、頻脈、徐脈、期外収縮という用語になる。
加えて「不規則」になる、心房細動を含めて4種類、と言う人もいる。
健康診断でよく引っかかるのは「期外収縮」。
脈が飛ぶというヤツです。
脈が飛ぶと、その間に血栓ができて脳梗塞になったりするのではないか?と不安になります。
しかし、ほとんどの期外収縮は心配いらないという。
心臓は1分間に60回程度、24時間では10万回程度拍動しているので、心臓に何も病気がなくても、多少の期外収縮を認めることはあります。1%未満(1日に1000回以下)の期外収縮には、ほとんど病気としての意義はないと考えられます。
期外収縮 | 大阪医療センター 循環器内科
1日に1000回も脈が飛ぶ、と聞くと大丈夫か?と心配になりますが、1/3の3万回くらい脈が飛んでも心配いらないという医師もいた。
期外収縮の原因としては、寝不足・ストレス・アルコール・カフェイン・疲労・加齢などなど。
治療が必要ないという場合も多いが、気になる場合はβブロッカーなど抗不整脈薬、ストレスや寝不足が原因であれば、抗不安薬や睡眠薬が処方されることもある。
期外収縮に使われる抗不整脈薬は、ハイリスク薬ではないということか。
自覚症状で不整脈の治療を開始する?
自覚症状で不整脈の治療を開始することがあるのか?
不整脈では病態により、治療の臨床上の意義が少ない場合があります。
その場合は強い自覚症状によるQOLの低下や、頻度が高くなり血行動態や心機能への影響が出てくる場合に治療の対象となります。
目安はそれぞれの疾患により異なります。
最近では安易な抗不整脈薬の処方は行われないと聞きます。
動悸を気にしてるような患者には処方される。
WPW症候群は放置してて良い?
患者アンケートなんかで、「WPW症候群」とか書かれていたりすると、難病?重病?とか必要以上にデリケートに対応してしまったりする。
不整脈ということはわかっていても、命の危険性がどの程度のものなのか、薬物治療の必要性とか、治療法とかよく知らない。
WPW症候群とは?
生まれつき正常な刺激伝導系である房室結節以外に心房と心室の間をつなぐ余計な伝導が存在する病気があります。
その病気のことを「WPW症候群」といいます。頻度は1000人に数人と言われ、この余計な電線のことを副伝導路と言います。副伝導路があることが普段の心電図ですぐにわかる患者さんを「顕在性WPW症候群」といいます。心電図は副伝導路を通じて心室が興奮する際に生じる「デルタ波」が特徴的です。心電図上はデルタ波がなくても、検査を行うと副伝導路が判明する患者さんを「潜在性WPW症候群」といいます。副伝導路は多くは1本ですが、中には2 ~3本もある患者さんもいます。WPW症候群の患者さんは普段は何の症状もありませんが、頻脈発作を起こすことがあります。
ウォルフ・パーキンソン・ホワイトの3人の頭文字をとってWPW。
パーキンソン病のジェームズ・パーキンソンとは違います。ジョン・パーキンソンです。
頻度は1000人に数人ってことなので、1億人に数十万人、日本に数十万人いると考えるとまれな病気ではない。
心電図でたまたま見つかったというだけで、自覚症状もなく、薬物療法の必要性もない患者かも知れない。
顕在性WPW症候群の方に発作性心房細動が起こると危険で、最も悪性度の高い不整脈「心室細動」に移行することもあるという。
そういう危険なWPW症候群の可能性もあるので、今後は、患者アンケートにWPW症候群と書いてあったら、よくわからないのでアンタッチャブルという姿勢をとらずに突っ込んで聞いてみようと思う。
抗不整脈薬は諸刃の剣
抗不整脈薬は、基本的に心筋の膜表面にあるイオンチャネル、主にNaチャネル、Caチャネル、Kチャネルなどに作用して、効果を発揮するといわれています。
しかし、その作用が強すぎると、心室頻拍や心室細動といった致死的な不整脈を生じさせる可能性があります。
つまり、抗不整脈薬は抗不整脈作用と催不整脈作用を併せ持つ諸刃の剣でもあるのです。
頻脈性不整脈と徐脈性不整脈
不整脈には大きく分けて、頻脈性不整脈と徐脈性不整脈があります。
頻脈性の不整脈は徐脈に、徐脈性の不整脈は頻脈にして治療するのが原則です。
したがって、くすりが効きすぎてしまうと、逆に不整脈を起こしてしまうのです。
不整脈の薬で不整脈
不整脈の薬が不整脈が起こすかも、という話。
以前にアメリカで行われた大規模な臨床試験で、心筋梗塞後に抗不整脈薬を使った患者のほうが使わない患者よりも死亡率が高くなったという結果が出ました。
これは薬の副作用である催不整脈作用によるものと考えられています。
不整脈の薬は不整脈を減らすハズなのになぜ?
そのため現在では安易に抗不整脈薬が使用されることはありません。
心房細動のような重症な患者や、自覚症状が強いケースに使われます。
不整脈の薬が処方されている患者さんは、医師がそのメリットのほうがリスクを上回ると判断してのことです。
不整脈で脈が飛ぶと血の固まりができて、脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。
副作用を心配しすぎて、そのストレスで不整脈を起こさないように。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。